栃木県の山ヤの先輩からオススメされて知った、那須の朝日岳東南稜。超快晴に恵まれたものの、残念ながら強風により撤退!
ガレザレにゆるゆるの残雪、落石に注意しながらそこにアイゼンを蹴り込む難しさ。そしてたびたびの突風。風を読みながら効率よく進むのは難しかった。
那須塩原駅より大丸温泉行きのバスに乗り終点で下車。一般道でアプローチ。
下降ポイントでアイゼンやガチャ等を装着。この時点ですでに強風によろめく。物を飛ばされないようにと一つずつの動作が緩慢になり、もどかしい。
明礬沢に向けて下降。尾根には先行の3人組が見え、堰堤からのトレースもよく見える。
最初の急登は高気温で緩(ゆる)んだ残雪の下にガレザレ。こんな場所をアイゼンで登るのは初めてで、どれほど強く足を蹴り込んでよいのかわからない。おまけに靴紐の締めが不十分で足首が全体的に緩い。
・・・ということを気にしながらノロノロ登っていたら、「どうする、やめとく?」と松本さん。まずい、流石にこんな序盤で撤退できない。
もう少し登って安定したところで靴紐の件を申し出て締め直させてもらう。
先行3人組が引き返してきた。やはり門のあたりが強風だったようだ。松本さんも迷っている様子。靴紐を直して、ひとまず足元はしっかりした。
まもなく門に到達。安定した岩場。
突風の合間を見てよじ登る。
右側に巻くようにして(2mくらいの狭いスタンスのトラバースあり)懸垂支点に到着。噂通りそこは吹き抜け。これ以上来るなと言わんばかりの長い突風。鎖にセルフを取りしがみついた。
降りた先の直登ルートの様子。
迷っていた松本さんもここで撤退を決断。「雪や雨より、風が一番怖いんだよ」。仮に朝日岳まで抜けられても、その先の西側の稜線でさらに強風に叩きつけられるリスクがある、と。私も迷いなく頷く。
下山ではさらに雪が緩み、落石しないようにルートを取るのが難しかった。時折の突風に踏ん張る。
東南稜を背景にパチリ。那須連峰はデフォルトで強風とのことでその怖さを味わったわけだが、無風の瞬間は本当に春うらら。下山はシャーベット状の残雪の上をすいすい滑って1時間でバス停に戻ったのだった。
遠くからも門と懸垂ギャップのところがよく見える。
バス待ちの間、茶屋で頼んだゆず味噌こんにゃくが美味しかった。「朝日岳?」と聞かれて、「はい、撤退です、あ、あの東南稜」と添えたら「装備見て大体わかるわよ」と茶屋のオバチャン。さすがだ。
初級アルパインとはいえまだまだ経験不足だな~。大先輩でさえ「今日は無理しない」という判断。自分がリーダーだったら、歩くのに精一杯だった今日の自分より、もっと考えることがあっただろう。また挑戦しよう!
那須塩原駅では平成食堂にて反省会を行った。ふきのとうは春のごちそう。
<行程>
大丸駐車場9:15~明礬沢下降ポイント10:30~東南稜懸垂ポイント12:00~中の茶屋跡13:45~大丸駐車場14:25