日和田山女岩 懸垂下降

  • 期間 2012-10-08
  • メンバー 木村広、二見
  • 記録 木村広
 今回、私たちは懸垂下降時のロープ連結に使用する結びについて、何か便利な結びがないかを実験して検討しました。
※ただし、この報告は私個人の感想文のようなもので、この報告の内容を参考にされても困ります。


【実験方法】
懸垂下降に使用するロープ連結の結びは、以下の条件を満たすことが望ましい。(※個人の感想です)
1.信頼性が高い(高負荷加重時に、結び目のロープが滑らない、解けない)
2.強度が高い(結節強度保持率が高い)
3.結び方が覚えやすく、結ぶ時に間違いにくい
4.回収が容易(ロープ回収時に結び目が障害物に引っ掛かりにくい)
5.高負荷加重後、結びを解きやすい
この内、1と5について検証する。結び目に介助懸垂による負荷を3回加えて、末端の長さを負荷を加える前と後で計測して、その差を求める。結びは正確に、かつ入念に締め付ける。また、不測の事態に備えて、懸垂用ロープとは別に、ビレイ用にロープを用意して、安全を確保する。


【使用ロープ】
下記のクライミングロープを連結
9.9mm(赤色)
8mm(紫色)


【ロープ連結に使う結びのリスト】

1.バタフライベンド
01 バタフライベンド
2.ヅェッペリンベンド(ツェッペリンベンド、ローゼンダールベンド) 02 ヅェッペリンベンド(ツェッペリンベンド、ローゼンダールベンド)
3.キャリックベンド 03 キャリックベンド
4.ダブルオーバーハンドベンドその1(ダブルフィッシャーマンのように、結び目中央のロープを交差させる) 04 ダブルオーバーハンドベンド1
5.ダブルオーバーハンドベンドその2(結び目中央のロープを交差させない) 05 ダブルオーバーハンドベンド2
6.ダブルシートベンド 06 ダブルシートベンド
7.ダブルシートベンドリトレース 07 ダブルシートベンドリトレース
※この内、6と7は参考用としてリストに加えました。ダブルシートベンドリトレースについて、ロープを巻き付けられる方のロープが、滑ってしまうのを何度か見たことがあって、ただのダブルシートベンドと比較したかったので、リストに加えました。 【事前の予測】 バタフライベンド、ヅェッペリンベンド、キャリックベンドは信頼性が高く、解きやすい。ダブルオーバーハンドベンドその1とその2は、その1の方が信頼性が高く、その1、その2とも解きにくい。ダブルシートベンドは、リトレースの方が信頼性が低い。 【結果】 1.バタフライベンド  赤ロープ 始341mm 終341mm 差0mm  紫ロープ 始409mm 終400mm 差9mm  解きやすい 2.ヅェッペリンベンド  赤ロープ 始485mm 終477mm 差8mm  紫ロープ 始439mm 終439mm 差0mm  解きやすい 3.キャリックベンド  赤ロープ 始374mm 終359mm 差15mm  紫ロープ 始412mm 終392mm 差20mm  解きやすい 4.ダブルオーバーハンドベンドその1  赤ロープ 始470mm 終455mm 差15mm  紫ロープ 始465mm 終447mm 差18mm  解きやすい 5.ダブルオーバーハンドベンドその2  赤ロープ 始362mm 終356mm 差6mm  紫ロープ 始401mm 終389mm 差12mm  解きやすい 6.ダブルシートベンド  赤ロープ 始366mm 終360mm 差6mm  紫ロープ 始411mm 終398mm 差13mm  解きやすい 7.ダブルシートベンドリトレース  赤ロープ 始370mm 終350mm 差20mm  紫ロープ 始445mm 終446mm 差-1mm  やや解きにくい 【考察】  前提として、5mm以内の差は、測定における誤差の範囲内として考察する。バタフライとヅェッペリンは好成績である。キャリックは、結び目が安定するまで、負荷によって結び目が締め付けられる過程で、ロープが滑ったように見えた。ダブルオーバーハンドベンドは、その2の方が意外に信頼性が高かった。ダブルシートベンドリトレースは、特に入念に締め付けを行ったにも関わらず、大きくロープが滑ったので、リトレースしない方が良いのかもしれない。ただし、ダブルシートベンドリトレースがもっとも解きにくかったので、結び目が安定すれば問題無いのかもしれない。(※個人の感想です) 【木村所感】  今回は、太さの異なるロープを使用したためか、どの結びでも解くのが容易でした。現場での使用には、バタフライやヅェッペリンを候補にしてもいいかもしれません。また、ロープが濡れている場合や、凍ってしまう場合などを考慮すると、ダブルフィッシャーマンズベンドの一点張りに分が有るのか無いのか、よく分かりませんので、状況に応じて結びを選択していきたいと思います。今後、強度を検証できれば良いのですが、破断しても構わないロープや、高価な装置が必要なので諦めて、回収し易さを検証していきたいと思います。また、同じ太さのロープで同様の実験を行った場合は、どの様な結果になるのか興味が沸きます。また、実験前から気になっていたことですが、ブリッツアンカーなどでループを作成する際に、キャリックベンドとダブルシートベンドのどちらが有利なのか、結局分かりませんでした。  余談ですが、結びの強度については、三河繊維技術センターのWebサイトで公開されている研究論文「繊維ロープのアイスプライス、結節強さ」を見ると、同じ結びでもロープの種類によって結節強度保持率が異なることが分かります。この論文は、クライミングロープを対象とはしていませんが、仮に同一商品のクライミングロープでも、新品と使用済みとでは結節強度保持率が変わったり、各結びの結節強度保持率の優位性が変わるかもしれないことを示唆しているのかもしれません。 【二見所感】 1年2ヶ月ぶりの日和田、 高麗巾着田の曼珠沙華がまだ見頃で電車の行き帰り共、ハイキング客で超満員。 研究熱心な広ちゃんの誘いで懸垂下降を21回やりました。 その後 懸垂下降時の連結ロープの通過を教わりました。 二人なので遊びがなく汗をかきました。 3連休の最後の日で天候にも恵まれ大変混むかなと心配していたのですが 女岩の向かって右壁は独占できてラッキーでした。 岩のトップは直射日光で暑かった。 カタカナだらけの結び名は覚えるのが大変ですが繰り返し練習して忘れないようにしていきたい。

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