八ヶ岳・硫黄岳~天狗岳

  • 期間 2023-02-23~2023-02-25
  • メンバー L秋永(42期)、中村(42期)
  • 記録 秋永

八ヶ岳の一般道の中でもあまり歩かれないという硫黄岳と天狗岳間の縦走。今回、厳冬期かつテント泊で挑戦した。テントの結露の凍りつきや強風など冬山の初歩的な洗礼を受けながらも、現場では本科生2人だけで互いに相談、判断し歩き通すことができ、自信につながる山行となった。

■2/23(木・祝)
初日、あずさで茅野入り。バスで八ヶ岳山荘に到着。1ヶ月前にアイスクライミングの講習で来たことを思い出す。これからも幾度となく通うのだろう。山荘のおじさまに道の状況を聞くと、雪が少なくて凍結箇所がある、堰堤くらいまではアイゼン無しで行けるだろうとのことだった。荷物を整え出発。

ミニキャンディ
赤岳山荘にもミニキャンディ(アイスクライミングのゲレンデ)があった。美濃戸山荘から北沢へ。地味な登り坂が続く。

凍ったショートカット
途中、ショートカットできるところがあるが、林道を外れるとツルッツルに凍った道が。たぶん連日沢山の人が踏んで融けた後なのだろう。岩の上を渡り歩くようにして通過。

木橋
堰堤広場にて、山荘のおじさまの助言通りアイゼンを装着。そこからは沢沿いを進行。雪の少ない木の橋などもある。次第に鉱泉の硫黄の香りが強くなってきた。

14時過ぎに赤岳鉱泉に到着した。雪がサラサラ過ぎてペグを埋めるのに苦戦したが、トイレ前の一等地にテントを張ることができた。アイスキャンディを眺めながらビールで乾杯! 今晩の夕飯は中村担当のミルフィーユ鍋。煮炊きで湯気を出し過ぎたようで、夜から朝にかけてテント内に霜がびっしりついた。拭ったタオルは最終日まで凍りついたままだった。

■2/24(金)
赤岳鉱泉
2日目の朝。2つの反省がある。まず朝は3時半起きにして1時間半くらいで準備できるだろうと思いきや、なんだかんだ朝食からテント撤収まで2時間かかってしまった。続いて、いざ出発しようにも硫黄岳方面の取り付きが分からない。トレースを当てにしたらそちらは行者小屋方面で、テントの隙間をウロウロしても見つからない。結局、小屋の目の前に小さな案内札があって、そこからまっすぐ樹林帯のなかに伸びる道を発見。前日の明るいうちに確認しておくべきだった! 予定より少し遅れ5:40に出発。
今日は行程が長いのでできるだけ汗をかかないように、無理しないようにと樹林帯の中を進む。

稜線からの展望
稜線に上がり景色がひらけた。阿弥陀の北陵・北西陵側や、横岳も初めて見た。純粋に格好良いと思った。赤岩の頭では不思議なくらいに無風快晴で、しばし景色に見とれ写真などを撮る。

足跡
誰の足跡だろう、犬?

硫黄岳にて硫黄岳
硫黄岳に登頂。噂通り強風。ケルンの陰で風を凌ぎながら急いで食べ物を口に入れ、出発。

天狗岳へ向かう
以降は右側が切れ落ちた稜線で、左側つまり西からの風に煽られないように注意しながら高度を落としていく。樹林帯に入りヒュッテ夏沢では春うららな感じでゆっくり休憩を取れたが、根石岳山荘付近から硫黄岳以上に西風が強くなってきた。予報通り天候が崩れてきたのだろう。フードを被って休みなしで黙々と登り続ける。西の空が曇り始め小雪混じりになってきたので、西天狗はスパッと見送ることにした。

東天狗にて
東天狗への登り返しは足元の雪が少なく岩と氷混じり。強風で疲れも増してきて、一番神経を使ったかもしれない。登頂後、中山峠経由で正午ごろ黒百合平に下りた。

黒百合平
暇を持て余すのではないかと思ったけれど、荷物を片付けたり、少しお昼寝をしたり。黒百合平には水場が無いので、雪から水を作ったりしているうちに日が暮れた。今晩の夕飯は秋永担当の豚汁。中村さんが担いで来てくれた2Lの赤ワインや泡盛、ウイスキーなどを飲み切って就寝した。

■2/25(土)
3日目。10時間睡眠で元気いっぱい! 渋の湯発のバスまで時間が充分にある。前夜から考えていて、やってみたかったことがある。昨日、テン場で挨拶した関西大学のワンゲルの学生さんたちが、山荘前の斜面で訓練をしていた。それに触発されて(発想を得て?)、我々もビーコン練習をすることにした。

ビーコン練習
食材が入っていた袋などで包んだビーコンを、片方が隠してもう一方が探すという手順を1回ずつ練習した。2月5日の講習の時より傾斜がキツく、登りながら雪面からの高さを保ってファインサーチするのは本当に難しかった。また機会を見つけて練習したい。

渋の湯
さぁあとは下山するのみ。唐沢鉱泉分岐でアイゼンを外し、良い具合に滑りながら75分で渋の湯に下りた。ちなみに渋の湯のバス停は、途中の道路工事により1km先に変更となっていた。危ない危ない。早足で臨時バス停に到達し、装備をまとめてようやく安堵、帰路に就いた。

<行程>
2/23 美濃戸口10:40~美濃戸山荘11:45~赤岳鉱泉(テント泊)14:10
2/24 赤岳鉱泉5:40~赤岩の頭7:20~硫黄岳8:10~夏沢峠9:50~根石岳10:15~東天狗岳11:10~中山峠13:50~黒百合平12:00
2/25 黒百合平8:45~唐沢鉱泉分岐9:05~八方台分岐9:25~渋の湯9:55

<所感>
◯中村
硫黄岳から夏沢峠、東天狗岳を経て黒百合ヒュッテまでは、昨夏の単独山行の際に白砂新道などザレた道がとても歩きにくいと感じたルートだが、今回は積雪のおかげでとても歩きやすかった。
なお、今回はテントと寝袋及び2泊分の食料で重くなることはわかっていたが、65Lザックの総重量は出発時に計測したところ21kg近くあった。12月に丹沢の歩荷訓練を行ったことでそれほど大変とは感じなかったが、装備の内容を吟味する必要があると感じた。ちなみにお酒に関してはワイン2Lを持参したが足りないくらいであった(笑)
◯秋永
先月の阿弥陀中央陵に引き続き、八ヶ岳にしては暖かったと思う。アイゼン装脱着や休憩のタイミングを自ら考えて決める、の繰り返し。充分に余裕を持った計画にしていたので、それよりも早く進行し、心に余裕を持てた。西風が強まり雪混じりになってきた時に西天狗を諦めるかは一瞬迷ったが、その後テン場で雪がしっかり降ったので、あのままこだわっていたら下山時の視界は悪くて苦労したかもしれない。今後も様々な条件のなかで主体的に判断ができるように経験を積んでいきたい。

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