八ヶ岳・阿弥陀岳北稜、赤岳主稜

  • 期間 2023-01-07~2023-01-09
  • メンバー L田中(35期)、駿谷(40期)
  • 記録 駿谷

■1/7(土)
登山客で混みあう茅野駅にて田中Lと落ち合う。茅野駅→美濃戸口のバス料金は500円値上がりして1500円也。
今回のザックの重さは26kgだが、夏から8kg太ってしまったため、正味34kgを担いで美濃戸口を出発。すぐに着くはずの行者小屋がなんか遠いな・・・こんな遠かったっけ・・・ そろそろ痩せなければと真剣に思った。
田中L特製のサラダチキン鍋をつつきながら、明日の行程について簡単に打合せを行い、20:30就寝。夜間はマイナス15℃くらいか。お互い何度も目が覚めた。
行者小屋

行者小屋 水場はじゃんじゃん出ていた

■1/8(日)
比較的遅めの7:30に出発。阿弥陀岳分岐を過ぎ、標高2455m付近の踏み跡を辿って北稜に乗る。
なかなかの急登

なかなかの急登

ジャンクションピークを通過して第一岩峰に着くと、岩峰の左側手前のクラックから登攀している先行パーティ(4名)がいらっしゃった。
第一岩峰

第一岩峰

先行パーティの登攀が終わるのを待っていると時間がかかりそうだったので、岩峰の左側をさらに少し進んだところにある凹角から駿谷リードで登攀を開始する。クラックルートに比べると明らかにイージー。
第一岩峰

第一岩峰 クラックルート/凹角ルート

5mほど登るとテラスがあり、右上へとつながる広いバンドが通常ルートの模様。しかし、先行パーティがそのバンドにロープをフィックスしていたため、左側のリッジに乗ることにした。数m登ったあとは、雪稜を経由して第二岩峰に到着する。岩峰基部のボルトを先行パーティにお借りし、田中Lをビレイ。
 第二岩峰は田中Lがリード。岩峰を登りきったところにあるボルトにランナーを取り、ナイフリッジを渡ったところの灌木で駿谷をビレイ。
第二岩峰

第二岩峰/ナイフリッジ、と言っても全然怖くない

以降は雪稜歩きで阿弥陀岳山頂に到達する。出発から3時間で着いてしまった。お日様ぽかぽか、風も無く、周りは360度の絶景。穏やかな表情となった二人は遠い目でしばしボーっとする。
中岳沢から直接下ることができそうな雪の状態であったが、このまま下山してもつまらないね、ということで、文三郎経由で南峰リッジ・主稜を偵察してから行者小屋に戻る。
翌日はいよいよ主稜。駿谷特製のベーコン鍋をつつきながら入念に打ち合わせを行う。2017年の山行記録が大いに参考になった。
19:30就寝。夜間はまたまた何度も目が覚めた。

■1/9(月)
3:00起床4:50出発。我々が本日の先発隊のようだ。
・1P(40m) リード駿谷
 ちょうど明るくなってきた頃にヘッデンを消してタイミングよく登攀開始。左上にお助け紐があるので、まずはそれを使わせてもらったが、どうやっても右側へと岩を乗っ越すことができない。鼻息荒く挑戦を開始したが早々に諦め、右側からトライ。なんとかCSの上に乗る。CSの上のハーケンにランナーをとり、雪稜を上った右コーナーを過ぎたところのピナクルに次のランナーをとる。2017年の記録どおり2mほどの嫌なトラバースを経由して、テラスの残置ロープでビレイ。
チョックストーン

チョックストーン

・2P(25m) リード田中 
 ビレイポイントから1mほど戻って階段を上がると岩稜帯を越えて雪稜が広がる。最初に見えた古いロープがかかったピナクルが終了点だとなぜか勘違いして、240cmスリングをかけてビレイしてしまった。きっと横着したのだと思う。
・3P(25m) リード駿谷
 岩壁を乗り越えると急斜面の岩稜帯があり、その手前の岩のペツルボルトでビレイ。
3P終了点

3P終了点

・4P(30m) リード田中
 3Pからすぐ先の岩壁の手前でビレイ。
・5P(40m) リード駿谷 
 急な雪稜を登ると、途中の岩にペツルボルトが一つあったので、そこでビレイ。
5P終了点

5P終了点

・6P(25m) リード田中  
 5Pで後続の4人パーティのうち、男女ペアに先を譲った。その女性が第二岩峰の一つ手前の雪稜上の岩にビレイ点を取ったため、自分はその左側の岩にあった2本のハーケンでビレイ。駿谷が上がってくる前に、4人パーティの残りの2名の若者がコンテで追い抜いていった。
6P終了点

6P終了点

・7P(20m) リード駿谷
 雪稜を登ると、上の岩峰から垂れてくる10mほどの残置ロープがあったので、その結び目にランナーを取る。岩峰の取付き点にて、その残置ロープが取り付けられたペツルボルトでビレイ。
7P終了点

7P終了点

・8P(50m) リード田中
 ロープいっぱいまで伸ばして核心部を一気にクリアした。最後の垂壁は下が切れ落ちていたため、気合が入るクライミングだった。登りきったところにペツルボルトが2本。この辺からトランシーバーが通じなくなった。前回2017年は厳しめの取り付きから10mくらい登ったところのハーケンでビレイを取ったのだが、なぜか今回は調子に乗って先まで伸ばしてしまった。かなりの核心部分なので短く切るべきであった。
・9P(40m) リード駿谷 
 深いルンゼを通過して、両サイドの岩で出来た門の入口にハーケンが二つあったので、そこでビレイ。ここでは下方からの雪混じりの強風がすさまじく、強烈な寒さに震えた。
9P終了点

9P終了点

・10P(40m) リード田中 
 高度が上がるにつれ暴風になった。細かな氷の粒が顔面に刺さって目を開けていられない。トランシーバーも不通になったので岩角にロープを巻き付けてセルフを取ったのち、肩絡みで強引にロープを引き上げた。きっと駿谷さんは分かってくれるだろう。目をつぶって延々とロープを引いていたら駿谷さんが釣れた。お互いに寒くてこの場から離れたいのでコンテで稜線に向かった。思い返せば、セルフを取った後、バラクラバとゴーグルをつければよかった。
10P終了点

10P終了点 氷つぶてが無数の針となって顔に突き刺さる

・11P(30m)
 一般道まで出ても退避場所がない。赤岳山頂でいちおう証拠写真を撮ったが、強風に耐えられず、早々に下山を開始した。
赤岳山頂

赤岳山頂

<所感>
○駿谷
主稜では後半の寒風にやられて体力をかなり奪われた。特に9P以降は、早く終わってくれとしか思えなかった。トランシーバーは極めて有効だったが、自分の吐く息でスイッチが凍ってしまい10Pで不通となり、大声で叫び合うも全く聞こえない。ロープの張り具合と互いの阿吽の呼吸でなんとか上手く切り抜けられたか。行者小屋から美濃戸口への下山も重いザックで疲労困憊。歩く登山では久しぶりに筋肉痛になってしまった。
それでも、主稜を登頂した喜びは日を追うごとに湧いてくる。これからのチャレンジ向けてとりあえずは痩せます。
○田中
阿弥陀岳北稜:雪山登攀入門にはもってこいのルート。行者小屋からも近いので安心です。クライミングは1ピッチのみで高難度の正面突破ルートから低難度のルンゼルートまで3種類から選べます。天気も良かったので楽しかったです。
赤岳主稜:長いので体力的にしんどいです。クライミングは取付きのCSと第二岩峰の出口5mの垂壁のみ。あとは寒さ、風、ふくらはぎ痛との戦いです。逆境に強い人にお勧め。最後のビレイの氷つぶて攻撃以外は快適なクライミングでした。
核心:美濃戸と行者小屋のアプローチ道。ザックが肩に食い込んで心が折れました。とりあえず痩せます。

<行程>
1/7 美濃戸口10:20~行者小屋14:00(BC)
1/8 BC7:30~阿弥陀岳分岐~ジャンクションピーク~第一岩峰9:20~第二岩峰10:10~阿弥陀岳山頂10:30~文三郎道~BC13:00
1/9 BC4:50~文三郎道取付き点6:40~1P(CS)7:10~5P(下部岩峰最上部)9:10~8P(上部岩峰最後)11:00~終了点12:00~BC13:00~美濃戸口16:30

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