秋の面白い山研究/八ヶ岳・天狗尾根

  • 期間 2014-10-11~2014-10-12
  • メンバー L土方(26期)、小林功(32期)
  • 記録 小林

10月技術委員会企画、八ヶ岳周辺ということで、土方さんと天狗尾根〜赤岳〜真教寺尾根
バリエーションルートを計画する。初めての本格的なバリエーション、かなり緊張した山行になったが、土方さんのリードと天候に恵まれ面白い山行ができた。

■10月11日 (土)
小林の車にて土方さんをピックアップし中央高速にて登山口になる美し森へ向かう。
3連休初日、渋滞が気になったが、若干の渋滞、予定の1時間遅れ、美し森到着。
1日目の行程は、2時間程で着く出合小屋までの為、渋滞での遅れは想定内。

美し森駐車場にて身支度をして行動開始。駐車場上部の林道から歩き始め最初に目に飛び込んできたのは、紅葉のトンネル、黄色く色付いた木々が気持ちを高揚させた。

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標高1600mの三叉を中央へ進み、堰堤を右から越えて涸沢である地獄谷河原へ降り立つ。
ここからは沢の右岸、左岸のマーカーを見落とさないように踏み跡を追う。
涸沢だった沢からは水が流れはじめ、そこからしばらく歩きはじめたところで、別動隊
(行者小屋〜阿弥陀中央稜〜阿弥陀岳〜行者小屋〜赤岳〜真教寺尾根)の矢田講師に無線で連絡を入れる。しかし、無線の電波状況が悪く、携帯でのやりとりをし、お互いの現在地を告げ行動再開、無線ポイントから、1日目のテン泊地は近く、5分ほど歩き高根山岳会が作った出合小屋(無人小屋)に到着。小屋内は、薪ストーブがあり、薪も用意され、小屋横にはトイレもあり、別機会には使わせて頂きたいと思った。今回、自分たちの山行はテント泊の為、小屋近くにテントを設置。水場はすぐ横に沢があった。

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1日目の設定を小屋までにした為、まだ時間にかなりの余裕があり、空身で明日の天狗尾根取り付きへの偵察に向かう。テントを直進するとすぐ「←本谷・赤岳沢→」と書かれた看板。看板通り顕著な分岐を右の赤岳沢へ入る、ここからは、踏み跡、ケルンを頼りに50mほど進むと左側斜面、笹の中、木数本に赤いマーカーあり、その先数メーター上の木にもマーカーの確認が取れ、ここが取り付きと判断しテントへ戻る。
テント場では、土方さんが得意のオカリナを披露。自然の中で素敵な音色を聞き、自分はロープワークの練習をして充実した時間を過ごす。夕食後も土方さんは、オカリナを演奏し楽しませてくれた。就寝前に外へ出てみると満天の星。2日後には台風の影響が出ると思われているが、翌日まで天候はもつとのこと、明日の天狗尾根に備え就寝。

■10月12日 (日)
4:00起床。天気が気になり外を確認、満天の星と月、今日は晴天と確信をする。
朝食後テントを撤収し、ヘルメット、ハーネスを着け出発。テント場を直進、二俣を右の
赤岳沢へ入り、左手笹薮を進み天狗尾根取り付きに着く。木に巻かれた赤いテープが目印。昨日偵察をした際、天狗尾根取り付きまで10分ほどかかったが、偵察をしていただけに、5分程で取り付きへ着く。標高は1950m。

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取り付きからの出だしは、獣道程度の踏跡が続く、踏み外さないようトップの土方さんについて行く、健脚の土方さん、「早い」そして「荷物が体にのしかかる」息を切らしながら
必死に登ると、いつの間にか天狗尾根を歩いていた。尾根の印象は、所々に倒木や薮があるものの全体的に踏み跡が続き歩きやすい。その後一気に350m程、標高をつめる。

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テン場適地発見。3テン、もしくは、5テンを張るスペースあり。水を余分に持てば、夏の山行でもここまで上がるのもありと二人で頷く。まさに今回の山行もここまで登るのも有りのシュチエーションだったと••••


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その後、樹林帯が切れ岩稜まじりの道を進んでいく。上を見上げると2本の高い岩峰が見えた。
「カニのハサミ」本当に見事なたとえだと納得。
ニョキッと2本の岩が空に向かって突き出ている。
「カニのハサミ」は左側を巻くように越えすぐに
10mくらいの傾斜のゆるい草つきの岩壁があらわれた。


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一旦土方さんが偵察をする。下から見ている限りついに本格的なバリエーションが始まるのかと緊張と期待が交差する。土方さんが戻り、偵察したルートを慎重に進むこととなり、三点支持を念頭に置き慎重に進み登って行くと目の前に30m程の岩峰が現れる。右側からの巻き道があるとのことだが、今回は、左側からロープを出して登ることとした。
土方さんがリード、自分がビレイをするかたち。
安定した木を支点にして最初の1ピッチ草付きの斜面を登る。日和田以外で初一人でのビレイ、緊張しぎこちない、土方さんが登りきり、自分が登る、緩い登りではあるが慎重に登る。次のピッチも同じ様な斜面を登る。最初のピッチとくらべるとビレイにも慣れ余裕が出てきた。最初のビレイ
では、必死にやっていた分、周りを見る余裕が無かったが、余裕がでてきたところで周りを見ると最高の景色、そこで下を見ると切り落ちていることを実感する。

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ここで我に返り恐ろしいところを登っているのだと、また緊張が走った。
50mロープはいっぱいで屈曲もしている為、大声でのやり取りになった。声が聞こえなかったらどうすると思い、今後は前もってホイッスル等の合図を決めておいたほうがいいのかと勉強にもなった。その後のルートは草付きから岩になり、支点も木から岩へと様子が変わったところで、大股開きで登攀をする。ここでのビレイが一番不安な場所でもあった。
トップで登った土方さんから、安全地帯へ出たと言われ、一安心。自分も引続き、大股を開き少し強引な感じにはなったが登りきる。ここでロープをしまい、簡単な岩場を登って行くと、大きな岩峰が現れる。この山行で一番大きな岩峰、これぞ大天狗と目を奪われる。

そんな中、横に目を向けると御嶽山が目に飛び込んできた。山頂からは噴煙も見えた。

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大天狗を目の前にしての印象、でかい、でかさに圧倒される。
大天狗を正面に右側を土方さんが偵察し、左側を小林が偵察する。
左側上部に3本ハーケンがあり開始支点につかうのだろう、そこからの登りは15m程に見えるが登りきった反対側の状態がわからない。土方さんは、踏み跡を右に進み突き当たり手前から直登するルートを確認する。その後2人でどっちのルートで行くかを話しあう。
今回の大天狗は、土方さんが確認した直登ルートをトライで決まる。

ここで登山靴からクライミングシューズへ
履き替える。気が引き締まる。木を支点にし
小林がビレイ、土方さんが登り始める、15m程登ったところで、土方さんの動きが止まる、ハーケンが途中にまったくないこと、岩がかなり脆く状態が悪いとのこと、特に岩が脆いことを気にしている様子、周りを見渡すとすぐ登りきった場所がテラスになっていて右手先にトラバースルートがあるという。ここで決断が迫られる。今回は無理をせずトラバースルートで行くこととした。トラバースルートは、ハイマツの上にしっかりと踏み跡がありすぐ大天狗と小天狗のコルに出る。トラバースをする結果になってしまったが、土方さんの経験なら登れていただろう。自分の経験値の無さに悔やむ結果になる、今後多くの経験をし、再度トライしたいと思う。ここからは草付きの坂を登りきり一般道と合流、ここで天狗尾根終了。

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その後、赤岳を目指して縦走路を歩く、真教寺尾根分岐へ到着。
せっかくの快晴の天気、山頂を踏まずにはいられず、荷物をデポし、いざ頂上へ。
天狗尾根では1パーティーにも会わなかったが、やはり秋の3連休、一般道では人が多く
数パーティーとすれ違い赤岳山頂到着。赤岳山頂では360度の景色が見渡せた。

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本来、赤岳で矢田隊(別働隊)と合流する予定も、土方隊が予定よりも遅れた為、下山後
清里で合流になる。合流を急ぐ為、赤岳を後に真教寺尾根分岐へ、後は降りるだけの為
心なしか余裕がうまれる、しかし、真教寺尾根分岐から降り始めると垂直に近い鎖の連続
下降になる、「実にいやらしい」登りならまだしも、この下り、雨や天候がくずれていたら
正直厳しい尾根だなとおもいながら慎重に降りる。鎖場をすぎてからは、なだらかな稜線歩きになり、木々の紅葉を楽しみながら美し森へ下山した。矢田隊とは清里駅で合流をして帰路へついた。

<行程>
10/11 美し森駐車場 10:50 〜 出合小屋 13:25
10/12 出合小屋 5:50 〜 カニのハサミ 7:50 〜 大天狗 10:15 〜小天狗 11:45 〜
真教寺尾根分岐 12:30 〜 赤岳 12:40 〜 真教寺尾根分岐 12:55 〜 美し森駐車場 16:25

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