朝日連峰縦走(古寺~大鳥池)

東北の紅葉を見に行こうと、選んだのは朝日連峰。直前の天気予報では、土曜は雨強風、日曜は晴れ弱風、月祝は雨弱風と、条件は良くなかったが、あまり上天気でも避難小屋がギュウギュウになるし、行ってみたら晴れましたってならないかなーと期待を持ちつつ、三連休をフルに使って満喫しようと決行した。

■10/7(土)
左沢駅から古寺案内センターまでタクシーで約50分(12000円)、身支度をしている間に雨が降り出した。想定以上の本降りで気分は晴れないが、今日の行動時間は3時間だし、まぁのんびり行きましょうと11時過ぎに歩き出す。
鳥原山避難小屋までの登り

鳥原山避難小屋までの登り

時折り雨が止み晴れ間も見え隠れする安定しない天気のまま登山口から500m登り、本日の宿泊地である鳥原山避難小屋に予定通り14時過ぎに到着。管理人は不在だったので、管理ポストに協力金と氏名行程等を書いた登山カードを投函。docomoの電波はかろうじて入る程度。収容人数50人の大きい避難小屋。1階にソロの方2名、2階は賑やかな4人パーティーだったが、暖かい2階のほうに寝床を確保。この天気でここに泊まる人はそれほどいないだろうと期待をしていたが、16時頃になって5人パーティーが2階に上がってきた。賑やかさ倍増で寒くても1階にすべきだったかと思ったがすぐに眠れた。トイレは別棟で沢水を引いた水洗トイレ。手洗い蛇口もありとても綺麗。
鳥原山避難小屋

鳥原山避難小屋

 
■10/8(日)
6時出発の予定だったが、周りのパーティーの出発が早くて寝てもいられず、5:30出発。雨は上がり風も止み、草木もそれほど濡れておらず、登山道は水捌けの良い砂混じりで快適に進む。
鳥原山

鳥原山

鳥原山から小朝日岳へ

鳥原山から小朝日岳へ

小朝日岳から大朝日岳へ

小朝日岳から大朝日岳へいったん下る

大朝日岳へ向かう稜線

大朝日岳へ向かう稜線

銀玉水の手前

銀玉水の手前

朝日連峰で一番うまいと言われている銀玉水に立ち寄り、この先にも水場はあるが多めに確保。今はジャンジャン出ているが、数日前まではチョロチョロだったそうだ。仕事を交代して下りてきた大朝日岳山頂避難小屋の管理人さんと昨晩の宿泊者との会話の中で、昨日那須の朝日岳で低体温症で4名が亡くなったことを聞いた。ここも昨夜は風が強く、ミゾレが降って同じことが起きる可能性は十分にあった。明日も天気は崩れるから気をつけるようにと塩羊羹とチョコレートをいただいた。
大朝日岳避難小屋が見えた

大朝日岳避難小屋が見えた

大朝日岳山頂避難小屋の前に荷物をデポし、大朝日岳へ登る。大勢の人が山頂でくつろいでいたが、ガスで真っ白。写真を撮ってすぐに小屋まで戻り、西朝日岳へ向かった。天気予報は晴れなのにガスが多く、時折り視界は良くなるものの写真を撮るタイミングが難しい。
大朝日岳を振り返る

大朝日岳を振り返る

これから進む稜線

これから進む稜線

西朝日岳へ向かう

西朝日岳へ向かう

西朝日岳山頂では視界が良く、一本入れて景色を楽しむ。
西朝日岳より大朝日岳を振り返る

西朝日岳より大朝日岳を振り返る

西朝日岳を振り返る

西朝日岳を振り返る

竜門山へ向かう

竜門山へ向かう

竜門山避難小屋が見えた

竜門山避難小屋が見えた

竜門山避難小屋前にある水場もジャンジャン出ていた。数日前に役場に確認した時は涸れているとのことだったが、この数日で大量に雨が降って復活したらしい。その先は寒江山(かんこうさん)までが長かったが、越えるとすぐに避難小屋が見えてきた。14:40、狐穴避難小屋到着。
寒江山へ向かう

寒江山へ向かう

どこまでも続く稜線

どこまでも続く稜線

狐穴避難小屋が見えた

狐穴避難小屋が見えた

鳥原山避難小屋と同じ規模の小屋だが、間取りの違いで鳥原山より狭いように感じる。1階には既に6名おり、我々2人が入るのは少々窮屈に見えたが、2階は学生がたくさん入っているので1階でお願いと管理人さんから指定された。その後到着したソロの男性3名は2階に通されたが、あとから2階を覗くとまだスペースがあったようだ。窮屈な思いをしたが、隣人との会話も弾み楽しく過ごした。

■10/9(月・祝)
4時起床、外は想定以上の本降り。予定より早く、5:10に出発した。明るくなる空に合わせて雨も徐々に上がって視界は開けたが、その後、ガスが繰り返し景色を遮る。
雨でも視界良好

雨でも視界は良好

以東岳へ向かう

以東岳へ向かう

以東岳が近づく

以東岳が近づく

以東岳避難小屋が見えた

以東岳避難小屋が見えた

存在感のある以東岳へ向かって贅沢な稜線をゆっくり進む。以東岳山頂は強い風で、以東岳避難小屋へ立ち寄る。軒先に立っていると管理人さんが中へ入りなさいと声をかけてくれた。昨夜は10名の宿泊でゆとりがあったそうだ。今年の紅葉は遅く、暑い日が長すぎたため色付きは良くないとのこと。docomoの電波が入ったので、タクシー会社の留守番電話へ予定通り13:30に迎えに来てもらうようメッセージを入れる。
以東岳から大鳥池が見えた

以東岳から大鳥池が見えた

ここから泡滝への下山には直登ルートとオツボ峰ルートがある。直登ルートは所要時間は短いが最後に渡渉がある。一方のオツボ峰ルートは少し時間はかかるが眺望が良く、森林限界より上では携帯の電波が入るとのこと。地図のコースタイムのペースであればオツボ峰ルートでもタクシーに間に合うだろうと管理人さんに言われ、また、前の週に朝日連峰を縦走した友人から、直登ルートの登りはキツく下りもやめた方が良いとのアドバイスも受けている。管理人さんにお礼を言い、オツボ峰ルートへ進んだ。
オツボ峰ルートは稜線上を通るため、強い風をまともに受けることになった。その上、せっかくの眺望もガスで全く望めなかった。雨は降っておらず、気温も低くなかったがことが救いだ。風に耐えながら進んでいる途中にタクシー会社から折り返し確認の電話が入った。電波が通じるルートで良かった。オツボ峰を過ぎたところから進行方向が変わり、風を受けなくなってホッとした。
オツボ峰を過ぎてから登り返す

下山ルートなのに、オツボ峰を過ぎてから登り返す

大鳥池まで下りてくると二人とも下山した気分になったが、この先タクシーの来る登山口までコースタイムで2時間半かかる。大鳥池避難小屋(タキタロウ山荘)前のベンチで靴擦れをケアしてから歩き出した。そこからは水量の多い赤川に沿った登山道で、下の廊下を感じさせる迫力ある箇所もあり、長かった。ようやくダムが見えても、まだまだ山奥で電波は入らない。タクシー予約までに余裕をもって13時に登山口に到着した。屋根などは無く、雨が降っていなかったのは幸い。
少し早く来てくれたタクシーで、こまぎの湯まで約60分(15000円)。総じて、遠征の紅葉登山を計画通り順調に終えることができた。

<行程>
10/7 古寺登山口(古寺案内センター)11:15~畑場峰12:30~鳥原山避難小屋14:10
10/8 鳥原山避難小屋5:30~小朝日岳7:10~銀玉水8:10~大朝日岳山頂避難小屋8:50~大朝日岳9:05~西朝日岳11:05~竜門山避難小屋12:25~寒江山13:50~狐穴避難小屋14:40
10/9 狐穴避難小屋5:15~中先峰5:55~以東岳7:10~以東岳避難小屋7:30~オツボ峰8:30~大鳥池避難小屋10:00~七ツ滝沢橋11:20~泡滝登山口(泡滝ダム)13:00

読図の山/飯能・柏木山

地図読み技術習得のため、飯能三山の龍崖山と柏木山を廻る基本ステップに参加した。

飯能駅改札口に8時30分に集合。メンバー集合後、田口リーダーから今回のルート、地図とコンパスの使い方について説明があった。
登山の準備をする段階で、地図からコースの地形、アップダウン、距離、危険個所を把握することが必要であり、この段階から山行が始まっている。また、山行中も分岐地点や休憩時に地図を見る癖を付けることがバリエーションルートを歩く際にも役立つ。ただし、霧などで現在地をきちんと把握できていない状況では、コンパスの進行方向にそのまま進んで崖地にぶつかってしまうといったこともあるので、注意する必要があるとのことであった。

最初の目的地である飯能河原にコンパスの進行方向を合わせて山行を開始した。
飯能河原に到着後、次の目的地である龍崖山公園にコンパスを合わせ、地図を確認しながら移動。
飯能河原
 
龍崖山公園で休憩後、龍崖山山頂を目指す。
龍崖山公園

10時25分、標高246mの龍崖山山頂に到着し、休憩。この場所からは多峯主山(とうのすやま、飯能三山の一峰)や天覧山が良く見えた。
龍崖山龍崖山より

予定では八耳堂を経由して柏木山を目指すこととしていたが、北西側から柏木山方面に行けることを発見し、あかね尾根道コース入口駐車場を目指して尾根筋(登山道ではない)を歩いた。


この後、車道に出ることができ、そこから地図とコンパスを頼りに柏木山を目指すこととした。急登を藪漕ぎし、猪か鹿のものと思われる寝床もあるような獣道も通ったが、柏木山に続く登山道に辿り着くことができた。
柏木山登山道

山と高原地図(昭文社)で柏木山へのルートは破線になっている。途中の分岐点で山頂までのルートをきちんと確認しなかったため、違うルートを少し進んでしまったことに気付いたが、今回は地図読みがテーマのため戻ることはせず、修正して登山道ではない斜面をも登り、藪漕ぎしながら山頂を目指した。
柏木山

山頂で休憩した後、地図通りのルートで柏木山から下り、一般道で飯能駅に戻った。
ルート図

今回は地図読みということで地図とコンパスのみで龍崖山と柏木山を廻ったが、予定にはなかった登山道として整備されていないルートを通ることもでき、大変良い経験となった。
今回は市街地に隣接した低山でそれほど危険な場所はなく、ルートを外してもすぐに登山道や一般道に辿り着くことができた。しかし、通常の山行ではそうはいかないため、事前に登山ルートや危険個所等を十分に把握するとともに、頻繁に地図やコンパスを確認するように心掛けたい。

<行程>
飯能駅8:30~飯能河原9:00~龍崖山公園9:40~龍崖山10:25~柏木山12:25~飯能駅14:30

天狗山(長野県川上村)ダイレクト

山岳ガイド佐藤勇介氏のHPで次のような記事(https://essential-line.com/tenguyama-direct)を読んだ。
「川上村のナナーズから見上げる天狗山は山頂直下に岩壁を張り巡らせている。山頂へと続く岩稜・岩壁をつないで登るバリエーションルートを開拓・整備した。その名も『天狗山ダイレクト』。読図、ルートファインディング、プロテクションセットなど総合的な技術が求められる。男山ダイレクトに続く好ルートである。」
ルートの詳細をいろいろと調べているうちに無性に行きたくなってしまい、時期を見計らって実行に移した。

・取付きまで
天狗山登山口からの一般道を標高差で100mほど登ると、右側に標識、左側にロープが張られた場所に着く。ここが、目指す尾根取付きへの分岐となる。
分岐の標識
左側のロープをくぐるとかなり急な下りとなるが、踏み跡は明瞭である。標高差で150m下りるとトラバースとなり、急に踏み跡が薄くなる。ところどころにあるケルンを目印に進むと、難なく取付きに着く。
ケルン/取付き

ケルン/取付き

 
・1P(30m・Ⅲ級) リード:大野
右ステップから真ん中を登る。土や苔の付く階段状の岩稜。途中にテラス2箇所あり。ランナー無しでも行けるが、今はウォーミングアップとして2箇所、細木に取る。上部の松木でビレイ。
1P

 
・2P(20m・Ⅳ級+) リード:駿谷
リッジを直上して小ハングを越えるラインを取る。上部の岩がかなり脆いので緊張した。もしかすると左の凹角のほうが登りやすかったかもしれない。カム(♯0.75)と木の根2か所でランナーを取る。
2P

 
・3P(25m・Ⅱ~Ⅲ級) リード:大野
斜度の緩い岩稜。岩壁下まで。
3P上部

 
・4P(30m・Ⅳ級+) リード:駿谷
小さなクラックからリッジへ。出だしは急だが、木に足をかけてスタート。カム(♯0.75)使用。もっと小さいカム(♯0.5程度)があってもよかった。
4P

 
・5P(10分・Ⅰ~Ⅱ級) リード:大野
コンテでしばらく歩く。思った以上に長い。
 
・6P(30m・Ⅳ級) リード:駿谷
チムニーを数m登ったところの左壁に、次に右壁に、それぞれ残置ハーケンがあるはずだが、最初のハーケンが見当たらず(大野さんによれば実はあったようだ)。右壁メインで適宜に左壁を使いながらチムニーを抜けた。チムニー内の岩の凹凸や上部の木にロープが引っ掛かり、とても重かった。
6P

 
・7P(20m・Ⅳ級-) リード:大野
10mほどのフェイスを登る。その先はリッジをさらに進んでからのビレイが正解だと思われる。実際にはリッジ手前で切ったため、次(8P)のコンテが長くなってしまった。
7P

 
・8P(Ⅱ級) リード:駿谷
立ち位置の関係から駿谷と大野の順番を入れ替え、コンテでリッジを歩いた。
 
・9P(25m・V級-) リード:駿谷
背伸びして一つ目のペツルにヌンチャクをプリセットし、二つ目のペツルがある方向に沿って登る。二つ目から直上してしまったが、後から大野さんに聞くと、やや右方向に寄ったほうが楽かも、ということだった。
9P

 
・10P(15m・V級-) リード:大野
下がすっぱり切れ落ちたスラブにペツルが打ってあるが、背伸びしても届かず、乏しいスタンスになんとか右足を乗せてヌンチャクをプリセット。右側ハング下にガバあり。足も置けるが脆い。中間部から右上する。上部は浮き石が多い。上がってすぐの松の木でビレイ。屈曲してロープが重かった。
10P

 
・11P~12P(10分)
ロープを収納し、リッジから少し下りた樹林帯を歩く。11Pと12Pの切れ目も分からないまま、あっさり天狗山山頂へ。
天狗山山頂

 
<行程>
登山口6:00~分岐6:25~取付き6:35-7:00~三段岩壁基部(9P開始地点)9:50~天狗山山頂11:00~登山口11:30

<装備等>
ダブルロープ(8mm50m)、カム(♯0.75~♯2)、クライミングシューズ(6、9、10P。それ以外はアプローチシューズ)

奥武蔵トレイルラン

平日の4時台に家を出て始発集合とは、なんともストイック。数日前の読図の講習でも飯能に来たばかり。今日も暑くなりそうだ。さて今回は、秋のハセツネに向けた追い込み企画ということで、飯能駅発着で低山を紡ぐ30km弱のコースに挑戦だ。

街中を歩き、能仁寺から登山道に入る。最初の登りから息が上がり先が思いやられる。先頭を行く松本さん、早いなぁ、さすがハセツネ13回完走者。今回練習に付き合ってもらった青栁さんも元々トライアスロン・トレランの経験者で、5回完走者だ。企画をしてみたものの本当に歩き切れるかしら、と不安を抱えながらまずは天覧山(197m)へ。
続いて多峯主山(271m)、久須美山(260m)。昨年のクリーン登山の逆向きルートだ。逆向きでも意外と景色を覚えているものだなぁ。今回は「平地や下りは小走りで、少し早めの山行」としたが、実際下りになると二人のペースがとにかく早くて最初から飛ばしていく。真似をしながら走り始めると、これまでビビっていたような泥の斜面も意外と怖くないもので不思議だ。
登りで耐えて、下りで走ってその勢い(惰性)で次の登りの途中まで進むというのを繰り返す。平地になったときにストライドを伸ばすとさらに足が進む。少し先に目線をやって、気の根っこや段差に合わせて細かくステップを切り替えていく。結構おもしろい、これがトレランか!

その後、本日のルートで最も標高の高い天覚山(446m)。

東吾野駅手前で、リードに繋がれた猫と出会う。顔をすり寄せてくる猫の可愛い写真を撮ろうと、中腰で動き回る二人がとてもお茶目である。

駅前の自販機で大休止。暑すぎて今日は水分摂取をしっかりしないとまずそうだ。

さてそこから北東の峰に進み、ユガテ、エビガ坂、鎌北湖へ。途中で花山椒の実を発見。少しかじったら(当たり前だが)唇がビリビリ痺れた。

あたりは毛呂山町に。個人的な話だが私の祖父は長く山をやっていて東海自然歩道の踏査などに関わっていた。我が家で20年以上にわたり毎年注文している柚子ジャムがあり、それは毛呂山町のものだということを思い出した。祖父がどこかの山から下りたときに、地域の方々の手作りの商品を見つけて帰ったのだそうだ。同じ山を通ったのだろうかと、物思いにふけりながら日照りのロードを走る。鎌北湖は寂れていてちょっと怖かった。ここでも自販機があり、救われる。大休止。

さてそこから終盤戦。沢沿いを進む。沢水で顔を洗ったりして気合いを入れるが、すぐに日照りの長い登りとなり、暑すぎる。なんで登ってるんだろうと自問しながら無言で登り続けてやっと物見山(375m)。

さぁ、最後のピークも近くなってきた! 橋本山を経由して、みんなお馴染みの日和田山(305m)。岩トレもしないとなぁ。

山を下りて、巾着田の周りをぐるっと走る。ロードは足が痛いが、田んぼはのどかで、もうすぐ花が開きそうな曼珠沙華のつぼみが綺麗だった。
ドレミファ橋を渡り、高麗峠へ。

 
当初は宮沢湖を経由して総長30kmにするはずだったが、あまりにも暑い。後ろを歩く松本さんから(早くビールが飲みたいという)無言のプレッシャー。宮沢湖は飛ばし、計画書に記載した下山時刻16:30に間に合うように飯能駅へと急いだ。

反省会の場所を探す。松本さんお気に入りの「なかよし」は14:00開店だ。3名入れるらしい!そこをゴールとし、時間もちょうど16:30ということで山行終了。ハードなルートだったが27.8km歩き通すことができて充実の1日となった。

<行程>
飯能駅7:00~天覧山7:25~天峯主山7:50~久須美山8:50~天覚山10:15~東吾野駅10:45~橋本山11:45~鎌北湖12:50~物見山13:55~日和田山14:30~巾着田15:15~高麗峠15:35~飯能駅16:30

ルート図標高図
※上掲のルート図、標高図はYAMAPより転載

<所感>
○松本
久々にハセツネ杯にエントリー。それに伴う事前トレーニング。やりたくなくてもやらないと、という気持ちを自動発生させるもので、大会本番以上に重要視しているところです。近年新たな動機付けとしては、年齢と共に落ちてゆく体力に少しでもブレーキをかけるための自分自身への鞭と申しましょうか。
○青栁
元トレイルランナー気取りで名美さんに指導しながら走っていたら、見事に自分がこけちゃいました。脳と身体が連動しなくなっていることもよくわかった山旅でした。(笑)
○秋永
500mより低い山なのにこれだけアップダウンがある奥武蔵の山の魅力を知った。そして、走るのがとにかく楽しかった!カラダの速度に視線が追いつかないこともあったが、長年のテニスの経験を活かし、細かいステップや左右の切り返しが自然とできた。重装備を担ぐのも良いけれど、もしかしたら自分は走る方が向いているのかも、なんて思ってしまった。まだ2年目なので季節ごとに色々試してみて自分なりの山行のスタイルを見つけていきたい。

サバイバル・セルフレスキュートレーニング、源次郎沢(戸沢集中)

丹沢のモミソ沢出合懸垂岩で一日トレーニングを行い、戸沢に泊まって懇親。翌日は源次郎沢を遡行した。

 
■9/16(土)【サバイバル・セルフレスキュートレーニング】
 ・結びとヒッチの確認
 ・バックアップ付き懸垂下降中からの登り返しと再下降
 ・セカンドレスキュー、ビレイデバイスを使った支点ビレイからの1/3引き上げ
 ・リーダーレスキュー、ビレイヤーテンションからの脱出

初日、モミソ沢出合懸垂岩でセルフレスキューのトレーニングを行った。
10時に新芽山荘に集合しモミソ沢に向かったが、1名が訳ありで渋沢ではなく渋谷(?)を経由したため遅れて合流することになった。
懸垂岩に到着し、直ぐに基本的な結びとヒッチの確認(復習)から始めた。
ヒッチはプルージック、クレイムハイスト、マッシャーの順で締めの強度が変わる。また各々が用意したロープスリングの太さによってもフリクションが変わることを確認した。
次にバックアップ付きで懸垂下降中に上り返すことをシミュレーションした。これは7月のエイドクライミングの研修でも行っているが、私はビレイ器の上にフリクションヒッチを作り荷重を移すことなど既に忘れてしまっており、何度もやり直さなければならなかった。

セカンドレスキューからは二手に分かれて実施。自分がリードした際にセカンドにアクシデントが起こった場合の対応方法を学んだ。
まずは引き上げるシミュレーション。
登り返しをするのとは逆で、ビレイ器の下にロープスリングでフリクションヒッチを作り支点に繋いでビレイ器を外す、その時に必ず作ったフリクションヒッチを繋いだ環付カラビナにメインロープを通しておく。そしてさらに下の位置にロープスリングで二つ目のフリクションヒッチを作り環付カラビナにメインロープを通し引き上げる訳だが、一つ目と二つ目の間のヒッチの間の長さが引き上げる距離となるので出来るだけ距離をとる。
ここで滑車付きのカラビナを使用するとかなり引き上げるのが楽になることも分かった。
ロープに対するフリクション、カラビナに対するフリクション、どちらもその加減を体験しておくことが大切だと感じた。

最後にリーダーにアクシデントがあったことを想定して、ビレイヤーテンションからの脱出のシミュレーション。
まず、ハーネスのビレイループにロープを通しビレイ器の上でミュールノットでロープを固定し、両手を放せる状態にする。さらに、上にロープスリングでフリクションヒッチを作り支点に繋いでから下降器を外し、今度はもう一つ支点に掛けたカラビナにムンターヒッチでミュールノットアンドオーバーハンドノットで完全にロープを留めて脱出し、救助要請に向かえるようにする。ここで時間がなくなり説明を聞くだけで終了したが、必ず自分でも復習を行いたい。

 
この後、買出し組とタープ設営夕食準備組に分かれて行動し、戸沢山荘前の河原で合流してお楽しみの宴となった。久しぶりに参加された南谷さんに豚肉とジャガイモと那須のソテーをごちそうになった。南谷さんは本格的に料理を学ばれてるそうで、ダッチオーブンを使い、大変柔らかく絶品のポークソテーでした。

 
■9/17(日)【源次郎沢遡行】
6:30に出発。しばらく林道を歩き、本谷と分岐する二俣を左に進み源次郎沢に入った。源次郎沢は中流部から上流部まで10m級の滝が数本あり滝クライミングができると聞いていたが、噂の通りスリル満点の滝登りをすることができた。
チムニー状の滝を登ったり、10mを超える滝を右に左に巻いたりしながら進んでいった。

大きな滝に出くわすとロープを出すか、そのまま登るか、高巻するかをリーダーが判断するが、登攀の危険度と隊員の人数による時間を考慮しなければならない、自分は登れると判断しても隊員全員が登れるか・・・ これは大変難しいい判断であるとつくづく思った。
我々はリーダーの的確な判断に守られて無事に源次郎沢を上り詰め、最後は鈴竹と野ばらの藪こぎをして、12時に立花山荘の広場のベンチの脇にひょっこりと顔を出した。広場で休んでいた登山客は我々が地面に座り込みヒルを足からむしり取る姿を見て驚いているようだった。
その後は一般道の天神尾根を下り、戸沢山荘で解散となった。

槍ヶ岳・北鎌尾根

槍ヶ岳北鎌尾根、無名山塾に入った理由の一つ。
北鎌といえば、「孤高の人」加藤文太郎や「友を捨てるにしのびず」と書き残した松濤明。今回は無雪期ですが心情は一緒です。
計画では9/18下山予定でしたが、コンディションがよく、一日早く下山できました。

【結論】(無雪期北鎌踏破に必要なもの、北鎌コルまでを前鎌と称す)
1.体力
沢登り、高巻き、急登、ルートファインドのための偵察、クライミング、水場がない等々、てんこ盛りなので。
2.ルートファインディング
前鎌は踏み跡が薄いし、あっても間違っている。ルートをミスるとグレードが上がる。
3.グッズ
・沢靴:水俣川を15回以上渡渉するので。
・チェーンスパイク:前鎌には悪い草付きが多い。
・バイル:同上。我々は軽量化のため、ミゾーハンマーを代用した。
4.幸運
・水俣川の水量が股下くらいまでであったこと。躊躇なく渡渉できて時短になった。
・曇り気味であったこと。我々は各自に水5Lで何とか足りた。これがピーカンだったらやばかった。
・パートナーが強力であったこと。体力的に超人で、さらに精神的に仏のように安定していたので。

【詳細】
1.水俣川から千天出合
沢の地形に沿って、渡渉しまくる。15回渡渉した。軽量化のため、自分は沢足袋(後で履き替え)、駿谷さんはラバーソールの沢靴で最後まで通した。
今回、水量が基本的にひざ下、深いところで股下だったのは幸運だった。最初のつり橋も使わないで川の中を歩いて行った。
水俣川遡行無造作に水流の中を遡行できるので時短になった。有名な古いFIXが張ってあるへつりも使わなかったし、難しいところはなかった。2年前はここで敗退していたのに。
有名なへつり

2.千天出合からP2
出合はゴルジュなので高巻いた。ピンクテープが要所にあり、わかりやすい。しかし、高巻き自体は悪く、滑りやすい草付きのトラバースが多く、気が抜けない。
ゴルジュの高巻き3回高巻いてP2取付きに出られる。取付きにはケルンとつり橋の残骸の錆びたワイヤーがあり、すぐ同定できる。計画ではここでテント泊だが、水俣川の遡行が順調で時刻も13時だったため、P2まで進むことにした。
P2取付き自分は沢靴をアプローチシューズに替えて、チェーンスパイクをつけた。
P2取付きから尾根方向に踏み跡がついている。尾根ではさらに明瞭な踏み跡。ただし、倒木で遮られて迂回する箇所が多かった。高度を上げると踏み跡は徐々に
傾斜を増し、木の根にぶら下がりながらよじ登っていく。ここは水平距離700mで垂直距離500m、平均斜度35度強の急登だ。
P2急登P2の肩に2テンがギリギリ張れる個所を発見した。しかし、木の根が邪魔だ。地形図ではP2ピークが横長で広そうなので偵察を試みた。P3とのコルまで偵察したが藪が深く断念。P2の肩まで戻り、幕営した。食事はお湯をかけて食べられるものとし、駿谷さんは尾西のごはんに親子丼の素、田中はスープ春雨。駿谷さんから春雨にカロリーがないことをさんざん揶揄(からか)われた。食事後、駿谷さんは5秒で寝ていた。素晴らしい才能。
P2テン場

3.P2から北鎌コル
夜間は雨模様だったので藪は濡れている。上下レインウェアでスタートした。P2とP3のコルは藪漕ぎで進む。そのうち、P2と同様の急登になり、木登りが始まる。
P3藪漕ぎ樹林帯を抜けるとP3到着。
P3ピークP3からはザレた岩場の上り下りが続き、なんとブルーベリーの群生の中を抜ける。
P4急登水節約とビタミン補給のため、ブルーベリーをむさぼり、かつ、ビニール袋に収穫した。
P3ブルーベリーその後、収穫を続けてビタミンも心も豊かになり、P4到着。
P4ピークP5はP4から体感100m(実際50m)下って登り返したところにハイマツがのった岩峰がそびえる。直前に下降路があるので、また50mくらい下降し登り返すとP5とP6のコルに詰めあげられる。ここが悪い草付きでチェーンスパイクとバイルが大活躍する。ネットでは「微かな草をつかんで滑り落ちないように慎重に登る」とあるが、装備を固めれば、ガシガシ進める。ゼイゼイとなったことは否めない。
P5P6コルへの悪い登りコルからP6への登りは悪いガレ場で、さらに千上沢側に切れ落ちている。コルに古いハーケンが上下に2枚打ってあるのでビレイポイントに使用。途中の儚い立木で確保してピッチを切り、2ピッチでP6に突き上げた。
P6への登りP6から尾根を伝って下降したり巻き込んだり弱点をたどったりしていくと、あっさりと広めのテント場に出た。慰霊碑もあった。P6とP7のコルと考えて先を急ぐと地図と地形が合わなくなり、GPSで確認したところ、先程のP6とP7のコルと思ったところが「北鎌コル」であり、P7だと思っていた目の前の岩峰がP8であることが分かった。P7は知らずに通過していた。ちなみに北鎌コルのすぐ上のバンドには紙が散乱していて見苦しかった。紙は持ち帰ろう。
北鎌コル

4.北鎌コルからP10
P8までは250mの急登。1か所フィックスロープがある。
P8手前FIXルートは明瞭なので体力勝負だ。我々は勢いあまってP8を通過し、気が付いたらP9(天狗の踊り場)だった。
P9天狗の踊り場P9はピークに4テンを2張り、下部に1張りできるところが目印。目の前に独標(P10)がそびえる。
P10独標今日の目標はP9であったが、まだ午前中なので先に進む。基本は尾根通しであるが、乗り越えられないときは右(千丈沢)左(天丈沢)どちらにも踏み跡がついている。右巻きが多いと聞くが両方偵察してルートを選んでいく。P10へはフィックスロープが張ってある悪いへつりを2回右に巻いて20mくらいのⅡ級の岩場を越えるとルートが見えてきて、P10の肩に詰めあげられる。
P10手前のへつり

5.P10から北鎌平
P10からは岩尾根、やせ尾根のトレースだ。今日は槍の穂はガスの中だが、北鎌平はよく見える。今日のゴールだ。
P10から岩尾根この辺から高山症状か喉が渇くし、腹が鳴ってしょうがない。スープ春雨のカロリーではパフォーマンスが維持できないのか。
P13までは明確なピークナンバーはわからなかった。コルにどのルートから下るか、ピークへどのルートから登るか。登ったり下ったりしているとP13についた。
時刻は14時、少しまったり休んでよもやま話に興じた。2テンなら張れるスペースがあり、ここで宿泊しようか悩んだ。電波が入ったのでYahoo!天気で雨雲レーダーを確認すると「16時から雨」との予報。でも、何故かノリノリになっていて北鎌平まで進むことにした。後で後悔した。
P14へP14までは岩尾根通しでルートが明白だが、P15がそびえていて行く手を阻んだ。「巻いてしまえ」とのご神託でP15はすべて千丈沢側を巻き巻きした。踏み跡は遠目には「絶対無理。千丈沢に滑落する!」という感じであったが、近づくと意外にしっかりしていて問題なかった。長かったが。踏み跡を延々たどって踏み跡が尽きるところから上昇した。岩雪崩が起きそうなガレ場を避けてハイマツや岩のリッジ沿いに100m上昇して北鎌平に詰めあげて力尽きた。
北鎌平へ速攻でテントを張り、飛び込んだところで雨が降ってきた。ギリギリセーフ。
駿谷さんは尾西のごはん、自分はスープ春雨を食して睡眠した。

6.北鎌平から槍の穂
もう後200mくらいでおしまいと思うと嬉しい。
槍の穂へ槍の穂へは巨岩帯をすり抜けていってチムニーからアプローチした。
チムニー下のチムニーから3ピッチで槍の穂についた。
槍の穂ガイドさんが「北鎌尾根から来た」と皆さんに説明してくれている。もっと詳しく説明してもらいたい。せっかくなので写真撮影の列に並んだ。
やったね槍の穂は満員で肩の小屋まで行列が続いていた。

7.帰り道
横尾でジュース、徳澤でソフトクリームを食べたことしか覚えていない。

<所感>
○駿谷
北鎌尾根は体力さえあれば大丈夫、といった類の情報がネット上では散見されるが、これはミスリードする表現だと思う。
落ちたら一巻の終わりとしか思えないリッジ上で、脆い岩場と悪いザレ/ガレが連続しており、これらに対して或る程度の耐性がないと普通に泣きだすレベル。気力体力がともに充実していなければけっして来てはいけない場所だと感じた。
実際に我々の登攀中に一人、下山したころに一人が同ルートで滑落していたようだ。もしかすると2021年のこのエリアの地震の影響がまだ残っているのだろうか。
とにかく無事に帰ってこれてよかった。
なお、朝は300kcal程度のどん兵衛、夜は0kcalの春雨で2日半をしのいだ田中さん、下山後は体重が4kg減っていたらしく、この脂肪燃焼力にはたまげました(私は1kg減)。

<データ>

■9/14(木)

信濃大町 18:00
竹のや旅館 18:10 4,800円(素泊まり)
焼鳥とりしん 18:30 焼き鳥が最高

■9/15(金)

信濃大町駅バス 5:15 1,500円、2023年8月から七倉山荘までアルピコバスが開通【祝】
七倉山荘タクシー 6:00 2,400円(4名乗り合わせで600円/人)
高瀬ダム 6:30 なんと高瀬ダムまで2,100円! いままでは信濃大町からタクシーで16,000円かかったのに!
出発 6:45
湯俣山荘 9:00 湯俣山荘は建設中だった。伊藤新道に行く人たちが10名くらい準備していた(人気)。我々は水俣川を渡渉して青嵐荘で情報収集。
出発 9:45
千天出合 11:50
P2取付き 13:00 4テン2張り規模のスペースあり
P2 15:00

■9/16(土)

GPSの高度 地図上の高度
P2 4:50 2,123m 2,150m 我々はP2の肩でテン泊、2テン規模のスペースしかない。
P3 6:00 2,310m 2,337m ルート上に2テン1張り。ピークはルートから離れていた。
P4 6:40 2,480m 4テン2張り、2テン1張りのスペースあり
P5 7:50 2,468m 巻いた
P6 8:50 2,529m 2,540m
P7 9:15 2,516m
北鎌コル 9:27 2,477m 4テン1張りくらい
P8 10:50 2,724m 途中に2テン1張り
P9 11:20 2,744m 2,749m ピークに4テン2張り、下部に4テン1張り
P10(独標) 12:57 2,894m 2,899m 手前に4テン1張りスペースが3か所
P11 13:16 2,887m
P12 13:43 2,873m 2,880m
P13 14:24 2,870m 2,873m 2テン1張り、以降ところどころに2テンスペースあり
P14 15:20 2,881m
P15 2,980m 巻いた
北鎌平 16:17 2,960m 4テン4張りくらい行けるのではないだろうか

■9/17(日)

北鎌平 5:20 2,960m
槍ヶ岳 6:30 3,180m
槍ヶ岳山荘 7:40
出発 8:00
小梨平 14:30 日帰り入浴(14:00-16:00、800円)を目指してひた走った。

 

 

笛吹川水系・ナメラ沢

「残暑避け まだまだ続くよ ナメラ沢」

雁坂トンネル料金所横の駐車場に9:00集合。宇井さんが久しぶりの参加ということで、本科生の我々は自己紹介をした。9:15出発、沓切橋までは車道歩き。「雁坂峠」の歴史を感じる看板。秩父往還と呼ばれるこの道は日本最古の峠道として、江戸時代から大正まで秩父王滝村の繭を塩山の繭取引所まで運ぶ交易の道として使われてきたきたそうだ(下山時に通過した雁坂峠の看板より)。

今回のナメラ沢は笛吹川水系。甲武信ヶ岳の東に位置する破風山(はふさん 2,318m)へと突き上げる沢だ。一般的には前夜泊の日帰りとする場合が多く、また「天国のナメ、地獄の詰め」と紹介する本もあるようだ。今回は敢えて沢泊とし、ツェルトなどを活用した不整地でのビバーク訓練も兼ねている。さて、登山道に入ってから少し尾根を越えると、明瞭な「ナメラ沢」の看板。沢沿いに下りていき、装備を整える。

10:35入渓。陽射しもあるし、明るいナメの様子に心が躍る。

程なくして、今回の遡行で唯一の滝らしい滝、2段5m滝。水流も多く、右側から高巻いた。

その後は幅広い一枚岩の緩やかなナメが続く。この場面は40mナメだろうか。それぞれ水流沿いだったり草付沿いだったりを登っていく。多少の傾斜があっても、小さなくぼみにしっかり重心を乗せればフリクションが効くのはおもしろい。

13時過ぎ、1,680mの二俣を通過。左俣に進んで程なく、これは「10mボコボコ滝」だろうか。階段状になっており、難なく通過。2日目も含めて一度もロープを出すことはなかった。

少しルンゼ状になってきた。水流も少ない。そろそろ今晩の寝床を探そうかということで周囲を見渡しながら進行。地形図を見ると、1,800m手前の右手(左岸)の尾根が少しなだらかになっている。脚力のある男性陣3名、八重樫さん・中村さん・青栁さんが偵察に行ってくれて、トランシーバで状況共有。広くて良さそうだということで、14時前に沢から離れて尾根に上がった。

それぞれ平らなところを見つけ、ツェルトやタープの設営。笹が多く、思ったよりもフカフカな寝床をつくることができた。15時前、山塾テント村が完成。

青栁さんのタープの周りに集まり、石を組んで焚き火をすることができた。日が暮れるまで時間が長く、やかんを紐と木の枝でつるすなど、あれこれ工夫して楽しむことができた。一昨日がスーパームーンだったので、日が暮れても空は明るい。消灯したのち、21時過ぎから少し雨が降った。

翌朝は5:30集合。急斜面を下りて再び入渓。遡行図通り、1.900m付近から涸れ沢になってきた。左(右岸)の尾根に乗ることも考えられたが、藪が濃い可能性もあり、そのまま沢沿いを詰めていく。次第に傾斜が強く岩が大きくなり、よじ登っていくが結構ガレている。涸れた小滝を高巻きする際などに二度ほど大きめの落石もあり、フォールラインに入らないようお互い気をつけて進行した。途中大きく開けたのち、再び谷幅が狭くなる。最後は分厚い苔に包まれた岩と木の根の間を縫うようにしてよじ登っていく。かなりの急登だ。2,300m付近の稜線まで一直線に詰める。

もう少し、あと一踏ん張り、と声を掛け合いながら、段々と空が見えてくる。ついに、別の登山者の姿が見えた!やっと稜線に出た!嬉しくてたまらない。その登山者は甲武信から来たようが、藪の中から次々と人が出てくるのを見てたまげたようだ。

稜線を少し左(西)に進むと、南側に景色が開けた。ガスがサーッと晴れて、一時だけ富士山まで望むことができた!

時間は8時手前。装備を解除し大休止。

下山は雁坂峠の方向へ。まずは東破風山(2,260m)。その後2,289mの雁坂嶺。道標が二つあって何でだろうと思ったら、片方は埼玉県でもう一方は山梨県だった。そうか、県境だ!

低い笹の稜線歩きが心地よい。ところで、ここらの木が皆枯れているのは何故だろう。風が強いのだろうか。10時過ぎに雁坂峠を通過し、沢筋をめがけて下山開始。

落ち葉が多い。綺麗に姿を隠したカエルを発見。
少し傾斜のある細い沢筋を渡るところが二箇所ほどあり。一箇所は怪しいトラロープがかかっていて、その後大きな木の根を掴んでよじ登った。

11:50に沓切橋を通過。そこからはまた車道歩きだ。空はまだまだ真夏。陽射しがジリジリと暑い。
12:20、駐車場に帰着して終了。詰めはハードだったが、尾根に逃げることなくナメラ沢を遡行しきったのは達成感が大きい。
下山後は近隣のはやぶさ温泉にて汗を流した。

<行程>
9/2 雁坂トンネル料金所駐車場9:15~沓切沢橋9:55~入渓10:35~二俣(1,680m)13:10~幕営地(尾根上1,790m)13:50
9/3 再入渓5:40~稜線7:45~東破風山8:30~雁坂嶺9:30~雁坂峠10:10~沓切沢橋11:50~雁坂トンネル料金所駐車場12:20

<所感>
○田中
今回は不整地でのビバークがテーマの沢山行でした。各自ツエルトやタープでテーマ通りのビバークが出来たと思います。自分はなかなか快適で爆睡しました。懐かしの宇井さんと久しぶりに山行出来たのが嬉しかったです。
○宇井
転勤、介護、出産を経て山塾へ戻ってきました。沢登りは9年ぶりでしょうか。感慨深いです。初めて沢で泊まりましたが、シュラフカバーだけでは明け方に足先が寒くなりあまり眠れませんでした。これも経験ですね。全体的に優しいナメ滝で癒されました。不安定な岩だらけの詰めが一番面白かったです。
○秋永
ナメに対してフェルトソールが吸い付くような感覚があると、フリクションが効くようだ。ツェルトは、木の根や枝にスリングやガイラインを活用して綺麗に張れて満足。朝方は冷え込み、レインウェア上下とペラペラのライトダウンを着込むのみで我慢していたら変な夢を見てしまった。来年は釜ノ沢などに挑戦したい。
○鹿内
終わってみれば水が涸れてから詰め上がるまでがやや登攀要素があり楽しかった。やはり自分は岩登りが好きなようだ。ナメ滝は綺麗だった。
○八重樫
ナメラ沢は登攀要素もほぼなく、綺麗で開けているナメが続いて、癒される沢でした。詰めは大変でしたが…。また、初めてのツェルト泊で良い経験ができました。
○中村
きれいなナメ滝が多く、良渓であった。上流では倒木や堆積物も多く、沢の斜面に足を踏み入れたところ、足元に堆積した砂と岩が崩れて落石を惹き起こしてしまった。人が踏み入れていない箇所を遡行する場合、落石の危険も考慮した上で注意すべきであることを実感した。
○青栁
その名にもあるように、いくつものナメ滝を登る楽しい山行でした。ただ尾根に出る最上部は大きな岩も浮いていて気を抜けない難しさもありました。夜の焚き火とタープ泊は大変楽しかったですね。

奥穂高岳~岳沢縦走(夏山合宿グループB)

5月の机上講習から企画を進めてきた夏合宿。山域、ルート、メンバリングなど本当に色々と検討を重ね、最終的に我々グループBは、上高地から涸沢・奥穂高・岳沢への縦走を完遂した。
青栁さんは何度も行ったことがある一方で、私は初めての穂高連峰だ。さらに久しぶりの3日間の山行で、直前には滑落遭難のニュースも多く目に入ってきていたため、正直なところ緊張度は高かった。しかし二人でよく話し合い、天候にも恵まれ、達成感のある合宿となった。

■8/11(金・祝)
山梨県の青栁別邸に前泊。そこから上高地までは車で2時間程で、都内を早朝に出発するより楽であった。コロナ後の揺り戻しか、5:40の時点で沢渡駐車場に満車のマーク、バス待ちの長蛇の列も見える。我々は第4駐車場にぎりぎり停めることができた。バス停に並んでいるうち、幸いにも空っぽのバスが来て乗車でき、ほぼ予定通りに上高地BTに到着できた。
装備を整え、6:50出発。今回は縦走なので、二人とも極力の軽量化に努めている。水は1人あたり1.5L程度。私のザックは12kg弱、青栁さんにはテント装備をお願いし15kg程度だっただろうか。梓川沿いに、行き先の山々を眺めながら進んだ。
明神五峰から主峰(中央右の小さめのピーク)まで徳澤園までの途中に明神岳の五峰から本峰までを全て見渡せる箇所がある。実は今回の合宿企画では、山域を絞り込んだのちに明神岳というプランも考えた。結果、研究生以上の参加が見込めず見送りになったのだが。梓川からしっかりと見上げて、いつか行こうと二人で士気を高めることができたのは良かったと思う。
横尾までの道のりは一部工事中で、梓川を反対側に渡って迂回せねばならないので注意。先程まで観光客ばかりだったのが、突如我々だけになり気が引き締まる。パノラマコースの入口には、「屏風のコルを経由して涸沢へ至るパノラマコースは残雪のため通行できません」との札が。はて・・・少し立ち止まったが、雪の少ない今年にさすがに残雪は無いだろうと、進むことにした。

屏風のコルへの登りは、上高地からの標高差にして900mほど。塔ノ岳(ボッカ訓練)に比べれば大丈夫!と何度も言い聞かせるが、雲ひとつ無い晴天、南向きの斜面、無風で暑い。そして、人がほとんど入らないからか、アザミが人の背近くまで伸びて非常に歩きづらかった。手袋やアームカバーをし、ストックでかき分けながら進む。

辛い登りでも、ふと顔を上げるとたくさんのお花たちが。トリカブト、アキノキリンソウ、そしてウドの仲間だろうか。

ようやく屏風のコルに到達。初日の登りが終わって達成感! 青栁さんからオススメの展望ポイントを教えてもらい、少しだけ屏風の頭のほうに登っていく。初めて涸沢カールを見て、その雄大さに、じわ~っと感動が込み上げてきた。本当はもう少し登ると大岩がありもっと展望が良いらしいが、今回は時間の関係で先を急ぐことにした。この時点で既に14:30。

細尾根楽しい細尾根を進む。一部色づき始めたナナカマドも見られた。紅葉の季節にはさぞかし鮮やかになるだろう。ようやく風が通るようになって、楽しい尾根歩き。

ガレトラバース・・・と思ったのもつかの間で、トラバース区間に入ると、右側が切れ落ちたザレ場に出くわした。青栁さんによると、ここにはロープが整備されていたそうだ。そうか、「残雪」は無いけれど未整備ということか・・・ ちょっと足を乗せただけでパラパラッと石が落ちていくザレ場、大きい石がゴトッと動いてずれるガレ場。斜面のほうもどこを掴んだら良いのか分からない。私はこういう道に経験が無くて、相当ビビりながら進行。一つ越えてまた一つ・・・ 軽く6箇所くらいはあったと思う。

このトラバースはいつ終わるんだ、早く抜け出したいとめげそうになった頃、再び涸沢カールが目の前に広がった。ここまで気丈な青栁さんにだいぶ助けられた。もう少しでテン場!と気合を入れ直して進み、ようやく16:40に涸沢ヒュッテに到着。約10時間行動となった。
青栁さんオススメの端のほうにテントを張り夕飯。かなりの疲労度だったが、靴紐をゆるめたり服を乾かしたりしているうちに段々と元気になった。夜は星が綺麗だった。

■8/12(土)
本日も晴天。4:30出発のはずだったが、トイレに行ったり離れたテント管理所へ札を返したりしているうちに遅くなってしまい、5:00出発。ザイテングラート(「支尾根」という意味だそうだ)の登りは700m弱。両手を使ってよじ登る動作が増えてきて、風も心地よい。足場もしっかりしており、正直この登りが一番楽しかった。

涸沢岳はスキップしようかと迷っていたが、直感で先にピークを踏んでおきたいと思い、穂高岳山荘に荷物をデポして山頂へ。ここ数ヶ月は修行要素の強い山行ばかりだったので、久しぶりにピークらしいピークを踏み、しかも3,000m級ということで喜びが込み上げてきた!

北穂高岳、キレット、槍ヶ岳、そして遠くは立山連峰にうっすら剱岳まで見通せる。絶景に感動した。

南側に奥穂高岳。そしてその奥にジャンダルム方面。グループAは無事に通過しただろうか。その後、穂高岳山荘前の蛇口で飲料水を追加。100円で500mLいただけるのはありがたい。水の量を各自1Lと決め、今回も軽量化を意識して出発だ。3箇所の垂直鉄ハシゴでのすれ違いはさすがに混雑したが、幸いにも良識的な登山者が多く、お互い声をかけあって待ち合うことができた。

奥穂高岳山頂。岳沢のほうからはガスが上がってきた。下山を急ごう。

10:50頃、吊尾根からの下山開始。紀美子平までの標高差はわずか200mなのだが、2.5時間もかかってしまった。ザレ・ガレは無いものの、斜面を左手に岩場をずっとトラバースしていき、多少の登り返しなども。最初は前穂高岳も踏むつもりでいたが、スキップすることにした。ガスってきて展望は期待できないし、重太郎新道の下りでかなりエネルギーを使いそうなので、できるだけ余力を残しておきたい。紀美子平の手前でそう決めてからは心が楽になった。

重太郎新道は、大きな一枚岩に鎖がかかったところやハシゴが多い。切れ落ちたようなところは無いので三点支持をしっかりすれば問題ないが、感覚的には6~7割クライムダウンをしている感じで、最後には「もう岩場はおなかいっぱい!」と思うほどだった。

岳沢小屋が見えてきた。グループAメンバーの大きな笑い声が聞こえる気がする。既に杯をかわして盛り上がっているのだろう・・・ 声が聞こえるのになかなか高度が下がらない。17:00すぎにようやく岳沢小屋に到着、合流した。12時間行動となった。

■8/13(日)
最終日、5:30に岳沢小屋を出発。駆け足で下りていって、風穴の前で集合写真。

明神岳の取付も確認できた。7番の看板の前で、踏み跡が意外としっかりしている。
梓川のあたりで写真撮影なども楽しむ。河童橋から後ろを振り返ると、岳沢から奥穂高岳がよく見える。あんな高いところに居たのかと夢心地。天気・仲間に恵まれ、怪我も事故もなく3日間過ごせたことに感謝し、穂高連峰に向かって一礼。7:30に上高地BTに帰着した。

<行程>
8/11 上高地6:50~徳澤園~屏風のコル~涸沢ヒュッテ16:40
8/12 涸沢ヒュッテ5:00~ザイテングラート取付~穂高岳山荘~涸沢岳~穂高岳山荘~奥穂高岳~紀美子平~岳沢小屋17:10
8/13 岳沢小屋5:30~風穴~上高地7:30

<所感>
○青栁
前穂登頂はガスの為に断念しましたが、それ以外はほぼ予定どおりの山行でした。チームで互いに助け合い、怪我することもなく楽しく岳沢テント場に辿り着く事が出来ました。パノラマルートや吊り尾根の下調べが甘かった事は反省点ですが、結果的にはナーバスになり過ぎず前向きにトライ出来たのだと思います。
○秋永
1年ぶりの3,000m級かつ縦走で、本当に登れるだろうかと不安だったが、無事に踏破できて達成感がとても大きい。青栁さんに本当に感謝! 縦走のため、軽量化やエネルギー・水分補給にもかなり気を遣った。今回スキップした前穂高岳に来る時は明神岳から縦走したい。

荒川水系浦山川・冠岩沢

SMSCAクリーン登山(登山道の清掃活動)の翌日に近郊の沢登りを計画。西武秩父駅に集合、高橋車で秩父市浦山へ。
冠岩橋に続く林道を歩くと水が流れている。昨日の夕立に起因しているのだろう。沢の水量が懸念される。
冠岩橋を渡り、鳥首峠へ向かう登山道を沢沿いに歩く。道が沢から離れるところ(廃屋がある)で沢装備に。入渓するがすぐに堰堤がふたつ現れ早速高巻く。
水量は多く、小滝の両脇からも水が落ちている。しかし、遡行に支障はなく且つ水の透明度は高く美しい。
水量多し
15m滝の登攀に向けて積極的に小滝を登る。
3m滝

3m滝

標高800m手前で15m大滝が現れる。
15m大滝で作戦会議
水線脇は岩がのっぺりしていて嫌らしい。中間の立木の直下あたりから取り付いた。途中で残置支点を探したところ、クロモリの新しいハーケンを見つけた。確認するとしっかり効いている。そこを1ピン目に。
15m滝登攀
そして立木で2ピン目。立木の根元は土の急傾斜で、アルパインヌンチャクをセットする際にバランスを崩して落ちないように注意した。立木から上がるか、トラバースして滝の落ち口まで行くか。トラバース方向をのぞいて「行ける」と確信、そのルートを進んだ。落ち口先の岩が動かないことを確認し支点を構築、インラインエイトノットで落ち口まで移動しビレイ解除をコール。大野さんはタイブロックで登攀。ラストは平さん。
15m大滝
そのすぐ先の2段の滝(5m×2)も難しかった。下段のトイ状はヌメっておりガバが遠い。落ち口に上がる際に2度ほど足を滑らせたがクリア。上段は右の岩から巻いた。
苦労した5m滝

苦労した5m滝

標高860m付近で25mスダレ状大滝。
スダレ状25m大滝
水量が多いにも関わらず、物静かに水を落としており、堂々たる風格。高巻きが非常に悪いとトポやヤマレコ等に記載があったが、少し手前から左岸の稜線に上がれば問題ない。
大滝の高巻き

大滝の高巻き

沢への復帰も懸垂するという情報があったが、急斜面をトラバース気味に下りられた。
2~3mの小滝はまだまだ続き、楽しませてくれる。
滝は続く
標高950m付近で赤滝が現れる。こちらも滝の少し手前から左岸を高巻く。
赤滝(奥)

赤滝(奥)

再度沢に復帰し、標高1050m付近の右岸に大岩があるあたりで遡行を終了、左岸の急斜面をつめていく。やぶはないが一同急登にあえぐ。
大岩から詰め
そのままつめ上がると横倉山山頂でドンピシャリ。
横倉山山頂
下降ルートは冠岩沢左岸尾根を選択。地形図を見て下降点がわかりにくいだろうと推測し、登山道下の地形に留意して歩いた。そのうちに尾根のような形状の地形を確認できたあたりで下降開始、徐々に尾根が明瞭になる。途中で支尾根に引き込まれそうになるが、大野さんの助言で復帰。きのこが多い(私はタマゴダケを採って夜のつまみと味噌汁に)。
タマゴダケ
しばらく下降すると鉄塔(安曇幹線)があり、その巡視路から登山道に出てそのまま下山した。
下山
入渓したあたりで、私は湿った岩に足を滑らせ左の掌を5cm程度スッパリ切ってしまった。平さんが持参した真水で傷口を洗い、大野さんが持参した巨大絆創膏を張り応急処置、反省。

○クライミングロープ 8mm×30m 1本
○水量:多め

<行程>
浦山大日堂8:30~冠岩橋9:10~入渓点9:30~2段15m大滝10:40~25mスダレ状大滝11:40~赤滝12:15~横倉山13:20~鉄塔(安曇幹線)14:30~冠岩橋15:00~浦山大日堂15:40

<参考:気象データ(アメダス浦山)>
雨量:8/21 0mm 8/22 2.0mm 8/23 0.5mm 8/24~8/25 0mm 8/26 11.5mm 8/27 0mm

那須 井戸沢・大沢左俣

那須の大沢がイイらしいとの噂を聞き、さっそく計画した。せっかく遠出するので隣にある井戸沢とセットにして、初日は井戸沢を楽しく遡行して中ノ沢を下降、二日目は大沢左俣にチャレンジして余裕あれば井戸沢を下降、という贅沢なプランとした。

■8/5(土)
まずは大沢林道のゲートから林道歩きで約1時間。入渓地点にある堰堤は右岸に残置されたロープを使って乗り越えたが、堰堤を覆う丸太が濡れており、とても滑りやすい。堰堤手前20m地点から右岸を巻くのが安全だと思われる。
入渓地点
朝一ということもあってF2(15m)は一応ロープを出し、高橋さんがリード。大野さんが大胆にも中央突破しようと言うが、定石通りに右壁の藪を小さく巻く。藪に入ったところにある土の垂壁2mには残置スリングが2~3本ぶら下がっており、結果的にはフリーでも突破できたように思う。以降、ロープは出さなかった。
F2
次々と現れる5m~10mほどの滝を乗り越えていく。スラブ状の滝が多い。
スラブ滝
F9(15m)は、大野さんは階段状となる左側から、高橋さんはやや難しそうな右側からチャレンジする。
F9
青い空に向かってまっすぐに突きあがっていく。思わず歓声をあげる。
詰め手前
最後までスラブが続き、詰めは腰下の笹やぶとなる。
詰め/笹やぶ
稜線に出て、流石山を経由して大峠から登山道で下山を開始する。途中で峠沢、中ノ沢を渡渉するが、我々は中ノ沢から再度入渓して下降する。
中ノ沢の下降開始地点

中ノ沢の下降開始地点

ナメ床が多くて気持ち良い。
ナメ床
三斗小屋宿跡付近にある橋のあたりで脱渓。
駐車スペースのゲートから15分のところにある幸の湯温泉で汗を流した後、焚火の森キャンプ場へ。焚火を楽しみながらの話は尽きない。しこたまお酒も入り、それぞれ気を失ったように落ちていった。

■8/6(日)
大沢林道から入渓地点への林道が分岐する場所にスペースがあったので、そこに駐車する。堰堤が連続する区間は林道でショートカットし、30分ほどで入渓地点に到着する。入渓してしばらくは涸れ沢のゴーロ帯を進む。
ゴーロ帯
ゴーロ帯の丘を越えると、見事な連曝帯が現れた。
連曝帯
しばらくすると20mのスラブ滝が現れる。予習したところによると、左側のボロいルンゼを8割がたの高さまで登り、途中からルンゼを脱出して右側の滝身に近づくように遡上するはず。このルンゼの脱出から右側に乗り出すまでが今日の核心だった。残置があるという情報を得ていたがルンゼ内には見当たらず、ルンゼの奥の割れ目にカム(#2)をセットして、両手足を左右の壁に突っ張りながらルンゼを脱出した。その脱出した箇所に残置ハーケンが見えたが、手でゆすっただけで抜けてしまった。滝の落ち口を過ぎ、ロープを40mほど出したところの灌木でビレイ。
スラブ滝20m
その後も、落差はないがⅣ級の滝が続く。
緊張感は終わらない
最後の二股には涸れたスラブ滝40mがある。ここまではラバーソールのシューズにフェルトソールを装着していたが、ここでフェルトを外す。高度感はあるが、ラバーのフリクションが良く効き不安感はない。カム(#0.3、#1)を使用。
スラブ滝40m
詰めは井戸沢と同じ程度と予想していたが、笹が濃くてはるかにきつかった。
詰め/笹やぶ
この時点の疲労感から、井戸沢下降プランはあきらめていた。そして、稜線からの登山道の下りが長いことが分かっていたので、五葉の泉を過ぎたあたりにある1792mピークからバリエーションを下ってみようと踏み跡を辿ってみる。しかし、標高で100mほど下降すると藪が濃くなり、これは無理だと再び稜線まで登り返す。これで約1時間のロスとなり、余計に疲れた。
さらに、長い下りの途中で天気予報にはなかった突然の雷雨に見舞われ、登山道が沢のようになる。もし井戸沢を下降していたら危なかった。
レインウェアの中までびしょぬれになりながら19:30に駐車スペースに戻った。

緊張感も含めて最高に楽しく、かつ、要所における判断等で反省点も見つかった沢登りとなった。

<装備>
8/5 30mロープ
8/6 50mロープ、カム(#0.3~2)、ハーケン

<行程>
8/5 大沢林道ゲート7:00~三斗小屋宿跡7:50~井戸沢入渓8:10~F2 8:40~F9 9:20~稜線11:30~中ノ沢入渓13:30~脱渓15:00~大沢林道ゲート15:50
8/6 林道分岐6:30~大沢入渓7:00~20m滝8:00~40m滝10:20~稜線14:00~三斗小屋分岐18:00~三斗小屋宿跡18:50~林道分岐19:30