常念岳~蝶ヶ岳

  • 期間 2019-05-02~2019-05-04
  • メンバー L矢田(14期)、SL小林英(25期)、井上(34期)、齋藤(37期)、山本(38期)、岡宮 (38期)
  • 記録 岡宮(加筆 小林)

残雪期の北アルプスを常念岳から蝶ヶ岳にかけてテント泊で縦走した。

■5/2(木)
松本駅付近に各々前泊した男4人が大糸線で穂高駅に移動して女性2人と合流(6時半)。予約していた大型タクシーで今回の登山口となるヒエ平へ(料金9,500円程度)。
ヒエ平(1320m)では何人もが身支度していた。我々も装備を整え、7:40、いざ出発。雪は多少あるが凍結はなく、アイゼンは装着しない。一ノ沢に沿い残雪を踏みながら林間を緩やかに登る。出発時に薄く掛かっていたガスはやがて取れ、雪も思いの外しっかりしていて歩きやすく、心地よい。9時過ぎに大滝(1610m。山と高原地図には「王滝ベンチ」とある)を通過。雲が散って陽が射してきた。10時半、笠原(1890m付近)から常念岳を見晴るかす。晴天で素晴らしい天気である。そのせいで午後になり雪が緩んできた。
大滝付近大滝付近
笠原付近から
笠原付近から

やがて胸突八丁の急登になる。「胸突八丁」とは富士登山で頂上まで残り八丁(約872メートル)の険しい道のことらしい。
ひとしきり登って2150m付近で一ノ沢から離れると、常念乗越までほぼ300mの登り。最初は両側を崖に挟まれた谷だが、やがて左右が開けて風が強まってきた。先ほどの胸突八丁に劣らぬ急斜面で、ゆっくり黙々と足を前に出す。胸突八丁は「胸が突かれたように苦しい」ことからだそうだが、地面に胸が着きそうな急斜面の感もあり、いずれにしても言葉の意味を実感する。一ノ沢を離れてから1時間半をかけて常念乗越まで登り切った。乗越からは大天井~槍ケ岳~北穂高岳~奥穂高岳の大パノラマが一望でき、雪山の素晴らしさを実感。疲れを忘れ感動がこみ上げてくる。
常念乗越へ常念乗越へ
常念乗越より常念乗越より

乗越はほぼ地面が出ているが、小屋の入口は雪を掘ったトンネルの下。テント場にも一部雪がある。受付を済ませて4人用と2人用の2張のテントを設営。小屋前のベンチであらためて眺望を楽しんだ後、テントに戻って明るいうちから夕食を始める。翌日に備え、21時には消灯。夜中ずっと強風にテントが煽られ、雪山(残雪期)テント泊の寒さを実感した。

■5/3(金)
3時に起床。食事を済ませ、強風の中テントを一つずつ撤収。天候は曇り、変わらぬ強風を衝いて5時半前に出発。雪はほとんどなく凍結もわずかなためアイゼンは装着しない。山頂までわずかな距離であるが強風のため予想外に時間を費やし、常念岳(2857m)に7:40登頂。
常念岳から南を望む常念岳から南を望む(中央が蝶ヶ岳)

山頂からの下りでは念のためアイゼンを装着したが、傾斜が緩んだところで外した。
9時頃になると風も止み、昨日ほどではないものの晴天になった。右手に大天井から穂高の大パノラマを眺めながら、緩やかなアップダウンを繰り返す稜線上を黙々と歩く。13:40 雪のない蝶槍を通過。2664.5三角点の傍にはテントが張ってあった。
本来は本日中に徳沢まで下りる計画だったが、進行が遅れたためサブプランの蝶ヶ岳ヒュッテ泊りとする。エスケープルートの横尾への道を分け(2625m)、蝶ヶ岳手前で道の傍らのハイマツの中から雷鳥の鳴き声を聞く。近いのだが姿は見えなかった。風景指示盤を過ぎて、14:40に蝶ヶ岳ヒュッテに到着。広いテント場には既に20~30張のテントが張られている。我々もハイマツの生え際の雪を整地して設営、夕食を摂って21時に就寝。

■5/4(土)
3時に起床し空を見上げると満天の星空。風も無く寒さもあまり感じず熟睡できた。朝食を済ませ、テントを片付ける。風がないと撤収も楽である。
5:20に出発。多少の残雪があり凍結しているため、出発時からアイゼンを装着。
徳沢に向けて長塀(ながかべ)尾根をひたすら下る。名前の通り、長く緩やかな尾根である。長塀山(2565.1m)も下りの中の小ピークというところだ。蝶ヶ岳ヒュッテは賑わっていたが、このルートを下るパーティは少ない印象を受ける。徳沢まで残り1時間位の地点からところどころ雪が切れるようになってアイゼンを外したが、凍結している場所では滑ってしまい苦労した。また、急斜面をひっきりなしに登山者が登ってくるため、細い道で避けて待つ時間が多い。
9時、徳沢に着くと雪がなく下界に戻ったことを実感。シーズン最後の雪山を素晴らしい天候で終えられたことを幸せに思う。
装備の片付けと休憩で1時間程過ごした後、上高地までの平坦な道を歩く。すれ違う人の大半は梓川沿いを散策する観光客、さらに大勢で賑わう河童橋の上に場違いなザック姿で割り込んで「海外もいいけど、日本の山はいいねェ!」とギャグを飛ばす齋藤。と、ここで矢田が「明神に財布を忘れた」。一人走り戻ったところ、親切な方が明神館に届けてくれていたとのこと。
バスターミナルで矢田を待ち、バスと電車を乗り継いで松本にて解散した。
(文中敬称略)

【行程】
5/2 ヒエ平7:40~大滝9:10~常念小屋13:20(テント泊)
5/3 常念小屋5:20~常念岳7:40-7:50~蝶槍13:40~蝶ヶ岳ヒュッテ14:40(テント泊)
5/4 蝶ヶ岳ヒュッテ5:20~長塀山6:10~徳沢9:00-10:00~明神11:00~上高地12:00

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>