甲斐駒ヶ岳~鋸岳

  • 期間 2014-09-13~2014-09-14
  • メンバー L小林英(25期)、矢田(15期以前)、土方(26期)
  • 記録 小林(英)

2011年11月にL鈴木百、矢田、小林英で計画したものの悪天候等のため途中で引き返した時と同じく、角兵衛沢から鋸岳に上がり甲斐駒ヶ岳と繋ぐ予定だったが、今回もハプニングで計画変更。結果的にはそれが良い方に働いて、面白い山行ができた。

■9/13(土)
メンバーそれぞれ前夜のうち甲府に入り、ホテル泊。4時半に広河原方面バス停に集合したがバスは満員で夜叉神峠まで立ちんぼうだった。広河原からのマイクロバスもまた行列で運行も遅れ、北沢峠に着いたのは予定から40分以上遅れの8時。歌宿へと乗り継ぐバスが待っているはずもなく、ルートを逆転してまず甲斐駒へ上がることにした。

8:10 行動開始。土曜の朝だというのにここのテント場はすでに満杯に近い。仙水峠を経て駒津峰に向かうと、前方に白い山体がガスのベールから顔を出したり隠れたり。直登ルートを取って 11:50 甲斐駒ヶ岳登頂。百名山だけあって賑わっている。
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一休みして六合目石室に向かう。エアリア(昭文社の山と高原地図)の破線ルートに入ると一転して静かだ。道は大方しっかりしているが、岩場の下りに長いクサリもある。積み重なる岩を伝い下りていくと石室の屋根が見えた。甲斐駒山頂から約1時間、13:20でまだ早いが、擦れ違った単独者から鋸岳を登る人がいたと聞いており、この先のテント場はふさがっている可能性があるので、ここに泊まることにする。石室は最近リニューアルして半分ほどが土間から一段上がった床になっており、壁こそ石積みだが快適に過ごせそうだ。先客は4人パーティだったので、床の空いている側にシートを敷いた。
石室から少し離れて水平に道がついている。そこに上から合流しているのが本来の登山道だろう。さらに進むと樹林が開けてザレたテント場になっており、水場はここから急坂を70mほども下りた沢になる。
石室の中は暗いので外でくつろぎ、土方は軽量の譜面台まで持参してオカリナを吹く。その間に到着するパーティがあり、1隊は土間にツェルトを張るという。こうなると石室も窮屈なので、自分たちはテント場に移動した。夕食にしながらもオカリナは続き、周囲の人たちにも好評だった。
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就寝前に外に出ると満天の星。この夏は天気に恵まれず、天の川を見るのは久しぶりだ。就寝中20時過ぎだろうか、鋸岳方面から到着したパーティがあった。おそらく予定地に泊まれず、ここまで来たのだろう。

■9/14(日)
起床時には雲があったが、やがて晴れた。ヘルメットとハーネスを着け、5時半出発。
地形図では石室から鋸岳まで尾根の上を道が通っているが、実際は樹林の中の踏み跡で高いところばかりを行く訳でもない。三ッ頭手前で少し道を探したが、三ッ頭分岐には真新しい指導標があった。
そこからはほぼ稜線上のアップダウンで中ノ川乗越に至る。擦れ違ったパーティはやはり乗越に泊まったとのこと。乗越付近のテントスペースは、まず手前に2人用程度の場所があるが落石が来そう。乗越の底には5人用が張れそうで、こちらはよほどの崩落がない限り安全そうだ。ここまでの樹林の間にも小さなテントを張るスペースはあったが、やはり石室かここかということになるだろう。
乗越からは岩尾根を右にした急なガレ場。岩が小さく砕けていて足元が崩れ、登りにくい。上部は草付きになり、さらに岩稜を上がって第二高点(2675m)に8時。
ここから眺めると第一高点まで細い稜線が続いていると思えるのだが、そこに下りる道が見つからない。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA 第二高点から第一高点を望む

頂からわずかに戻ると南西のガラ場を示す色褪せた矢印があるが、下りてみても稜線には繋がらない。しばらく探していると後から来た人がルート概念図を見せてくれて「かなり下る、とあります」。するとこのガラ場なのかと行ってみると、樹林中を急降下する道に繋がっていた。上から見たのでは判らなかったが稜線はスッパリ断ち切れており、それが大ギャップなのだった。最終的に120mも下って大ギャップからのガレた谷を渡り、岩尾根をバンドで横断してルンゼに入る。見上げる稜線に開いている穴が鹿ノ窓だ。少し上がると長くて新しいクサリが付いているが、頼らずに登る。後続パーティがいるので脆い岩を落とさないように気を遣い、鹿ノ窓を潜って一息。ここを下る場合には懸垂下降した方が安全そうだが、一度ではロープが届かないだろう。いったん切ってクサリに支点を取り直すか?
OLYMPUS DIGITAL CAMERA 大ギャップと谷を渡る後続パーティ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 鹿ノ窓への登り

鹿ノ窓から稜線下をトラバースしていくと、ガケの上の岩にクサリが渡してあり、その手前側に赤テープが付いている。クサリの本体は反対側に下がっているのだろうと見当は付くが、赤テープの箇所は足場が悪い。前後を見渡し、赤テープより手前で岩を乗り越して稜線に立った。ここもまた、逆方向に下りるのは怖そうだ。
推測通り稜線からの急傾斜にクサリが下がっており、向かい側もまたクサリ付きの岩壁。これが小ギャップだ。途中まで下ってからクサリに合流する踏み跡を辿ったが、いちばん下まで行くと最後でヒヤヒヤするので、一段上でクサリを掴んだ方がよい。下りていると、矢田の目の前から子供の頭ほどの落石が発生。「ラク!」と声を上げ、下にいたパーティに避けてもらった。登りは逆層気味の岩だが、クサリの左側に適当なホールド、スタンスがあって自力で登れる(最後だけ安直にクサリを掴んだが)。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA 小ギャップへの下降とそこからの登り

小ギャップ通過後は難しい箇所はなく、ハイマツ混じりの稜線の最後の急登に息を切らせて、9時半に第一高点(2685m)に立った。前回はここまで来て暗雲垂れ込める行く手(甲斐駒方面)を眺めて引き返したのだった。今回は天気に恵まれて快適だったが、そろそろガスが出ている。
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角兵衛沢ノ頭でテント場を確認、前回使った4~5人用スペースの他に2~3人用の場所もある。ガレた谷を下りて大岩下ノ岩小舎の下で休憩、あとは赤テープの連打された樹林の道で、12:10 角兵衛沢案内板の徒渉点に出た。少し探せば石伝いに渡れたようだが、水に入るのは予定のことなので靴を脱ぐ。足を冷やしてスッとした。
前回はここから北沢峠に向かったが、今回は戸台へ出ることにする。アップダウンはないものの河原は予想外に暑く、2時間の歩きは長かった。
戸台大橋からタクシーを呼んで高遠の「さくらの湯」で入浴し、ふたたびタクシーで茅野駅へ向かった。

甲斐駒~鋸はエアリアのルートとは思えない難コースで、バス遅延のために計画と逆回りになったが、初めてならばそれが正解だった。今回は結果的にロープは使わなかったが、ロープと、とりわけヘルメットは必須である。

山行終了後、神森邸へ。夕食をご馳走になり、ぐっすり眠らせてもらって、翌日ゆっくり帰宅した。
(文中敬称略)

<行程>
9/13 北沢峠8:10~仙水峠9:20~駒津峰10:40~甲斐駒ヶ岳11:50-12:10~六合目石室13:20(テント場泊)
9/14 六合目石室テント場5:30~中ノ川乗越7:30~第二高点8:00~第一高点9:30~角兵衛沢ノ頭10:00~角兵衛沢案内板(徒渉)12:10-40~戸台大橋15:00

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