八ヶ岳・硫黄岳

硫黄岳に行きました。1日目は赤岳鉱泉で幕営、2日目に硫黄岳に向かう日程です。

■1/13(土)
八ヶ岳山荘から赤岳鉱泉までは穏やかな斜度であるが冬装備がやはり重い。フライ・ポールを分担で持ってもらい、14時にキャンプ場に到着。
赤岳鉱泉
風がなく想像ほど寒くない。雪でのテント泊は初めてのため諸先輩に教わりながら設置。
夕食は山本さんの味噌鍋。美味しい。
夕飯
明日に備えて早めの就寝となったが、足先が寒いのと整地がうまくできておらずテント内が坂になって入口側に滑り落ちてしまうため、あまり眠れなかった。整地は非常に重要な事がわかった。翌日聞いたところ皆も寒さでなかなか寝付けなかったようだ。

■1/14(日)
4時半に起きたものの集合時間までに女子テント側の準備が間に合わず、予定より30分遅れの出発となった。非常に天気が良く風もないため歩きやすい。景色も美しい。
美しい景色
赤岩の頭を過ぎたところから風が強くなる。ここから山頂までは岩の登り。
赤岩の頭あたり
無事山頂に到着。
山頂にて山頂にて
風が強いためすぐに下山開始。
下山
幕営地に戻り、デポした荷物やテントを片付け八ヶ岳山荘に向かう。15時のバスまでにかなり時間が余ったので、山荘にて休憩して帰宅の途についた。

<行程>
1/13 八ヶ岳山荘10:30~美濃戸山荘11:30~赤岳鉱泉(幕営)14:10
1/14 赤岳鉱泉6:30~赤岩の頭8:40~硫黄岳9:20~赤岳鉱泉10:45~美濃戸山荘12:30~八ヶ岳山荘13:40

<所感>
○田中
今年は寒くないので赤岳鉱泉のアイスキャンディも1/3程度の規模だった。テントの数も少なくトイレの側に2張り確保できた。登頂日の天候は良く、雪も少なく、風も硫黄岳の山頂で強風くらいだったのでリスクの高いシーンはなかったと思う。夕飯は共同食で山本さんが用意してくれた。ありがとうございました。美味しかったです。
○高橋
今シーズン初の雪山登山。アイゼンワークが全くダメで、少しショック。景色は素晴らしく、アルプスの山なみが美しかった。
○中村
厳冬期の八ヶ岳でしたが、それほど雪もなく、天気にも恵まれ、楽しい山行でした。今回はアイゼンワークをする上で、岩と雪のミックス部分も含めフラットフィッティングを意識しながら歩くことができた。今後も様々な状況での登山経験を積み、安全で楽しい山行ができるようにしていきたい。
○山本
入山日は曇りから雪になり、幕営地まで歩くのみで景色を楽しむ状況ではありませんでした。鹿内さんに持参して貰ったテントは、私には初めのテント設営でした。テントの中は暖かいのでテントが欲しくなりました。翌朝は手間取ってしまい予定より遅く出発となってしまいました。風が無く天気に恵まれて、登りの途中に峰の松目や赤岳を見ながら、上がる体温を澄んだ空気で冷やしながら山頂に向かいました。硫黄岳山頂付近は少しですがアイゼンの岩場歩きが出来て楽しかったです。下りが苦手なので、岩場歩きは課題です。山頂からはパノラマ展望でした。夏とは違った八ヶ岳の姿が美しかった。とても素敵な山行でした。田中さんにグローブのレイヤード、高橋さんにテント設営について教えていただきました。また、仲間と一緒に行きたいです。
○鹿内
経験のない厳冬期テント泊の山行ということで正直不安でしたが、気候が良かったこともあり、終わってみれば非常に楽しかった。冬ならではのテント設営や山行中のふるまいに関する細かなTipsを教わり勉強になりました。

湯河原幕岩RCT

2023年の登り納めということで、湯河原幕岩での岩トレを企画した。


駐車場から40分程歩き、まずは悟空スラブへ。取付きにて装備を整える。春のように暖かく、皆、薄着になった。


中村・吉岡ペアと、青栁・秋永ペアに分かれ、登攀開始。最初のピッチは二本足で歩ける程度ではあるが、ボルトを見つけ支点をとっていく。


1Pが約30m、2Pの終了点はその先を見越して少しトラバースし立木に支点をとって約30m。振り返れば駿河湾がとても綺麗で伊豆大島までよく見えた。4Pあるかと思っていたが3P約40mで終了点に到達した。最終ピッチは少し斜度が強くなり、朝イチのカラダにはちょっときつい。


終了点にて。


ここから引き続き二手に分かれ、マルチ懸垂。ロープダウンがうまくいかず、激しく絡んでしまった。絡みを解きながらなんとか下降。2回の懸垂で取付きに戻った。


その後、桃源郷の岩場に行き、まずは吉岡さんが「Washing」(5.6)をリードしトップロープを張る。左隣の「シルクロード」(5.7)と合わせて各自練習した。スラブでスタンスが細かい。


中村さん、トップロープ。


続いて青栁さんが、右隣の「いんちきするな」(5.7)をリード。トポ図には、洗濯板のように細かいスラブをつなげて登るとあるが、文字通りだった。


秋永、トップロープ。

最後に、ガリバーの岩場に移動し、吉岡さんが「赤ずきんちゃん」(5.9)をリード。全員トップロープで登ることができ、終了。

翌日、青栁さんと吉岡さんは正面壁のほうで2日目のトレーニングを行った。

年の瀬とは思えないほどポカポカの陽気で、マルチピッチのロープワークに加え、スラブの岩場の経験を積むことができ、とても充実した登り納めとなった。

春には、城山南壁に挑戦したい。

南八ヶ岳 美濃戸周辺 アイスクライミングトレーニング

今回、私たちは美濃戸にICTに行ってきました。当初は三叉峰ルンゼを遡行する予定でしたが、荒天の為、美濃戸周辺で遊んできました。

01 氷瀑
美濃戸周辺の氷瀑を訪れます。 02 高橋
03 木村
04 山の神の氷瀑
山の神の氷瀑はまだ登れる状態ではありません。 【感想】 ■木村  今シーズンは今のところ積雪が少なくてアイスクライミングを楽しむには良いシーズンとなっています。結氷状態もまずまずだと思います。ちなみに美濃戸口の氷瀑はまだ登れる状態ではありませんでした。 ■高橋  吹雪と強風の荒天予報のため、ルートの最後であり、初見でもある石尊峰の岩峰を登攀することに怖気づき、延期を提案、受け入れていただきました。氷柱のアイスクライミングはピックの打ち込む個所や足さばきなど考えさせられることが多く、難しい課題でした。

南八ヶ岳・裏同心ルンゼ

アイスクライミング初めとして、裏同心ルンゼを計画。
朝6時に美濃戸に集合。林道に積雪はなく凍結個所もなかった。駐車場はほぼ満車であった。
準備を整えて堰堤広場まで歩く。悲しいことに積雪はない。堰堤広場から先は徐々に凍結個所や積雪が出てくる。しばらく歩くと大同心が姿を現す。
大同心が姿を現す
赤岳鉱泉に到着、アイスキャンディーの結氷は未完。
アイスキャンディー
裏同心ルンゼに向かう。
ルンゼをつめる
登山道からF1取付きまで、思いのほか歩いた。前回登攀した際は氷が薄く滝の落ち口へ上がる際に苦労したが、今回は十分に結氷している。
F1
トップロープを張って練習しているパーティがいた。先行パーティが登るのを待って、自分(高橋)リード。研いだバイルが良く決まった。
F1登攀
メインロープにリーシュが絡まるなど少々のアクシデントあり。落ち口まで登ると立木に捨て縄がかけてあった。その立木でビレイ。
続くF2へ向かうため、沢をつめていく。左俣にも立派な凍結した滝があった。F2の結氷もいい感じ。
F2
木村さんリード。F2は落差も距離もあるため、ロープ残量に注意しながらビレイ。「ロープ半分!」をコール。
F2登攀
その直後に上から「テンション!」。「なに!?」と思ったが、「何かトラブルだな」とすぐに理解。しばらくすると「ブーツが壊れた!」。恐らくスレッドを作成して懸垂で下降するだろうと思っていた。案の定、Aスレッドを作成、捨て縄をセットし木村さんが懸垂下降してきた。右足のアイゼンが外れている。テーピングで靴を補修しアプローチ用のアイゼンに履き替え、往路を下る。
振り返ると中央アルプスなどの山並みが美しかった。
振り返って
F1には登攀者がいたので、ビレイ点と異なる立木を懸垂支点にして下降。下降中、登攀者とトラブルにならないように核心部を越えるまで途中待機。
今回は引き返すことになったのが残念であったが、良い経験になった。

〇クライミングロープ 8mm×50m 1本

<行程>
美濃戸6:30~赤岳鉱泉8:30~F1取付き9:40~F2取付き10:20~F2撤退11:10~赤岳鉱泉12:10~美濃戸14:00

<所感>
〇木村
当日は晴れて穏やかな天候になり絶好のアイスクライミング日和となりました。
F2をリードしている途中でブーツのソールが剥がれてしまい、そこで遡行を終了しました。マモちゃんには申し訳ないことをしました。そこまではとても楽しく登ることが出来ました。やはりアイスクライミングはいいですね。

霞沢岳西尾根

これまでに敗退を繰り返してきた霞沢岳西尾根(2020/12/30~12/312021/4/16~4/17)だが、今回は条件が良く、ようやく登頂できた。

■12/29(金)
松本から中の湯までバス利用。釜トンネル入口で登山届を提出し、朝方に7人パーティが入ったと聞く。12時半に出発。予報通りに晴れて暖かく、気温は+1℃。釜トンネル、上高地トンネルとも内部は照明されており自前のランプは不要、路面は乾いていた。
砂防工事事務所への道を入るとようやく雪が積もっているが、しっかりと踏まれている。トレースに従い、急斜面のササをかき分けて尾根に上がる。尾根に取り付く
最初のうちこそ緩やかな箇所もあるが、西尾根は基本的に結構な傾斜でザックの重さが堪える。その等高線が一段と密になった1780mでアイゼンを装着。前々回(2020年)に泊まった1840m地点を通過し、木を掴んで身体を持ち上げるような急斜面をこなすと傾斜が緩んだ。
15時半、1920m付近でトレース脇の雪面を均してテント設営。雪が柔らかく整地してもやや傾いでいるが、寝るには差し支えない。無風で静かな夜だった。
C1

■12/30(土)
起床時にテント内が凍結していない。年末とは思えない暖かさだ。
ハーネス、ヘルメットを装着、50mロープを持つ。ワカンは不要かもしれないが、先行パーティとラッセル交替するかもしれないのでザックに入れた。明るくなるのを待ち、6:50に行動開始。
2000m手前に先行パーティのテント2張を見て、2050mまで急登。その後等高線の間隔はほぼ一定になるが、実地の感覚では相変わらずキツい登りだ。
8時、2200mを超えて気温-5℃。さらに上がると乗鞍岳方面の視界が開け、今年3月にアカンダナ山を巻き下りて未完に終わったルート(⇒ 3/18~3/21 焼岳~白谷山)も見える(写真右の白い三角が白谷山、そこから中央の安房山に繋がるコブがアカンダナ山)。乗鞍岳方面
やがて前方に見えてきた岩峰はK1ピークか?・・・と思っていると、2500m付近でナイフリッジとなる。ナイフリッジ
トレースに従ってリッジ側面を通過すると、先ほどの岩峰こそ西尾根の核心となる岩場(2530m)だった。基部に7人パーティがいる。
核心部の岩場
追いついて挨拶を交わすと、彼ら彼女らは関西からとのこと(テントに「蛍雪」と大書してあったので、おそらく関西蛍雪山岳会)。人数の少ないこちらが核心部を先行させてもらう。フィックスロープが3本も張ってあったので、その1本にプルージックを掛けて登った。岩が露出し適度に手掛り足掛かりがあって難しくなかったが、そこは雪や氷の状態次第だろう。
核心部(上から)

(帰路、核心部を下りるところ)

ロープの末端まで登り切ると、ふたたび細いリッジにトレースが続く。振り返れば、焼岳をバックに7人パーティが核心を登っている。
核心部を振り返る
広くなった尾根を、いよいよ山頂へ。
山頂へ
細長い山頂の南端に乗り上げ、山頂標の立つ北端に移動。9:45、霞沢岳(2645.8m)に登頂した。霞沢岳登頂
山頂からは眺望が素晴らしい。やや風が強いものの、気温は+1℃。天候と言い雪の量・状態と言い、つくづく今回は条件に恵まれた。やがて到着した7人パーティはK1ピークまで行くとのこと。霞沢岳からの眺望霞沢岳からの眺望(山名)

7人パーティと写真を撮りあってから下山開始。
核心部の下りはフィックスロープを使って半マスト懸垂(バックアップ付き)にしたが、ロープを掴めばほとんど歩いて下りられた。用意した自前ロープの出番は無し。
12時にテントに帰着。計画ではここにもう一泊して下山なのだが、明日は雨予報のため、余裕があればテントを下へ移そうと考えていた。しかし、この時間ならこのまま下山できるとテント撤収して急ぐと、中の湯14:30のバスに間に合った。
松本の駅ビルにて、宿題(西尾根)を片付けた祝杯を挙げた。

<行程>
12/29 釜トンネル入口12:30~砂防工事事務所13:20~西尾根1920m付近(C1)15:30
12/30 C1 6:50~核心部岩場(2530m)8:20~霞沢岳9:45-10:00~C1 12:00-12:40~砂防工事事務所13:30~釜トンネル入口14:10

鍬柄岳南稜~西稜

昨年のつづら岩と同様に、秋のマルチピッチ実践山行を企画。群馬県富岡市の鍬柄岳(くわがらだけ)にて南稜登攀、西稜下降を行った。私含め本科生3名は、初めてのアルパインルートだ。
鍬柄岳南稜についてはあまり記録が無いのだが、今回はこちら(⇒ ブログ|みんカラ/2019/11/7 鍬柄山 南稜から西稜下降~!(^^)! )を参考にさせていただいた。

千平駅
高崎駅より上信電鉄に乗り換え、千平(せんだいら)駅に降り立つ。風よけの壁と天井で囲まれたベンチが一つ、完全な無人駅だ。住宅街に伸びるマイナー路線は、味わい深い。
30分ほど歩いて登山口に到着。そこから標高差にして約200m、樹林帯の中を登る。汗ばんだが、稜線に乗ると冷たい風が吹き、一気に冷えた。
鍬柄岳山頂に向かう一般道(鎖場)との分岐を西側に進み、鍬柄岳南稜の基部へ。

登攀開始
あれこれ偵察をし、参考ブログと同じようなルートを探すもなかなか分かりづらい。結果、東寄りの登りやすそうなところから登攀開始。まずは松本さんがリード、続いて秋永がロープを2本引きながらセカンドで登攀。土や砂が滑るが、草を掴みながらよじ登るうちに、すぐに岩の稜線に上がった。

支点構築
岩角に120cmスリングを2本かけて支点構築し、セカンドビレイ。4人が稜線に上がった。今回はロープワークに慣れてリードの経験も積みたいので、ここから二手に分かれた。私は金澤さんとペアを組み、吉岡さん、青栁さん、松本さんのほうは3人組となった。

2P目
2P目は2mほど両側が切れたところを進み、松の木から3mほどクライムダウン。
小ギャップから
小ギャップに降り立つと、目の前にリングボルト二つ、ハーケン一つが現れた。ここで区切ったほうが良いと判断し、支点構築。吉岡さんも追いついた。風がとても強くて寒いのでフードをかぶる。

3P目は金澤さんリード。細い枝にガースヒッチか二重にスリングを巻きつけるなどして中間支点をとっていく。窪みに溜まった落ち葉や砂がいやらしい。滑るし、パラパラと砂や小石が落ちる。より一層、静かに登らねばと気を引き締める。左側の松の木のテラスで区切る。

4P目
4P目、秋永リード。参考にした過去の記録ではここから2Pだが足し合わせると40m程なので、50mロープで登り切れるかもしれない。「ハーケン発見!」とうっかりオヤジギャグを言ってしまうが、気を引き締めて登攀再開。写真の赤線のように、トラバースをして、そのあとは松の木の間を直上していった。だんだんと空がひらけてきて、もしかするとこのまま登り切れるか?とドキドキしていたら、下からも「最後まで行っておいで」と声をかけてもらい、心強い。
木々が豊富なので、60cmや120cmのスリングでこまめに中間支点をとる。救助訓練に合わせて買い足した240cmダイニーマも使いやすかった。残りのアルパインヌンチャクの数がギリギリになってきたけれど、何とかなりそうだ。
トップアウト
夢中で登っているうちに一般登山客の姿が見え、ついにトップアウトした! 辺りは紅葉の絶景で、荒船山まで見渡せる。山頂の松の木の根に支点を作り、セカンドをビレイ。ロープがドラッグし、とても重くなってしまった。

金澤・秋永組
金澤さんと組ませていただくのは、とても貴重な機会。実は机上講習のアフターで、松本さんが何気なくお声がけしてくださったのがきっかけだった。
吉岡
続いて吉岡さん(2P、4Pリード)も終了点に到達。最終ピッチは直上してきたらしい! ロープの流れは良いが、立木が無いため中間支点は岩にスリングを巻くか小枝程度だったようだ。
松本全員集合
松本さん(1P)、青栁さん(3Pリード)も到着し、全員揃った。

さて、計画では大桁山を経て下仁田に向かう(コロムビアというすき焼きの有名店に行きたい!)ことにしていたが、偵察に時間がかかり、また二手に分かれて丁寧に登ってきたこともあって予定を1時間以上過ぎてしまった。縦走は到底無理とすっぱり諦め、西稜下降の後は千平駅に戻ることとした。

西稜の懸垂下降
西稜側に15mほど歩いていくと傾斜が急になり、強固な岩に残置スリングとカラビナを発見。そこから懸垂下降を始めた。枯れ枝が多く、風になびいたロープが引っかかってしまい、それを取りながら降りていく。
西稜の懸垂下降
下から見た様子。ややトラバース気味。こういうときは完全にロープダウンせずに、自分かペアが繰り出しながら降りていくのが良いだろう。
ロープの捌き方
松の木で区切り、ロープの捌き方などを教わる。末端側はスリーフォールデッドオーバーハンドノットだ。
青栁下降
ここにも残置スリングとビナがあった。青栁さんはエイト環で下降。

南稜西側の壁
基部に戻ってから、最初に見送った南稜西側の壁を今一度見直してみる。松の木に向かってトラバースをしていくルートだが、2個ほどハーケンが見つかった。こちらも登れそうだね、しかし朝一番はやはり緊張するよね、等と皆で振り返った。
風は強かったが、雲ひとつ無い晴天に、鮮やかな紅葉。天候とメンバーに恵まれ、アルパインルートのデビュー戦として、素晴らしい一日になった。

<行程>
千平駅8:15~鍬柄岳登山口8:45~南稜基部9:20~鍬柄岳山頂12:30~(西稜下降)~南稜基部15:10~鍬柄岳登山口15:30~千平駅15:55

<所感>
○松本
関東近郊のマルチピッチクライミングの入門に適していて、かつ自分にとっても初めてのところはないかと調べていたところ、ここを見つけました。鍬柄岳の鎖場のある一般登山道は面白いよと勧められてはいましたが、クライミングルートがあることは知りませんでした。
良い意味で、脆い岩と藪、貧弱な支点、上部からの落石注意、落石を起こさない登りとロープ操作、それらを包括する意味での泥臭いクライミングの頂点に値するような本ルートは、常に注意喚起するリーダーの下、初心者にはよい経験になることでしょう。
○青栁
ルートファインディングが自由ではありますが、とても重要な要素であることを再確認出来ました。ポカポカ陽気と紅葉と・・・晴れ男晴れ女に感謝です。
○吉岡
想定より寒く、震えながら鍬柄岳に挑みました。ゲレンデとは違い、ルートの見定め、プロテクション判断などの難しさを感じながら楽しめました。学びあり紅葉もありで、とても充実した一日となりました。
○秋永
今年はスラブの広沢寺や、落石リスクの高いナメラ沢の詰めを経験してきたので、砂や落ち葉が滑るような斜面にじんわりと荷重を移してから立ち上がるという動作ができるようになった。入門編といえど、4Pのうち2Pをリードできたのがとても嬉しい。今後もニッチなルートを見つけて挑戦したい。

埼玉-群馬県境・神流湖~二子山

椛澤初男『群馬の県境を歩く』を参考に、以下のように計画した。
(カッコ数字:同書中の山行番号、時間:同所要時間)
・1日目
 (1) 馬立沢林道~杉ノ峠(6h40m)
・2日目
 (7) 杉ノ峠~坂丸峠~矢久(やきゅう)峠(4h25m)
 (14)矢久峠~二子山~志賀坂峠(6h00m)
・3日目
 (16)志賀坂峠~諏訪山~蓬莱山~八丁峠(5h55m)
下山は、昭文社の山と高原地図「西上州」(以下、「地図」と表記)の破線ルートで坂本へ(コースタイム2h35m)。
しかし、同書の各行程は日帰りであるのに対し、こちらはテント泊装備に全行程の水が加わって荷物が重い。思ったように行程が伸びず、2日目に二子山を越えた地点で幕営して、翌朝、坂本へ下山した。
天候には恵まれ、特に土日は季節外れに暖かかった。

■12/9(土)
新町駅から神流湖上流側の太田部入口までバスを利用。太田部橋を渡り、神流川左岸の道を30分ほど歩くと、県境の沢に沿って林道が分岐する。この馬立沢林道に入り、間もなく道が逸れる地点から沢を直進。しかし、すぐに滝が現れた。馬立沢

右の斜面をほとんど四つん這いで上がるとその上にも滝が見えたので、まとめて巻いてしまおうと斜面をさらに詰めると林道に出た。林道はふたたび沢に近付くと分岐し、一方は対岸へ伸びている。地形図では430m地点の分岐のもう一方が沢に沿って続くので、そのまま道を進むことにした。林道分岐

しかし、軽トラ程度は通れる幅でつづら折れに高度を上げて行く道は地形図の線とは別の作業道だった。そこから沢に下りるのも面倒なので、そのまま道を進んで尾根に上がり、695ピークを経由して塚山の下で県境に復帰することにした。703ピークからの尾根を合わせてからも、道は尾根に沿って付かず離れずに見えている。県境を忠実に辿るならば430m分岐で道を外れて沢を行くのが正解だったが、そちらは傾斜が急でザックの重さに苦しんだことだろう。
塚山の西のピーク下で尾根が道と交差した地点で休憩の後、ザックを置いて塚山(954.0m)を往復した。塚山

ザックを担ぎ直し、道から離れて907ピークを踏む。尾根上に折々見かける赤いプラスチック杭や「県造林」のコンクリ標柱が県境なのか、埼玉側は植林、群馬側は自然林となっている区間が多い印象。
竹ノ茅山(978m)には大きなアンテナ施設がある。休憩中に聞こえた銃声2発は何を狙っているのだろう。竹ノ茅山

竹ノ茅山から先には地形図で破線(徒歩道)が入っているが、実際のところはこれまでも十分に歩きやすく、特に変化はない。多少のアップダウンを交え、15時に小さな祠のある土坂峠まで下った。土坂峠

日没前に次の杉ノ峠までは届かないため、土坂峠から少し進んで848m地点手前の鞍部にテント設営した。

■12/10(日)
明るくなるのを待って出発。
大久保山(980m)から先は地図でも登山道(破線)となる。杉ノ峠は祠の前に御神燈(昭和18年銘)も建っており、往時が偲ばれた。
杉ノ峠からは実線の登山道で父不見山(ててみずやま/ててみえずやま、1047m)へ。山名の所以を、埼玉側では父を見届けられなかった平将門の遺児に、群馬側では戦に出たまま還らぬ桐の城城主の妻子に求める、と小鹿野町、神流町共同の説明看板にある。山頂標傍らの「三角天」と刻んだダルマ石側面は「海抜千〇六十米 昭和九年 月」と読めそうだ。父不見山の標高とは相違するが、当時の測量値だろうか。父不見山

二等三角点(1065.8m)のある長久保ノ頭(大塚)から下りて県境が西北西に向かうところは、踏み跡に惑わされ南西の尾根に外れてしまった。地形図にない作業道を少し辿ってから県境尾根に復帰。
登山道は次の丸山(985m)を巻いているが、あえてピークを踏むつもりで進む。が、明瞭な道や神流マウンテンラン&ウォークのプレート(最新のコースにこの付近は含まれていない)を辿ると、今度は北に外れた。県境は明白かと思うと通常の目印が当てにならず、案外に難しい。
坂丸峠の祠の傍らには「右秩父道 左やま道」と刻んだ道標石がある。坂丸峠

ふたたび県境に忠実にピークを拾い、小さなアップダウンで矢久峠に到着。車道に下りる手前に白い観音像が建つ。車道を渡って尾根に踏み入る箇所に祠と並んでいる風化の進んだ古い像も観音様だろうか。矢久峠の観音像

地図の登山道は坂丸峠まで、地形図の徒歩道も矢久峠まででその先に道は無いが、尾根上は相変わらず歩きやすい。「境界明確化」の小さな杭を見ながら行く(後日判明したことだが、この杭は県境を示す訳ではない。神流川森林組合による森林区画のようだ)と、右手に痛々しく削り取られた叶山が見えてくる。
その叶山から伸びている秩父太平洋セメントベルトコンベヤーを跨ぐ辺りで岩場のヘツリに出くわした。パスしたヘツリ

人が通っている感じはするが、ザックに振られて転落してもつまらないので、左側の斜面に逃げてヘツリ先のピークに上がった。
その下の鞍部(960m)からの登りも、正面の岩がちの急斜面を避けて左側から上がる。斜面に積もった落葉に人の通った跡があるが、こちらもかなり急で息が切れる。
尾根に復帰して急斜面を登って行くと、県境が二子山の崖マークとぶつかる箇所。赤テープなどの目印は見当たらず、周囲を偵察したところ難易度は変わらないので、正面から行く。二子山に登る岩場

一登りすると、空中に足を出さないと渡れない箇所に出た。足元の岩も少々ぐらつく感じなので慎重に通過。次に、一段下りて向かいの岩に上がる箇所は、手を伸ばすとガバが見つかった。もう少しよじ登ると、二子山の登山道に出た。西峰頂上がすぐそこだが、1年前に踏んでいる(⇒ 2022/11/3 二子山)ので今回はこだわらず、少し進んだ地点で休憩。眼下に志賀坂峠に繋がる県境尾根が眺められる。二子山の眺望

あとは登山道通りだが、地形図の県境線から西側に膨らんで岩を伝い下りる箇所に<ここから先「群馬県」>の危険注意看板があった。群馬県の注意喚起看板

岩場から下りると15時近い。本日中に志賀坂峠まで進出するには無理があり、また、計画通りに明日八丁峠を回ると16時台の終バスに間に合わないおそれがある。今回はここまでとし、県境尾根が狭まった1000m地点にテントを張った。登山道を塞ぐ形になるが、この時間に通る人もいない。ただ、テント内に落ち着いてからも、二子山の方からクライマーの声が聞こえていた。

■12/11(月)
6時に出発。県境尾根に沿って続く鹿ネットに設けられたゲートから坂本への下山路に入ると歩きやすい道で、地図のコースタイムほどかからず、バス乗車までに余裕を持って下りられた。
西武秩父で祭りの湯が開くのを待って汗を流し、食事をして帰路に就いた。

<行程>
12/9 太田部入口BS10:00~馬立沢林道分岐10:30~塚山13:20~竹ノ茅山14:20~土坂峠15:00~848m手前鞍部(C1)15:10
12/10 C1 6:15~杉ノ峠7:50~父不見山8:30~坂丸峠9:40~矢久峠10:30~二子山14:10~県境尾根1000m地点(C2)14:50
12/11 C26:00~坂本BS7:00

表妙義・相馬岳北稜

前日の午後に和光市駅に集合し、大野さんの車で裏妙義国民宿舎跡に18時くらいに着。あずま屋の下で寒さに凍えながら宴会、翌朝に備えて早めの就寝。

4時前に起床、5時にヘッドランプを点けて出発。妙義湖沿いの車道の途中には散策者用の立派なトイレがあって利用できる。GPSを見ながら取付に。まだ暗い。ピンクテープが目印。
初めは急な踏み跡を辿る。ざれていて歩きにくい。まもなくネットの記録でよく見る「あたご社」の標識がある。
朝日に紅葉が映える。ざれとちょっとの岩を交えてP6の凹角。フリーで登れるとする記録もあるし、ロープを出すと時間もかかるので、そのまま登ることにする。凹角に入らずに登った。
ここはどこP6
まもなく懸垂下降点。残置シュリンゲあり。30mロープ2本を連結して降りる。
懸垂下降してP7へ
岩の谷間のような着地点から向かって左に岩壁をまわって、立木のあるところが次の岩場P7。終了点は見えない。駿谷さんリードで。なかなかコールがかからず、ロープも30mでいっぱい。末端がほぼ余らないくらいだった。
P7の出だし
続いて大野さん、田中さんがアッセンダーで続く。日陰での待ち時間は寒い。待っている間に後続パーティが現れた(このパーティーはOSコンビの知り合いだった)。最後の私はロープを結んで登る。出だしはボコボコでホールドスタンスとも豊富、後半に傾斜が緩んでからの手がかりが乏しい。ペツルが一つ。右にまわりこんだ。ロープがいっぱいで稜線まで上がりきれず、途中でピッチを切ってビレイしてくれていた。
そして再び懸垂下降。ここでも30mロープ2本を繋げる。着地点が見えないのでロープを腰にぶら下げて。下の立木に派手な緑の荷造りロープが見えたので、ロープいっぱいまでそこを目指して下りたが、(懸垂してきた岩に対して)少し右上の鞍部を目指した方が良かったようだ。50mロープでは足りないだろう。
懸垂下降してP12へ
上の鞍部からP12の登り。核心らしいので、クライミングシューズに履き替えて登る。
出だしは岩場ではなく急なざれ場で、念のため途中の立木に一箇所支点をとる。すぐにやや被り気味の岩に出る。クラックの脇にハーケンがあるのでクリップ。ハーケンの上にホールドを探してみたが、あまりよくないので左のキラキラ光っている鎖を掴んでぶら下がって登った。シューズの甲斐なし。
P12
藪の中を上がり切ってみると、支点を取る場所がない。少し下に戻って、灌木に巻いてある支点を使う。後続を引き上げ、繋げたロープの下側を手繰り寄せて次が登るという手順を繰り返した。
核心を終わった後の歩きルートはかなり足場が悪く、何度もしゃがみ込んで下りた。
眺めはよく足場は悪い
ギザギザの眺めに見とれながら、仙人窟に着く。橋状の岩があって潜ってみる。
仙人窟あたり
最後の懸垂下降はロープ1本で。長い長い道のりで山頂に着いたのは13時だった。
山頂
ここからは登山道なのだが、まだ気は抜けない。何本続くかわからない鎖に、時折ぶら下がって降りる。
のぞき穴からは歩いてきたルートの全貌が見渡せる。行ったりきたりして楽しんだ。
のぞき穴を覗く

なんとか明るいうちに国民宿舎跡に戻ることができた。

<行程>
裏妙義国民宿舎跡5:00~北稜取付6:00~P7 8:00~P12 10:00~仙人窟11:30~相馬岳山頂13:00~国民宿舎跡15:00

西上州 碧岩西稜

 今回、私たちは碧岩西稜に行ってきました。穏やかな天気のなか、ちょっとしたアルパインクライミングを楽しんできました。

01 三段の滝登山口駐車場
 駐車場の様子です。トイレがあります。 02 登山口の紅葉
 登山口で紅葉が迎えてくれます。 03 紅葉
04 紅葉
 登山道で紅葉を楽しみます。 05 三段の滝
 三段の滝の様子です。左岸を高巻きます。 06 碧岩西稜ギャップ
 三段の滝の滝口の先で居合沢を右岸へ渡渉して、写真の西稜のギャップを越えて西稜の北側に回り込みます。西稜に沿って斜面を登り、斜面が緩やかになってから間もなく左手に尾根が現れます。ここから右手に見えるルンゼから西稜に取り付きます。  ネットの情報によると上記ギャップよりもさらに上流の西側から西稜に取り付くと楽なようです。二子岩への分岐前、碧岩沢の出合が見えるあたりにケルンと赤布がありこれが目印とのことです。今回は先行者の踏み跡をたどります。 07 碧岩西稜
 30mロープで登っていきます。 08 碧岩西稜
 紅葉を見下ろしながら登ります。 09 山頂記念撮影
 山頂で記念撮影です。 【時間経過】 三段の滝登山口(7:10)~一般登山道~三段の滝(7:30)~右岸への渡渉地点(7:50)~西稜取り付き地点(8:20)~碧岩山頂(12:30)~一般登山道~三段の滝登山口(14:40) 【感想】 ■木村  紅葉を楽しむには時季が遅いと思っていましたが、幸運にも紅葉を眺めながらの登山が出来ました。今シーズンの紅葉狩りはこれで終わりになるでしょう。  碧岩西稜を登るのは初めてだったので、取り付きから山頂までロープを使用しました。そのために時間がかかりましたが、実際に登ってみてロープが必要だと思ったのは2か所でした。取り付きのルンゼと山頂近くの岩稜帯の計2ピッチです。取り付きのルンゼは見た目は易しいですが、実際は微妙なクライミングとなりました。ネットの情報の通りケルンがある場所から西稜に取り付いていればもっと楽に登れたのかもしれません。山頂近くの岩稜帯は右の側面をトラバース気味に残置ピトンに導かれながら登っていきます。この岩稜帯が核心部になると思います。私は登山開始から下山までアルパイン用のクライミングシューズを履いていたため、岩稜帯は快適に登れました。その代わりに、下山中に落ち葉で隠れた沢に何度か足を突っ込んで、シューズの中まで濡れて冷たい思いをしました。  碧岩への登山道の情報は南牧村公式サイトでダウンロードできます。 ■高橋  標高差も少なく取り付きまでのアプローチも短い。太った私にうってつけのリハビリルートではないか。少し悩んだが挑戦することにした。しかし、三段の滝から西稜の取り付きまでの急峻な斜面を強引に登るアプローチに体力を消耗。その後は飲まず食わずで碧岩頂上まで登った。核心部は完全なクライミングだった。細かい技術等、学びのある登山でとても有意義であった。ブヒブヒ言いながら登ってましたけど。

恩賀高岩

沢登りで靭帯を痛めてしまった相方が静養中のため、ここ最近は単独でできる自分のマックスを模索して活動をしていましたが、今回は恩賀高岩に行ってきました。山と高原地図の破線ルートで極短い1ピッチのクライミングがある山です。夏に行った際はあまりのヒルの多さに5分で撤退したので、リベンジ案件でもあります。
高岩全容

まず登山口から雄岩を目指します。ショートカットのため破線ルートを通らず地図とコンパスで雄岩直下あたりまで進み、ピンクテープに合流。コルで装備をセットしチムニーを登ります。
チムニー

下りはせっかくなので懸垂下降で。50mロープ1本では一度に降りる長さがないので、途中のテラスで再度懸垂。
懸垂下降

雌岩はP2で若干のクライミング。雄岩、雌岩ともに手がかりが多く登れますが、一人という緊張感でヒリヒリしました。有名(?)な雌岩のポイント。浅間山が綺麗です。
雌岩からの浅間山展望台

ちなみに雄岩は2年前に無名山塾とは別の講習会で行き、全くの初心者だったため鎖場だけで20分ほどかかっています。怖さと手のパンプでリタイアを迷うほど苦慮した記憶。今回は5分弱で登れました。今もまだまだ初心者ですが、昔と比較して成長しているのが嬉しい。一人という怖さからクライミングシューズやバイルやハーケンを持って行きましたが、使わないうえ重く失敗しました。アタックザックは持っていって良かった。雌岩からの下りは踏み跡がたくさんあり迷いやすく、後半は山レコも見ながらの下山となりました。
短い山行のため体力的に物足りず、下山後にクライミングジムに行きました。

<行程>
高岩八風平登山口8:30~高岩のコル9:00~雄岩9:40~雌岩11:00~高岩八風平登山口12:00