平ヶ岳/山スキー

  • 期間 2010-05-01~2010-05-03
  • メンバー 長澤(L、講師)、久野(22期)
  • 記録 久野

平ヶ岳を、尾瀬ヶ原から山スキーで往復してきました。無雪期には入れない尾瀬ヶ原の猫又川上流にBCを設け、そこから1日で平ヶ岳を往復。登って滑降という「縦」のイメージの山スキーというよりは、縦走に近い「横」のイメージの山スキーです。(いや~、長かった・笑)3日間共に天候に恵まれたおかげでもあると思います。

5月1日
戸倉駐車場に集合し、乗合タクシーで鳩待峠へ。鳩待峠から山ノ鼻へは下りになるので、シール着けずに滑りだす。テント装備を背負っていると、思いの外、加速がつく。あっという間に川上川近くまで下降して、ほぼ夏道を山ノ鼻まで。
山ノ鼻ではこの時期、テント場の水場は使える模様。山ノ鼻でシールを着けて、無雪期には「尾瀬植物研究見本園」という湿原・今はだだっ広い雪原を、をムジナ沢出合方向へ突っ切って猫又川右岸沿いに奥に詰めていく。無雪期には絶対入れないエリア、というだけでも、ちょっとワクワクとします。所々、丸く融雪して湿原が顔を出し、水芭蕉の芽とおぼしきものが出ていました。柳平の広い雪原(地図は湿原マーク)を念のために赤布でマークして横切ると、猫又川二俣。二俣の間に落ち込む尾根を使って平ヶ岳への稜線に出る作戦だったが、すっかり川が割れていて二俣付近からは尾根に取りつけ無さそうだったので、そのまま左俣を進んでいく。途中、丁度いいスノーブリッジがあり、左俣を左岸へ渡った。ひとまずこれで予定通りの尾根に取り付けるメドが立った。
少し進むと沢は分岐し、「奥の二俣」(ワル沢とフタマタ沢)の手前の二俣。この周辺が開けていて、ここにBCとしてテントを設営した。沢岸は2m弱の雪壁だったが、スコップで掘り崩し階段を作り、沢から水を確保できるようにした。日当たり良好、なかなかのBCでした。

<尾瀬ヶ原の奥に向けてスタート>

尾瀬ヶ原の奥へスタート

<BCの鯉のぼり>

鯉のぼり

5月2日
早朝の雪面は硬い。シールとスキーアイゼンを着け、背後の尾根に取り付く。この日は平ヶ岳往復なので、帰路の為に尾根の取り付きあたりから所々に赤布でマーク。尾根にのると針葉樹林帯。見通しはあまり効かない。上部に行くにつれて尾根が広くなり、小尾根と沢が入り組んでくる。背後に見える至仏山と正面に見えてくる大白沢山の岩壁と、ワル沢対岸のススヶ峰の稜線をランドマークにしながら、要所に赤布でマーキング。1750mの台地からは、大白沢山から南西に派生する幅の広い尾根に乗り換え、ジャンクションピーク(1911mピーク)と大白沢山のコルを狙って斜上した。うまくコルに乗り、平ヶ岳へ続く稜線に上がる。やっと平ヶ岳が垣間見えてきた!ここからは稜線を延々と辿る。1920mピークからは、東側が雪庇で切れ落ちた細い稜線をシールを着けたまま100mほど下降。結構、急な段々になってます・・。う~ん、帰りはこれを登るのですね・・。
下りきるとしばらく緩やかなコルが続き、また1895mピークまで登る。次に越す白沢山の向こうに、平ヶ岳が少しずつ近づいて見えてはきます。白沢山の西面を巻きながら越し、さあ平ヶ岳・・なのだが、緩やかながらまだ平ヶ岳は彼方に・・。じっくりじっくり距離を詰めていく。白くたおやかな平ヶ岳の斜面に数人登山者も見えてきた。平ヶ岳登路の右側に、一部、雪庇が出ている。
平ヶ岳の登りにかかると、雪面はフィルムクラスト。斜度は増してくる。遠望した時に雪庇になっていた所は、登路のすぐ脇に、雪の亀裂ができていた。最後の急登をスカイラインに向けて越えると、頂上。何かの計測の鉄柱が1本ポツンと建っていた。無木立の頂上は、360度の大展望。北東部に山頂の標識が半ば雪に埋もれていた。おそらく三角点の所でしょう。雪原ともいえる広い山頂で、シール剥がしながらしばらく休憩。
さて、今回の山行唯一の山頂からの滑降。フィルムクラストの雪面は滑りやすく気持ち良くターンしながら、あっという間に白沢山との鞍部まで降りてしまった。長い登りで少々くたびれていたのに、気持良く滑ると何だか元気になってしまうのが不思議です。
トラバースしたり行ける所まで滑って、再びシールを着けて稜線上の往路を戻る。やっと、1920mピークを越して(この登り返しは長かった・・)シールを外し、後はBCまで。
と思いきや、登りと下りのイメージが違うのが山スキー。ジャンクションピークと大白沢山のコルから、調子に乗って滑ってしまうとまずい、と思うあまりに、トラバースの斜度を落とさないように気をつけていたら、大白沢山南西尾根のかなり上部に出てしまい、とりあえず下へ滑降。取り付いた尾根を目指して、上部の広い尾根で少々RFをあれこれ協議しながらの下降。どうしても滑りやすい方向に引き込まれるのが、山スキー。登りの時には見えなかった滑りやすい小沢とかもあったり・・。ランドマークやコンパス屈指で、下降路はまずこれで間違いないだろうと思いつつ、登りにつけた赤布を見つけた時は、やっぱりホッとします。下降するにつれて尾根は狭くなってくるので、後は尾根に上がった所の赤布を見つければOK。遂に発見、ここからワル沢方向に下降。そのうちに我らがテントを目視できて、そこに向けて一気に滑りこみました。

<1895m地点・遠くに平ヶ岳>

1895m付近

<平ヶ岳への登り>

平ヶ岳への登り


5月3日
BC撤収して、山ノ鼻まではシール無しで。朝の硬い雪面は、超・緩斜面ながらも滑る滑る。山ノ鼻の湿原は、漕ぎ漕ぎでしたが。
山ノ鼻でシールをつけて、鳩待峠まで。往路は、川上川に早いうちに滑り下りてしまったけれど、登りはあまり高度を落とさないように。ヨセ沢あたりからなるべく斜度を上げるように斜上して、鳩待峠に戻った。

◆行程:5月1日 9:30鳩待峠~10:30山ノ鼻~12:30猫又川二俣~13:00猫又川左俣左岸1460m(BC)
5月2日 6:10BC~9:25ジャンクションピーク(1911m)と大白沢山のコル~12:50平ヶ岳/13:30平ヶ岳~17:30BC
5月3日 6:30BC~7:25山ノ鼻~9:30鳩待峠

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