八ヶ岳・小同心クラックから横岳

  • 期間 2018-02-24~2018-02-25
  • メンバー L田中(35期)、保岡(32期)、宇田川(34期)
  • 記録 田中

今回、我々チームmeatは小同心クラックから横岳を登頂した。曇天で強風。寒くて仕方なかった。手先も足先も痺れてアイゼンで岩に乗る、手袋で岩を掴む感覚が心もとない。ルートも岩角を左に行くか右に行くかで難易度が全く変わるなどルートファインディングが難しく、ガイド本に比べると現場ははるかに厳しかった。手も足も心もとなかったが3名が3時間で岩場を抜けられたので上出来。横岳直登で行き詰まったがチームワークで乗り切れたことも上出来。岩稜から顔を出すとすぐそこが山頂であった。三人で固い握手を交わした。

■2/24(土)
アイスキャンディーを見るとホッとする。赤岳鉱泉は帰ってきた感があり故郷のようだ。水もトイレも心配ないさ~(ハナクマタタ)と歌が出るくらいの安心感。宇田川さんは「(水つくりの)仕事がないですね(笑)」と言っていた。まさにその通りで、テントを張ってすぐに偵察に出かけた。
今回は小同心クラック。まずはアプローチの確認だ。大同心稜に乗るところまで確認したい。赤岳鉱泉が2200mくらいなので200m登って2400mくらいまでか。
硫黄岳方面に続くトレースを200mほど行くと「大同心沢」の標識がある。トレースを遡行すると300mくらいで左右に分かれていた。左が尾根への登り、右が沢ルート。ガイド本やHPの情報では沢を遡って右の尾根に取り付くとなっていたので、迷わず沢ルートへ。しかし、少し歩くと徐々に地図より南にずれて小同心方面に向かう様子。これは間違いで小同心沢ではないか。分岐までリターンして尾根方向を偵察した。いきなり急登でハードになる。こちらが当りだった。
小同心遠景小同心遠景

テントに戻って明日の手順を確認後、心おきなく宴会の夜が更けていく。

■2/25(日)
天候は曇り。まずは大同心基部までのアプローチ。昨日の偵察行でルートは大丈夫だ。大同心稜は2300mから2500mまでが急登、2500mで森林限界を超え、岩稜帯になる。南に赤岳と阿弥陀岳が見え、2650m付近が大同心基部だ。岩稜帯は両手を使わないと登れないくらいの角度。
大同心基部で装備を着けていると後続パーティが見えた。男性4名がショートロープでアンザイレンしている。ガイド山行くさい。先行されると待ち時間が長くなるので加速スイッチを入れたが、保岡さんは「お先にどうぞ」などと悠長なことを言っておる。優しすぎるだろー!と思ったが、ガイドさんと会話したところ先方は大同心沢を登って上に抜けるとのこと。急に笑顔になり、お互いの無事を祈った。
こちらは大同心基部から2650m付近をトラバースして小同心基部に取り付く。途中、西側が切れ落ちているバンドが長く、慎重に歩を進めた。
トラバース

小同心基部には2名パーティがいてビレイ中であった。こちらはロープをほぐして準備をする。
取付き取付き

今回は1ピッチ目終了点に3人立つ広さが無さそうなことと軽量化のため、保岡A、宇田川B、田中Cとして、シングルロープ1(A-B)、ハーフロープ1(A-C)で組んだ。1PをAがリード、Bがフォローし、2PをBがつるべ、2P到着後、Cが1Pへ、その後にA、Cが続いて2Pへ。三人が2P終了点に集まった後、A、B、Cの順で3Pへ。以下、フォローから見た記録である(リードの記録は各自の所感にて)。
1Pは小同心基部右端の階段状からフェースに取付き、凹角を左上、チムニーに入る。雪付きは全くなく、ドライな状態。岩面にアイゼンのひっかき傷が付いていて足場は明確だ。ホールドはガバガバで不自由しなかった。ステミングやドロップニ―で少しずつ高度を上げてホールドを掴んでいく。チムニー内がハングしていき、徐々に体が外に出ていくので、手足は豊富だがアイゼンのグリップがいきなり外れる恐怖があり、緊張する。
1P終了点では保岡さんが凍えており、ロープを受け取って素早く上がってもらいたかったが、2P終了点の宇田川さんがロープアップに手間取っていた。後で聞いたところ、ルートが屈曲していてロープが上がってきずらかった模様。準備できたところで保岡さんがするすると登っていき、田中が続いた。
2Pは1Pよりハードで股が避けるくらいステミングして、また、途中左右の壁に体重を移しつつ、心が折れそうになりながら登った。フォローでこれだけ怖かったのだからリードした二人はさぞかし大変だったろう。
3Pは取り立てて問題なかった。
小同心の頭からリッジ、岩屋を抜けて横岳の直下に出る。一般道へのトラバースルートも偵察したが、トレースがなくラッセルになりそうだったので直登を選択。フリーで行けそうだったが途中で行き詰ってしまい、急遽ロープを出した。
あと30mくらいの感覚で岩稜を乘越すと、すぐそこが頂上だった。頂上に直接突き上げる経験がなかったので詰めがない分得した気になる。横岳山頂では赤岳方面から来た男女ペアと写真を取り合い、硫黄岳経由でテン場に帰還した。
山頂

<メンバー所感>
■田中
強風で寒かった印象。全体的に計画通りだったが、精神的には敗北感が漂っている。自分はまだまだです。

■保岡
1ピッチ目をリードして感じたのは思った以上に難しいということ。
専門誌やネットの記述では1ピッチ目は階段状の岩場と強調されているが、ピッチ後半は壁が急になり絶対に落ちられない!というプレッシャーと疲労で心が折れかけました。取付までにどれだけ体力を蓄えられるかポイントだと思いました。今度は夏場に挑んでみたいです。

■宇田川
2ピッチ目をリードした。1ピッチ目終了点より左側カンテ状箇所に取り付き右上しながらチムニーへと入ったところ、ロープの流れが悪くなり難儀した。確認はできなかったが、最初からチムニーのルートで登るか、もしくはカンテ部分でもう少しロープの流れに注意すれば良かったように思える。
2ピッチ目終了点は岩壁を登らず右肩のピナクルで取った。岩壁下にも終了点があり、そこでもピッチが切れるようだった。
ロープを出す山行ではまだまだ反省点も多く、今回もロープの流れや声の届かない所での意思疎通に問題があった。まだまだ経験不足を感じることが多いが、精進していけたらと思う。

<行程>
2/25 赤岳鉱泉テン場5:45~大同心基部7:20-7:30~小同心基部8:00-8:30~小同心の頭11:27-11:40~横岳山頂12:30-12:50~テン場15:08

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