八ヶ岳・稲子岳南壁左カンテ

  • 期間 2025-10-04~2025-10-05
  • メンバー L中村(42期)、秋永(42期)
  • 記録 中村

同期である秋永さんから、クライミング経験が浅い人でも挑戦しやすいルートとして人気のある「稲子岳南壁左カンテルート」に行かないかとのお誘いがあり、私が初のリーダーで実施した。 しらびそ小屋にテント泊し、マルチピッチクライミングで稲子岳を登頂、ニュウを周ってシャクナゲ尾根を下山する行程とした。また、以前から行きたいと思っていた稲子湯にも立ち寄ることができ、充実した山行となった。

■10/4(土) 曇りのち雨
みどり池入口登山口駐車場を13時15分に出発。14時頃から降り出した中、しらびそ小屋に14時30分に到着。テント設営後、道の駅しもにたで購入したぴりからこんにゃくをつまみに小屋のビールで喉を潤した。22時に就寝。

■10/5(日) 朝のうち雨のち晴れ、午後再び雨(霧雨)
6時出発の予定で4時に起床するものの、まだ雨が降っていたため出発を遅らせ6時に起床し、7時15分に出発した。
一般登山道の2110mあたりが取付きまでのアプローチの起点とのことで、テープの目印を発見し、コンパスで方向を確認しながら行く。最初はほぼ平らな樹林帯であったが、進んでいくと急登の岩稜帯となり、雨で濡れた苔むした岩や倒木を乗り越えながら、8時15分頃事前に写真で確認した取付き箇所に到着。しらびそ小屋からはちょうど1時間。
取付きへのアプローチ

○1P:15m 中村リード
スラブからのクラックに、今回はテント泊装備のザックを背負い、クライミングシューズではなくアプローチシューズで臨んだ。最初に左足を踏み出して体重をかけた際にまったくフリクションがなく滑ってしまい、「やばっ」と思わず声が出た。このような状態では最後まで登攀することは絶対無理とその時は思ったが、「いやいやさすがにここで撤退するのは嫌だ」と気を取り直す。靴底をよく見ると濡れた泥が付いていたため、あたりの岩に何度も擦り付けたところある程度フリクションが利くようになり、慎重に登る。先行パーティーがいたため、本来の終了点よりも手前のテラス部分の岩にスリングを巻き付けて支点構築し、引き上げを開始した。
1P目
リードした際には気付かなかったが、右側に複数のハーケンがあり自分の観察力のなさを実感した。
右側に複数のハーケン

○2P:30m 秋永リード
凹角を登る。本来よりも手前で1P目を切ってしまったため、ロープがドラッグして重かった。2P目には高さ3mほどのクラックがあり、アプローチシューズがクラックに引っかかって苦戦。両側のボルトにヌンチャクをかけてA0で突破。

○3P:20m 中村リード
右にチムニー、左にクラックのルート。先行者がクラックルートを選択していたため、そちらに挑戦してみた。今回買い揃えたカムを使って途中まで登ったが、クラックにシューズをねじ込めなかったため、諦めてチムニーを登る。
なお、もたもたしている間に後続のパーティーに追い付かれてしまったため、先に登ってもらう。
3P目

○4P:25m 秋永リード
4P目

○5P:25m 中村リード
凹角を登る。途中で体の向きを変えて反対側の岩に飛び移らなければならなかったため、若干緊張した。
5P目

○6P:15m 秋永リード
最終ピッチ。
6P目

先行パーティーを待つ時間が長かったことと、3Pでクラックルートを諦めて後続パーティーに先に登攀してもらったこととで時間を要し、クライミングに3時間かかってしまった。
クライミング終了直後から雨が降り出したが、稲子岳、にゅうを登頂し、シャクナゲ尾根から登山口駐車場に下山した。稲子湯に寄って汗を流した後、帰路に就いた。

<行程>
10/4 登山口駐車場13:15~しらびそ小屋(テント泊)14:30
10/5 しらびそ小屋7:15~左カンテ取付き8:15-8:50~終了点12:00~稲子岳山頂12:30~にゅう13:15~登山口駐車場15:25

<所感>
○中村
初のリーダーとしてのバリエーション実践山行で、大変勉強になりました。途中で雨が降り出すこともなく登攀でき、一安心でした。
○秋永
入会直後に聞いた「イナゴナンペキ」、漠然と目標に据えて3年間。いよいよチャレンジ。先輩抜きの同期同士で達成できたのがとても嬉しいです。チムニーなどの核心ピッチ(奇数)は中村さん頼りでしたが、長めの3ピッチ目のリードを含めてつるべで登り、声の通らない箇所ではロープの引きだけで意思疎通するなど、成長を感じられて自信につながりました!