小草平ノ沢

  • 期間 2023-07-08
  • メンバー L秋永(42期)、田中(35期)
  • 記録 秋永

丹沢の基本の沢の経験をできるだけ多く積みたいと考え、企画した。当初は戸沢集中で2日間の予定であったが、メンバーが減ってしまったことと、ほぼ毎週山行が続くことから、今回は日帰りの企画とした。

小草平ノ沢は、昨年の7月に沢下降の講習で行ったところだ(本年も同様)。計画では小草平ノ沢を遡行したのち、ナガレの沢を下降して戸沢に下りる予定であったが、遡行に計画の倍の時間を費やしてしまい、天候も芳しくなかったことからナガレの沢は見送りとした。帰りに、毎度お馴染み堀山の家に立ち寄り、心身を休めることができた。
以下、写真と共に振り返る。

7:33 渋沢駅発、大倉行きのバスに乗車。予定より1本早いものに乗ることができた。
大倉より鍋割山方面へと西山林道を進む。今日は天気が優れず、林道はじめじめと暗い印象だ。道具のことや今夏の合宿のことなど話しながら歩みを進める。


9:12 二俣に到着。トイレを済ませ沢装備を整える。挨拶を交わしたパーティーは勘七ノ沢に行くようだ。
9:36 出発。5月の沢初め以来2度目の沢なので、まだまだヨチヨチ歩き。


入渓してすぐに現れた堰堤の乗っ越しが簡単なものではなかった。お助けスリングを掴んで乗り上がるが、反対側は足場が少なく、慎重にクライムダウン。まだ滝も現れていないのに、こんなところからエネルギーを使って大丈夫かしら。
※翌々週の講習で同沢を下降したところ、この堰堤は左岸のほうがなだらかで、容易に高巻きすることができた。

勘七の沢との分岐
ほどなくして、勘七ノ沢との分岐。勘七のF1は水量も多く、結構手強そうに見える。いつかあちらにも挑戦したい。


10:02 F1。田中さんに先に登っていただき、結局ロープを出していただいた。
登り切ってから教わったのが、離れた木でロープを折り返し、滝の落ち口付近でインラインエイトノットで支点とセルフビレイをとる、沢ならではのシステムだ(昨年の8月の軍刀利沢の遡行でも、矢田さんに教わった)。
その後も小滝が続くが、何度かロープやお助けスリングを出してもらう。


10:25頃、二条4mの滝だろうか、ようやくフリーで直登することができた。水流のなかのホールド・スタンスがしっかりしていたので突っ込んでいったら、頭からシャワーをかぶり、見事全身びしょ濡れだ。一気にザックと身体が重くなった。

11:00頃、とある滝の直登を試みるが、田中さんも「スタンスが足りない」という。巻くことにしたものの、だいぶ苦戦した。すぐ右脇の岩を登るも、その上に堆積した落ち葉がずるずると滑り、引き上げていただいた私はロープにしがみついて四つん這いで何とか登った次第だ。その後、滝の先の沢まで降りることができたが、巻いたからといって必ずしも安全ではないことを体感した。


11:45頃、CS滝(4m)。無理はしないと言い聞かせつつも、できる限りチャレンジはしたい。ということで、この滝はロープを引いて右岸をリードした。一箇所だけ古いハーケン(?)が刺さっていたが、それ以降は適当な支点が無い。左の樹々のほうを巻こうか。体勢を変えると不安定になる気がして、そのままCS沿いにトラバースしていくことにした。下から田中さんが「中間支点を取れ!」と叫んでいる。岩角を探してスリングをかけてみたが、その岩が少し割れて崩れてしまい、支点としてはとても怪しい。それでもロープをクリップして精神安定剤とし、次に進む・・・ ようやく下から見えていた太めの樹に到着して「根っこ」にスリングを通してセルフをとり、なんとかビレイ解除となった。


そこに支点を作ってムンターヒッチで引き上げ中、急に「バキッ」と音がして身体がふわっと浮いた。なんと「根っこ」(直径4cmくらい)が折れてしまったのだ。田中さんに登りを止めてもらい、慌てて隣の太めの根(直径10cmくらい)に支点を取り直し、ビレイを再開した。田中さんは不安定な状況でなかったし、自分の足場も多少広くて踏ん張れるところだったので良かったが、支点の重要性について痛感するヒヤリハットとなった。

既に12:20。本来ならばナガレの沢下降を開始している時間だ。疲労も出てきているし、天候はずっと曇りで優れないまま。このまま続行すると大倉下山は17:00を過ぎるだろうと沢下降は諦め、大倉尾根を下山することに決めた。
その後、また小滝をいくつか乗り越えたり巻いたりして、段々水流が少なくなってきた。そろそろ大倉尾根かねと話しながら、しかしあまり急いで巻いてしまうと違う支尾根に入ってしまうので、順当に詰めを続けるうち、空が明るくなってきた。


少しだけ落ち葉の斜面を詰めて(意外と短かった)、大倉尾根に到着。No.27の看板の前で記念写真。ずっと気を張り続けていたので、登山道に出てようやく安堵した。


馴染みの堀山の家の皆さんに「ただいま~」と声をかける。沢装備を解除していたら、田中さんの後ろに丸々太ったやつがボトッ。十分に吸血して落ちたらしい。私は沢シューズを脱ぐとネオプレンソックスに3匹!手に1匹! 見つけるたびにぎゃーぎゃー騒ぎながら塩をかけて成仏してもらった。堀山の家に入り、ダルマストーブで身体を乾かして十分に休憩。15時過ぎに出て、16:18の大倉バスに乗り込んだ。

反省会は山塾行きつけの「いろは食堂」で。電気が消えていたので休業かと踵を返したところ、「やっているわよ」とおかあさんが出てきてくださった。お店に入るや否や「沢登り?」と聞かれてびっくり。「つるっとさっぱりした顔をしていたから」と、どうやらお見通しだったようだ。このお店は座るとお任せで色々なメニューが出てくる。こんにゃく、らっきょう、一つひとつが美味しい。結局貸切りで、お店に訪れる山ヤの方々のことなど、色々なお話を伺った。高校生を連れて丹沢の沢登りを経験させ「たくましい子に育ってほしい」という教員のこと、山岳会に入って慣れたころにお許しが出ないまま雪山に行って亡くなった若い女性2人組のこと。「いつまでも謙遜の気持ちを忘れないで」というお言葉をいただいた。そして最後の生姜焼きは本当に美味しかった。また食べに行こうと思う。

<所感>
○田中
小草平ノ沢は何回も行っているし、どの滝もフリーで行ける1級の沢です。しかし、今回は2人パーティーなので慎重を期して何度もロープを出しました。その結果がこの遡行時間なのでやむを得ないと思います。やはり4人パーティーくらいだとレスキューも可能なので、次回はそのくらいの人数で望みたいです。高巻きは滝よりも高い位置をトラバースすることが多いので危険です。今後も少しの距離でも無理しないでロープを出した方がいいと思います。
また行きましょう。他の本科生も気軽に声をかけて下さい。
「いろは」のおかみさんは随分円(まる)くなったと思う。
○秋永
丹沢山塊には何度も来ているが、沢の経験が全然足りない。今回は沢の魅力と難しさを一気に感じた山行となった。ガイドブックで見た遡行「2時間」は全然その通りにならず、2名なのに倍の4時間かかってしまった。やはり登攀やロープの扱いによって所要時間は異なり、計画を立てるのが難しい。まだ滝や岩場に対する不安感が強いので、できるだけ慣れていきたい。

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