夏山サバイバル/奥多摩・岳嶺岩

  • 期間 2021-07-10~2021-07-11
  • メンバー L矢田(14期)、L松本(17期)、SL金澤、SL木村(27期)、安永(26期)、二見(27期)、穴井(39期)、平(40期)、高橋(41期)
  • 記録 穴井

岳嶺岩

エイドクライミング(人工登攀)&夏山サバイバルの訓練メニューは当初7月3~4日予定でしたが、翌週に雨天順延となりました。

■7/10(土)
岳領岩にてエイドクライミングと懸垂下降のトラブルからの脱出でした。
〇エイドクライミング
無名山塾ではかつては各自が細引きと15㎝位のプレート4枚でアブミを自作していたそうです。この4枚のプレート間隔を足裏から膝の長さに調整することで各自の体形にあったアブミが作成でき冬山のアイゼン着用時に有効との事。
市販のアブミは最上段(手側)がプレートで下段3枚がナイロン製の合計4段が一般的との事。3段の製品も販売されている。市販品の購入時には左右色違いを選ぶ。アブミ用のカラビナはO型(オーバル)のキーロックゲートを推奨。

今回参加した本科生は平さん、高橋さん、穴井の3名です。平さんは経験者ということもあり一発目からスイスイと登る為、「意外と楽勝、簡単なのでは!?」とこの時の感想。高橋さんはアブミ初体験でしたが、最近はクライミングジムに週一で通っているとの事。体感だけで登り切りました。
わたし穴井はアブミ自体を目にしたのも当日が初というド素人です。この一文で、皆様方のご想像が付きますように、まず乗れません、立てません。
暫くは岩場の足が着く最下段で練習して、漸く立てるようになりましたが、手が離せない為、次の行動の掛け替えが出来ません。
要領として、アブミ1本に2か所、重心を分散させない。必ずどちらかの足の土踏まず付近に重心を乗せる。(登山靴の場合、土踏まずまでなかなか入らないので手を使って引く)3段目に重心を乗せる場合、1段目2段目時は両手を伸ばしたままにして、3段目は両腕を使って身体を引き付け、一瞬で体重移動する。体重移動後にレスト(休憩)する場合、壁面が垂直に近い場合は、体重の載っているアブミ側の足を後ろ側に伸ばすことで安定する。オーバーハングの場合、アブミ側の足をお尻に巻きこみ、反対側の足はお尻と垂直になるように壁と対峙することで両手の自由が利きます。
オーバーハングの場合、体重をかけた際アブミが止まる一瞬(マ)があるので、その時に一気に体感を使って体重移送することでアブミが暴れないとの事。一度振られるとアブミを静止出来なくなりその間に体力が消耗する。上記の「マ」、アブミが静止するポイントを見つける訓練をする。
アブミ登攀

〇ムンターヒッチ(半マスト)による懸垂下降と仮固定
下降器を紛失した場合を想定し、安全環付HMSカラビナとムンターヒッチによる懸垂下降と仮固定を訓練した。仮固定にはミュールノット、止め結びにはオーバーハンドノットを使用した。

〇懸垂下降中のトラブルからの脱出(登り返し)
懸垂下降中のトラブル(ロープが最終下降地点まで届いていない場合や、ロープが絡まっていた場合など)により、懸垂下降中に登り返さないといけない状況時の対応です。
【手順】
1.懸垂途中で下降器(ルべルソタイプを使用)を仮固定する。仮固定にはミュールノット、止め結びにはオーバーハンドノットを使用。
2.プルージックロープで下降器の上部にマッシャーを作成する。
3.ランヤードを手を最大限伸ばした長さに調整し、マッシャーへ連結する。マッシャーを引き上げフリクション確認し、荷重をマッシャー側に移す。この時、ランヤードと懸垂ロープが干渉し、巻き込まないよう注意する。
4.上記2.で作成したマッシャーの下に足用のマッシャーを作成し、そのマッシャーに各自の体形に合わせたスリングを連結する。
5.下降器の仮固定を解除し、バックアップ用に確保器をガイドモードセットする。
6.足用のスリングを利用して立ちこみ、緩んだ上部マッシャーを引き上げ、荷重を移す。足用マッシャーを引き上げ、立ち込む。この繰り返しで登り返しを行う。
7.バックアップ用確保器の、懸垂ロープたるみを直す。

これも私は出来ませんでした。そもそもアブミで腕力を使い切り、講師の近くまで下降したもののマッシャーにランヤードを接続した際に懸垂ロープに巻き込み身動きが取れず、講師の手で修正といったご迷惑を掛けました。アブミが出来ないため一歩目登り返しが出来ずフリクションの効いたマッシャー解除が出来ず、これまたご迷惑を・・・。

■7/11(日)
2日目は渡渉訓練。
※渡渉前、ザックの腰ベルトは外しておく。流されたとき、外しておかないと水面から顔を出せなくなる。
三角法よる渡渉では、ロープの長さは川幅の半分以上必要。

〇末端交換三角法
1.沢の基本ロープワークは確保器を使用しない。※流される前に引き寄せる為
2.三角法の渡渉者のロープコントロールは、HMSカラビナにムンターヒッチを使用する方法と、カラビナに通したロープを両手で握り進行方向へスライドしながら渡渉する方法がある。
※水を含んだロープは滑り難くムンターヒッチでは抵抗が強く扱いにくいため、本科生は後者を使用。同人会員は、ムンターヒッチを使用し訓練した。
3.今回は本科生3人ということもあり全員が支点、渡渉、末端を経験した。
支点はロープを固定する岩、木等があれば人ではなくても可。
支点は上流側で、なるべく高い位置の方が水の抵抗が少ないので良い。
末端の人間は渡渉者が流された場合、ロープを手繰り寄せ末端側の岸で救助する(末端者より下流に渡渉者が流されると引き寄せは厳しいので、上流で救助する)。
渡渉者は上流から下流に斜めに横切るように水流の抵抗を流しながら進む。その際、上流側のテンションは張り、下降側からのロープを少し手繰りながら渡渉する。
一番手の渡渉が終了したら、末端は支点側に移動し、ロープを連結しループ状にして、末端を渡渉者側に移動(交換)する。渡したロープ(ダブル)を使用し、二番手が渡渉する。反対側で同じように、三角法を設置し、ラストが渡渉する。

〇杖を使用した渡渉
ストック、流木等を利用し、上流側の川底に突いて確認しつつ渡渉。

〇相対スクラム渡渉
2人で互いのザック(今回は互いの両肩)の肩ベルトに手を掛け、上流側の人は流れに対し半身になり流れを受け流し、下流側の人は流に対して正対して渡渉。

〇横列スクラム渡渉
3人以上で互いの肩や腰に手を廻し、横列スクラム体勢を作る。小柄な人や初心者を真ん中にし、両端はなるべく体重のある者が担当し、一番体力のある者が上流側に入る。以降は先頭より下流側に位置し、斜め一列になり水流を受け流す。掛け声に合わせて渡渉。

〇チロリアンブリッジによる渡渉
2日目は本科生3人に対し5名の同人に参加頂けたことでチロリアンブリッジ用のロープ設営、実体験、ロープ設営時の解説を経験出来ました。
高橋さんはこのチロリアンブリッジ経験有りとのことで流れるように渡渉でき、平さんは初体験のようでしたが軽々とクリア、体重のある私は出だし加速して川に突入、背中やお尻に水流を受けながら手だけの力で渡渉しました。高さのある谷とかでの渡渉では手の使い方、首、頭を下げない等気を付けなければと実感しました。
チロリアンブリッジによる渡渉

特に初日は惨憺たる有様でしたが、両日とも出来ないことを身を持って知るという貴重な体験をさせて頂きました。課題が出来るとそれに向けた解決策が見えてきます。50歳の半ばにして初体験は常にボロボロですが嬉しくもあります。1歩ずつでも前進できればと思います。

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