八ヶ岳・石尊稜

■2/2(土) 快晴
朝一で都内を出発し、八ヶ岳山荘の駐車場に車を停めた。アイゼンを着けて北沢経由で赤岳鉱泉に到着。今日明日はアイスキャンディフェスティバルが開催されており、人出が多い。テント場を確保、設営してからプロトレックブースにいた牛山さんに挨拶にいった。花谷さんもいた。
挨拶の後、明日のために石尊稜までのルートを偵察に行った。赤岳鉱泉から中山尾根方面に10分くらいで橋に出て、橋を渡ったところからロープをくぐって踏跡をたどった。小同心沢、三叉峰沢のふたつの二俣を右に向かい、石尊稜下部岩壁が見えるところまで踏跡があった。
ここから新雪になり、偵察していた先行パーティーは上部も雪が深そうなので明日は諦めるとのこと。石尊稜3年越しの我がチームはそこからラッセルで下部岩壁のアプローチまで明日のために道を付けた。軽く偵察してテントで宴会の予定だったが、テント帰還が17:30くらいになり、その後のスケジュールを押していった。
酒、鍋、酒、鍋、酒、酒とお湯割り、熱燗で就寝は21:00。
01テントで宴会2
  フェスティバル / テント宴会

■2/3(日) 快晴から曇のち吹雪
3:00起き、5:00出発の予定が6時近くになり、朝から重い足を運んだ。
02とりつきまでの道
  取付きまでの道

下部岩壁取付きへのアプローチは急峻な雪面、草付き、雪稜で厳しいものだった。ルートはわかりやすいがアプローチだけでこのしんどさに暗雲が立ち込める。
04下部岩壁取付き2
  下部岩壁アプローチ / 取付き

【下部岩壁】
○1P Ⅳ 45m
先行パーティーが左ルートに取りついていたため、中央ルートのペツルボルトに支点を作った。他に3パーティーが順番待ち。みなさん、登攀用のサブザックにダブルアックスの出立(いでた)ち、縦走ザックにプローブとスコップを差し、縦走ピッケルにワカンを持った我がチームは明らかに浮いている。
スラブ壁で岩に雪はほぼない。下から見ると二つのペツルが確認できる。その上には灌木が散見されるのでアンカーは取れそうだ。終了点は三角形のピークに立木が見える。今日は天候に恵まれてルートがはっきり見えるのがラッキー。岩壁に雪がないので岩角をつかんで、また、プッシュして体を上げていく。中間部にペツルのビレイ点があり、残置スリングが掛かっていた。ここでピッチを切るのは早すぎるので撤退するときの懸垂点かもしれない。中間部からは岩の間に草付きが点在しているのでピッケルで上体を安定させ足を上げていく。ピークに乗越す最後の一歩がハイステップで力も尽きているので足が、ああ足が上がらない。目の前に抱きかかえられるほどの大岩があり、つかまりたいのだがいかにも浮いている。結局木にぶら下がってよじ登った。微妙によじ曲がった立木をビレイ点にして1ピッチ目は終了。

○2P Ⅲ 40m
急峻な雪稜で体力を削られる。ピッケルを刺しアイゼンのキックステップでふくらはぎを酷使しながら高度をあげる。立木をビレイ点にした。この辺りから後続パーティーに追い越され始める。ラッセル宜しく。

○3P Ⅲ 40m
2Pと同じパターンだが、ダブルアックスでフリーで登るパーティーがあった。我がチームは灌木でアンカーを取りながら縦走ピッケルで進む。腕がパンプしそうになったところで立木をビレイ点にした。

○4P Ⅲ 30m
よく覚えていないが2Pと同じパターンだった気がする。
雪のルンゼを右に上がったところの大木をビレイ点にした。
ここから5Pまではコンテで雪稜歩き。数回雪壁をよじ登った。体力がどんどん削られていく。
05中間の雪稜

【上部岩壁】
○5P Ⅲ 40m
階段スラブだが手掛かりが少ない。上部は雪稜で大岩を右から回り込んでビレイ。ここから強風が吹きすさぶ。

○6P Ⅲ 40m
岩のルンゼをひたすら登る。強風と疲労でゾンビのようになっている。ピナクルにロープを巻きつけてビレイ。強風で立っていられないので岩陰に座り込んだ。
ここから雪稜と草付きをコンテで50mくらいで山頂に到達。無意識に握手。
強風と氷の礫で顔面を強打されながらほうほうのていで地蔵尾根を下りた。
07ピーク2
  上部岩壁最終ピッチ / ピーク

<行程>
2/3 赤岳鉱泉(テント)5:50~橋分岐6:10~アプローチ6:58~1P7:50~2P9:10~3P9:40~4P11:00~5P12:18~6P13:10~山頂13:58~赤岳鉱泉16:10

西表島(沖縄県先島諸島八重山列島)

【計画編】
■ルート本案
↓船浦湾干潟→ヒナイサーラの滝→ヒナイ川遡行→板敷川支流下降→板敷川本流遡行→幻の湖→板敷川源流→ユツン川源流→ユツン川本流→古見岳往復→三段ユツンの滝→ユツン川下降→ユツン橋
001-西表ルート案B-1

■ルートサブ案
↓(幻の湖まで本案と同じ)→板敷川本流下降→マヤグスクの滝(懸垂)→浦内川横断登山道→大富
002-西表ルート案A-3

↓今回の計画の中で一番興味があり楽しみとしているのが、個人的にやり残している感の強い「幻の湖」から「古見岳」間を繋ぐルートだ。そこでは極力藪を避けつつ、沢の源頭付近の微妙な起伏を読みながら進む必要がある。そこで少しでも参考にと、以前NHKの番組「ブラタモリ」でも紹介された赤色立体地図を携行しようとの提案が鈴木さんよりあった。
003-赤色立体地図(書き込みあり)

■行動予定
12/31(月)羽田空港→石垣空港→石垣港→(ガスボンベ入手)→西表上原港(欠航時は大原港よりバス移動)→(上原駐在所に登山届提出)→ミトレアキャンプ場(泊)
1/1(火)キャンプ場→ヒナイ川河口→ヒナイ川遡行→分水嶺→板敷川支流(泊)
1/2(水)幕場→板敷川遡行→幻の湖→P393からユツン川支流付近(泊)
1/3(木)幕場→ユツン川本流→古見岳往復→ユツンの滝→ユツン川下降→ユツン橋→(バスにて船浦下車)→ミトレアキャンプ場(泊)
1/4(金)キャンプ場→上原港または大原港→石垣港→(市内観光)→石垣空港→羽田空港

■エスケープ・サブプラン
①同ルート下降
②板敷川下降→マヤグスクの滝(懸垂または大高巻き)→縦断登山道より大富方面
③板敷川下降→マヤグスクの滝(懸垂または大高巻き)→縦断登山道よりマリュドゥの滝桟橋方面
④古見岳→相良川下降ルート

■個人装備
軽登山靴、沢靴(他、沢装備)、ハーネス、ヘルメット、PAS、120cmアルパインクイックドロー×2、下降器、HMSカラビナ・変Dカラビナ・スリング・捨て縄等適量、雨具、防寒着(中厚)、ヘッドランプ、水2L以上、行動食4日分、ナイフ、トレペ、地形図、コンパス、寝具、コッフェル、携帯電話、予備バッテリー等

■共同装備
松本 … テント一式、銀マット、ハンマー、ハーケン×2、ライター、食料朝夕3人前
鈴木 … φ8mm×30m補助ロープ、救急キット、食料朝夕3人前、ガスヘッド、中鍋、おたま
保岡 … φ8mm×30m補助ロープ、ポイズンリムーバー、ガスヘッド、ライター、食料朝夕3人前

計画は以上の通り。ほぼ万全?の態勢で臨んだが…。

【実施編】
■2018年12月31日(雨時々曇り)
東京羽田(06:15)→石垣空港(09:40~10:00)→(シャトルバス/500円)→石垣港(10:40)→石垣市内打上げ/そば処「まーさん道」(11:00)→石垣港離島桟橋(13:00)→(安栄観光フェリー)→西表大原港(13:45)→(安栄観光バス/フェリー代と込み)→船浦十字路・民宿マリウド(15:10)⇔(上原駐在所往復)

個人的には1994年以来6回目となる西表島へ、この度会山行として無名山塾の仲間2人と共に目指すことになった。率直にうれしい。

↓10月に航空券を手配しておきながらも、準備は満足に進まず瞬く間に出発当日を迎える。予報通り石垣に着くなり天気は小雨。そして西表上原港行のフェリーも予期していた通り欠航のため、大原港行のフェリーに乗船する。島が見え始め「また来たぜ!」とばかりに心躍るが、島はどんよりとした雲に覆われモチベーションは下がる一方。
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↓西表大原港に到着。当初は船浦のミトレアキャンプ場を利用する予定だったが、雨のため同系列の民宿マリウドに急遽変更し、今後の予定について考える。
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■2019年1月1日(雨時々強し)
民宿マリウド(10:30)→船浦バス停(10:40)→(路線バス)→浦内川(11:10)→下流船着場(11:30)→(遊覧船)→軍艦岩(11:55)→マリュードの滝展望台(12:35)→カンピレーの滝折返し(13:10)→軍艦岩(14:35)→(遊覧船)→下流船着場(14:50)→(バス通り徒歩)→住吉バス停(16:04)→(路線バス)→船浦バス停(16:22)→ミトレアキャンプ場見学(16:33)→民宿マリウド(16:50)

昨日から夜通し激しい雨音が聞こえていたため、増水を危惧し、沢の分水嶺越えをメインとする縦走はサブプランに切り替えるなど、まずは一日様子を見ることにした。屋内でだらだらと過ごしてもつまらないので、思い当たる名所の中から二つ三つ候補を挙げ、日帰り可能な所までを往復しようと決める。それにしても凹む。

↓本日の行動は、西表最長河川の浦内川から遊覧船を利用してカンピレーの滝までの往復に決定。樹林帯内にはジュラシカルとでも表現したくなるような木性シダのヒカゲヘゴが至る所で見られる。横からいかにも小型肉食恐竜ヴェロキラプトルが出てきそうな雰囲気を演出してくれる。
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   (撮影:鈴木)
↓横断登山道途中のマリュード(マリュドゥ・マリウドなど発音の仕方も様々)の滝展望台より。この展望台から対岸にある支流のギンゴガーラ川を遡行するルートがとれるらしいが、この激流を渡渉できるとは到底思えない。予測を超えた増水量に縦走案は全面的に中止だと諦めもつく。
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↓カンピレーの滝、観光折返し地点。落差のあまりない滝のため、増水していると滝の渓相を成しておらず、ただの激流。まさにお手上げ!
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↓西表内陸部の縦走は、基本沢登りと沢下りになる。なぜなら沢以外の樹林や草本帯では時折このツルアダンの密藪に捕まり、いちいち引っ掛かるザックが狂おしいほどのストレスとなるからだ。それこそ10m進むのに10分?の世界。新雪の深雪ラッセルとさして変わらない。いや、それ以上に西表では通過できない本当の藪がある。
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↓こちらは純粋なアダン? 亜種のツルアダンよりも棘が鋭い。
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■2019年1月2日(雨時々強し)
民宿マリウド(09:30)→船浦湾干潟入口(09:50)→ヒナイサーラの滝(11:15)→船浦湾干潟入口(12:25)→ミトレアキャンプ場横(12:45)→マーレー川カヌー船着場見学(13:48)→テドウ山方面登山道(途中まで往復14:05)→マーレー川カヌー船着場(14:16)→民宿マリウド(15:10)⇔(上原スーパー食材買出し)

昨夜も夜通し激しい雨音が響く。それにしてもよく降る。

↓本日は干潮時を狙って干潟からヒナイサーラの滝に行き、滝上より内陸の登山道を辿ってテドウ山登山道と合流し船浦への林道へ至る周回ルートと決める。
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↓写真中央の植物はヒルギダマシ(鈴木談)。砂地上を放射状に突き出す筍根と呼ばれる呼吸根がとても印象的。マングローブの一種だが、左右に写るヒルギ科(ヤエヤマヒルギ)とは別系統。
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   (撮影:鈴木)
↓干潟には必ずこいつら(ミナミコメツキガニ)がいる。砂地を埋め尽くすほどウジャウジャいるイメージだが、小潮だからか、悪天だからか、パラパラとしかいない。じっと観察していると何故だか愛着が湧いてくる。
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↓タコの足のようにたくさんの根を張るヤエヤマヒルギの群落。マングローブという名称は、これらヒルギ科と先ほどのヒルギダマシなどを含めた総称だ。
背景右の山肌に顕著に白く見えるのがヒナイサーラ(またはピナイサーラ)の滝。その他の白い筋は、平水時には現れない滝。
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↓マングローブ林内につけられた道を行く。初めて訪れた時と変わっていない。満潮時にはここも腰ぐらいの深さになる。
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↓マングローブ林内に生息するシレナシジミ。手のひら大。この個体は8cmほど。それでもシジミだ。左背後の三角錐の巻貝はキバウミニナ。そこら中にわんさか散らばっている。
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↓西表では有名なサキシマスオウノキ。平板状の板根が特徴。熱帯・亜熱帯地方特有の薄い表土に対し、倒れないよう支持力を得ようと進化したものらしい。
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↓干潟より道はマングローブ林~草原~樹林帯と変化し、ヒナイ川渡渉点に出る。ここを渡らないとヒナイサーラの滝へは行けない(写真は渡り終えた後)。平水時に浅いところを選べば足首程度の深さだがこの有様。流れは比較的緩やかだったので、3人肩を組んで進めばロープ無しでも行けると判断し突破。一番深いところでお腹ぐらいだった。ただ、この先マーレー川の渡渉もあるので、そこが果たして渡れるのか気になる点ではあった。
ちなみにカヌーに乗っているのは、マーレー川船着場からのツアー客の方々。
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↓(左)ヒナイサーラの滝下。まさに台風並み!瀑風と共に激しいしぶきで、これ以上は近寄れない。
その後、先ほどと同じくツアー客を連れた宿泊先の現地ガイドの方と偶然すれ違う。その際マーレー川の渡渉について尋ねたところ、増水していて微妙な感じのご様子。ここはやはり現地ガイドの見解を尊重し、往路を戻ることにする(実はメンバー保岡は、元バリバリのサーファーで海の男。泳ぎには自信があると自負しているので、渡渉時に足が付かない深さならば、泳いでロープを渡してもらえばいいやと安易に考えていた)。ただ、すでに満潮に向かって潮位は上がりつつあるので、急いで下山する必要があった。
右の写真は参考までに前回(10年前)の様子。平水時はこの程度で、滝壺ギリギリまで近づける。
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■2019年1月3日(雨時々曇り)
民宿マリウド(09:45)→船浦バス停(09:47)→(路線バス)→白浜港(10:55)→(船浮海運フェリー)→船浮港(11:00)→(船浮集落散策)→イダの浜(11:46)→船浮港(15:30)→(船浮海運フェリー)→白浜港(15:45)→(路線バス)→大原港(17:23)→民宿「島時間」(17:28)⇔居酒屋「はてるま」(19:00より予約)

夜半はまたしても雨音が断続的に聞こえていた。
日帰り案の一つに、ユツン(またはユチン)川からユツン三段の滝、出来れば古見岳往復というのがあったが、ユツン川もどうせ増水で下手をすればバス通りのユツン橋から入渓して10分もしないうちに敗退もあり得る? そして路線バスも数時間に1本なので、バス通りをトボトボと何時間も歩くはめになると考えると、もっと無難な案として船浮集落訪問が浮かび、結局それとなった。

↓写真は船浮港。ここは日本全国でも珍しい陸路の無い集落。交通手段は白浜港より船のみ。
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↓船浮集落より更に西に徒歩15分ほどのイダの浜。一年を通した生活のある人里として、ここが本当の意味での西表最奥地。
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↓そこをシュノーケリングする保岡。シュノーケルはたまたま砂浜に落ちていたものを洗って使用していた。お見事。
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↓船浮より再び白浜に渡り、路線バスにて島のバス通りのほぼ端から端まで約1時間40分かけて大原港へ戻る。今晩は宿を大原の民宿「島時間」へ移し、鈴木さんが出発前より目を付けていた人気の隠れ家的居酒屋「はてるま」にて打ち上げ。西表最後の夜をここで締める。八重山の珍味というだけでなく、必ずリピートしたいと思わせるに十分な味付けと至高のメニューであった。
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■2019年1月4日(曇り時々雨)
民宿「島時間」(9:00)→大原港バス停(9:18)→(路線バス)→日本最南のバス停「豊原」バス停(9:23)→南風見田(はえみだ)の浜(10:27)→忘勿石(12:40)→豊原バス停(13:45)→民宿「島時間」(14:20)→大原港(14:30)→(八重山観光フェリー)→石垣港離島桟橋(15:05)→石垣市内買物&打上げ/居酒屋「まだんばし家」(18:00)→(タクシー)→石垣空港(18:30~19:50/※20分遅れ)→東京羽田(22:35)

最終日、飛行機は夜の便のため、まだたっぷり時間がある。大原から散策といったら大富から仲間川の展望台か、豊原からの南風見田の浜だろうか。足は、理由があって南風見田へと向かう。

島嶼を旅するバックパッカーの間では、西表と言ったら南風見田の浜であり知らない者はいない、南風見田は殆ど合言葉である、と自分は認識している。
ここで、山ヤとしての西表の歩き方には大きく分けて二つあることを記したい。
一つは、内陸部の分水嶺越えを繰り返す、つまり沢から沢を渡り歩くもの。今回の計画がこれ。
もう一つは、特に道路の無い島の西部地区などの海岸線を辿るものである。
後者は島嶼登山特有の山行形態だろう。断崖の磯や巨岩帯、砂浜が交互に現れ、潮の干満で通過の難易度が変化するのが面白い。また、熱帯・亜熱帯では特にサンゴ礁が発達しているため、大潮の干潮時には場所により沖合数百メートルまで浅瀬若しくは完全に地盤が露出する、リーフ歩きが何とも爽快だ。

そこで、海岸線歩きの起点あるいは終点となるここ南風見田の浜で、以上を再確認しようというものだった。

↓最終日にして、初めて薄日が差す南風見田の浜。
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↓かつてリーフ歩きをした海岸線。このような奇岩は珍しくない。
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↓先を行く二人と、イリオモテヤマネコらしき足跡。この辺りに民家はないので、家猫とも考えづらい。割とあちこちで見られる。
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↓つぶらな目が愛くるしい。調べたら「ミナミスナガニ」だそう。昼は黒っぽく、夜は白く透けた色になるとのこと。ちなみにここまで成長していない小さな個体(白く半透明)は、あまりのすばしっこさに視界の隅を塵や枯草の塊が風に吹かれて過ぎたかのように映るが、視線で追うとこのカニと判る。
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↓南風見田の浜全景。
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↓豊原から南風見田キャンプ場間は、サトウキビ畑やこのような風景が広がる。
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↓豊原バス停。日本最南端のバス停、との表示に、そーだったのかぁと少し感動。
その後、我々は最後の晩餐を石垣島にて行い、次回への志を確認しつつこの八重山を後にした。
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【メンバー所感】
■松本
連日のスコールによる増水を危惧し、大幅な予定変更を余儀なくさせられた今回の西表山行。内陸部の沢の遡下降をメインとした縦走を一切中止し、民宿を拠点に様々な入山地点付近を往復するというだけのもの。観光・偵察、解釈の仕方はいろいろあるが、1月2日の干潟ルートだけは山行と言うに申し分ない内容だったと思う。…初めて西表を訪れた時のこと。すっかりセピア色となった25年前の映像記憶、それはずかずかと船浦湾の干潟を歩く姿そのものだった。干潟歩きこそ西表らしいとの想いで、予てよりこのアプローチだけは外さないと決めていた。…この船浦干潟よりマングローブ林を通し、遠く山肌にピナイサーラの滝が望める。通常細く白い筋であり、全景と相まってのどかな風景を醸し出しているはずが、遠目に見えるそれは増水し、まるで水道の蛇口を全開にしたかのように下方がしぶきと共に末広がり、猛烈な勢いで流下していた。
10年前の年末年始に訪れた際も雨に見舞われた。行動に適切な時期を定めるためには、八重山の気候についてもっと細かく知る必要があると改めて感じた。
なお、今回メンバーのお二人には、現地での予定変更の折、宿の予約連絡や交通機関への問合せなど、細かい気配りに助けられ、スムーズに事が運んだことに感謝しています。

■鈴木
こんどの年始は休みが長いから西表島に行かない?松本さんが声をかけてくれたとき、予てより島嶼登山に興味があった私は、一も二もなく飛びついた。
ご存知の通り西表島は亜熱帯の島だ。九州より台湾に近く、まず本州とは生きる動植物がまるで違う。ものの本によれば、──川を縁取るように伸びているブッシュがアダンの群落。アダンはトゲトゲの葉を持ち、タコの足のように長く伸びた何本もの根をつけている。群落となると、それらが絡み合い、全体が4mもの高さになる。藪の漕ぎようがなく、まず絶対に通過できないとある。またサキシマハブ、ヤマビル、マダニ、ムカデ、ハチ類、アブ、ヌカカ、カ類は季節を問わず活動しているという。けっこう!けっこう!私の探検心は大いにくすぐられた。
計画が決まり、さて実際どこをどのように歩こうか、地図にない道を探し始めてまた知った。西表島を旅するキーワードは「分水嶺」と「潮の満ち引き」なのだ。潮の引いた干潟から一つの沢に入り、沢を登り詰め、また別の水系へと下る、そうやっていくつかの沢をつないで島の中心部にある山岳地帯を縦走する、けっこう!けっこう!島嶼じゃないか!
実際は豪雨のため縦走計画は中止となったが、それでも西表島は想像以上に刺激的だった。自然ばかりではない、そこに暮らす人々の印象、港や集落の佇まい、食べ物、酒・・・、島という独特の環境から導き出された豊かで深いものが、そこにはあるように思えた。
貴重な機会を与えてくれた松本さん(夫妻)に感謝。旅の友、保岡さんにも。

■保岡
今回は暴風雨のため当初の縦走計画を大幅に変更するというハプニングに見舞われましたが、経験者の松本リーダーのお陰で主要ポイント(ヒナイサーラ、カンピレー・マリュードの滝、船浮のイダの浜でまさかのシュノーケリング)のピストンに変更していただき有意義な山行になりました。
次回は南風見田浜から鹿川港を経由し陸の孤島、奥西表の船浮港まで縦走できればと思います。

笊ヶ岳・ランカン尾根

好天に恵まれたことに加え、ラッセル前提だった雪量も2300m付近までほぼゼロ、それ以降も深くて膝程度で、快適な山行だった。雪の少なさは痛し痒しであるが。
ランカン尾根はp1828.4までの急登、大ギャップ、最後の鞍部を越えてから小笊への急登という三段構成だった。笊ヶ岳は360度パノラマで北岳から光岳まで南アルプスのすべての峰々を一望。布引山から見た初日の出と富士山の並びは縁起が良かったが、その後の猛烈な下りで心と膝が折れた。広河原について力を抜いたが、実はその先が今回の核心なのだった。

■12/29(土)
JR身延駅から早川町営バスに乗車、大島バス停で乗合タクシー(要予約)に接続し、部活帰りの女子高生と雨畑までの山間の道を行く。バスは運賃600円+手荷物料金200円、タクシーは200円と安い。今日の宿、ヴィラ雨畑は山と湖の間の隙間に建てられた元小中学校で、体育館に名残が感じられる他は建て替えられて宿泊施設になっている。カウンターにはここが登場するコミック『ゆるキャン△』が置かれていた。1泊2食付で7500円、夕食のメインデッシュは竹輪と牛蒡の鍋でとてもヘルシーだった。別棟の温泉は風情のある構えだ。

■12/30(日)晴れ
ランカン尾根へのアプローチは、戸屋地区から長い林道をなぞって大金山付近から取り付くのと、老平地区の硯の里キャンプ場から西北西~北向きの尾根を経由する2ルートが選べる。前者は緩やかに高度を稼げる反面林道歩きが長い。我々は急登の後者を選択した。
弁当にしてもらったヴィラの朝食を食べ、6時過ぎに出立。1時間弱で人気(ひとけ)のないキャンプ場に到着し、装備を整える。空身で取付き場所を探索、遊具の奥に杣道を発見し、7:10に620m地点から登り始め。気温-3℃、雪は全くないものの急傾斜で、積もった落葉に足を取られて非常に登りづらい。
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広葉樹林帯を落葉を踏みながら900mジャンクションまで登り、広い尾根の針葉樹林帯手前で休憩。静けさの中にキツツキの音、サルの声を聞く。ここから進路は北に向いていく。植林帯に入ると多数の杉が切ったままに放置され、ひどく歩きにくい。ネットで読んだ記録に「モチベーションが下がるエリア」と解説されていた通りだ。木々を跨ぎ、くぐりながら登っていくと傾斜は緩むが、次はお馴染みシャクナゲの藪漕ぎ帯になった。藪を突破し、1125地点で休憩。
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登山の目印の少ないルートで、1220mで初めて赤テープを見る。戸屋地区からのルートとの合流を示すものだろう。ここまでは伐採された杉に薄いながらも藪が被ってルートが見えにくかったが、スッキリと落葉した樹林となって歩きやすくなる。赤テープが増えたのは、ランカン尾根は戸屋地区側から登るのがメインということか。
1300m付近で恩賜林の火災注意の看板を見るとふたたび100mほど急登。大金山への尾根が合流する1400m付近で西に変針し、切れた尾根をトラバースするようにあるかないかの微かな踏み跡を行く。先ほどのエリアは伐採放置された木々が鬱陶しかったが今度は自然な倒木が道を遮る。12:30にp1828.4に到着。ネットの記録通り、三角点標石の傍らに「静大WV」の看板が横たわっていた。
この前後は緩やかな傾斜で、p1948の手前には泊まって焚火した跡もあった。事前調査でルート中最大の核心部と考えた大ギャップはp1828.4とp1948の間のはずだが、鞍部を越えてもそれらしいところはなかった。もしかして気づかぬうちに迂回ルートを取ったのか・・・と安心しかけたのも束の間、p1948を前にしてそれは唐突に現れた。足元から急斜面で落ちるギャップを隔てて岩壁が立ち上がっている。ギャップの最低部までクライムダウンし、倒木をくぐって岩壁の基部に至る。雪が着いていればこの時点でロープを出しているところだ。基部から観察すると、岩の左側面のバンドを辿ってから折り返して木を掴めば上に抜けられそうだが、冬装備の重荷に振られれば転落しかねない。バンドを慎重に上がってみると、向きを変える箇所でホールドに乏しく足を置く場所が決まらない。ここは空中に伸びている木の幹を踏んで乗り切るきわどいクライミングで、どうやら岩の上に出られた。p1948で一息入れる。
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次の小ピークに登る1950m付近でようやく谷間の日陰に雪を認めるが、尾根上で白いのはせいぜいが溶け残った霜程度。この登りもまた急で、雪山装備を担いで登るのは一体何の修行か・・・ 小ピークで再度休憩し、ようやく本日の幕営予定地p2125に到着したのは15時過ぎだった。さすがにこの高度になると、日陰の地面に薄く取り残されたような雪が見られた。テントを張った近くの窪地から枯葉だらけの雪を集める。いったん凍っているため意外と多くの水を作れて助かった。
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ここをベースに笊ヶ岳ピストンの計画だったが、全体に急登の上に大ギャップを通過してきた往路を戻るのは避け、笊ヶ岳から布引山経由で老平に戻る縦走への変更を決定(もともとエスケープルートとして計画していた)。ただ、この時点では老平から布引山への登りの方が一層の急登であることには気づいていない。

■12/31(月)晴れ
テントをたたんで6:30に出発。気温-10℃。
p2125から尾根はほぼ真西に向かって小笊から笊ヶ岳へと突き上げていく。まずはスタート直後50mの急降下からの急上昇。降下するところで地面が凍っていたため初めてアイゼンを着け、シャクナゲ混じりの低木の藪をかき分けルートを探して下降していく。この鞍部前後は地形図上で崖マークで、最低部からは右にルートをとり、キレットをトラバースぎみに上昇する。人が通れるくらい広くなったところで尾根に上がり、見晴らしがよくなる。p2261を踏んで鞍部に下りると、あとは小笊までひたすら登りだ。
ここからの登りには岩場も出てくる。雪は薄くまだらに着いている程度で立ち木も掴めるので技術的な困難はないが、なにしろ荷が重いので息が切れる。
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この登りにかかるところで、獣の影を見た。一瞬だったので判然としないが、黒く小型でずんぐりした印象。フレッシュではないが熊らしい糞や足跡、樹幹に刻まれた爪痕なども見かけたので、冬眠していない若熊がいるのかもしれない。あるいはカモシカだったか。
2300m付近から足元が一様に雪で覆われるようになり、黙々と高度を上げるのに従って次第に深くなる。正面に迫る小笊はまさに立ちはだかるかの如し。
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トレース皆無の雪に足跡を付け、やせ尾根を通過して小笊への登りにかかる。これまでで一番と思える急登の後、小笊(2620m)登頂。場所によって膝まで潜る程度のラッセルとなった。笊ヶ岳は目前だが、写真を撮り景色を眺め、しばし休憩。
雪から顔を出したハイマツを踏んで、小笊の頂から50m下降。意外と細い尾根で、アイゼンを引っ掛けたりすれば転落もありうる。トレースが付いていたのは最近笊ヶ岳から往復したものらしい。鞍部から60m上昇して、12:40 笊ヶ岳(2629.4)に登頂。昭文社地図に展望マークの付いている通りの絶景ポイントだった。北の顕著な三角は北岳、そこから間ノ岳、農鳥と続き、広い山容は塩見岳だろうか。荒川、赤石と展開し、聖は東尾根が目立つ。茶臼から奥の方に光岳まで、南アルプスオールスターが一望できる。小笊の向こうには富士山。時間に余裕があればここにテントを張りたいくらいだ。
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後ろ髪を引かれつつも山頂を後にし、再び樹林帯に入る。15時までに幕営地を決める予定で歩き、結果的に14時過ぎに布引山までのちょうど中間地点、2500m付近に適地を見出した。ここには雪もたっぷりある。夕食は年越し蕎麦、ラジオで紅白を少し聴いて就寝。

■1/1(火)晴れ
4時起床予定が何故か誰もアラームに気づかず20分寝坊し、6:30に出発。気温-13℃。できることなら布引山頂で日の出をと急いだが、樹林越しの初日の出となった。そこからもう少し登った山頂手前の2570m地点で眺望が開け、富士山と並ぶ朝日を拝むことができた。
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布引山(2584.1)山頂は南北に長く、もう少し歩いて山頂標に到着。南アに共通の立派な木柱には2583.7mとある。
山頂からわずかに進んで青薙山へのルートを分けるとガレの縁に始まって尾根伝いの急降下となる。ここ2~3日よりも古そうな足跡が途切れ途切れに残っていた。一気に高度を下げ、p2021(桧横手山)手前の鞍部でアイゼンを外した。その先も延々と続く急降下は、一般登山道だけに迷うことはないものの相当に厳しい。ましてやここを登るのは日本アルプス三大急登などよりキツイだろう。山の神を過ぎ広河原を目前にしてつづら折れの登山道が崩落している箇所があり、ロープを出してゴボウで下りた。広河原には12時過ぎ。布引山頂から1500mの下降である。
登山道は広河原で沢を横切るが、水量が多くテープの付いた箇所は靴を濡らさずには渡れない。少し下流で石伝いに行ける箇所を見つけて道に戻る。そこからは沢沿いに、場所によっては下の廊下のように切り立ったトラバース道が続く。全ルートを通して、実はここが核心だった。岩壁から滴る水が凍って多数の氷柱が頭上に下がり、しかも岩壁に日があたってその氷柱がキラキラと光りながら道に降り積もる様子が見える。景色としては美しいが大きな氷柱の直撃を受けたらどうなることか。それが一箇所ではなく、岩壁沿いの狭い凍った道の下は崖、足を滑らせたらリカバリの手段がない一歩を先頭で踏み出すのは、アイゼンを着け直しても非常に怖かった。その他、トラバース道が急峻な沢を横断している箇所に架かった橋の多くが落石で破壊されている。代替のハシゴが設置してあればましで、それ以外は橋の片側の枠を伝ったり、橋の下のザレた斜面を慎重に通過したり。高巻き用に橋の上の岩斜面に固定ロープを張った箇所もあったが、ロープが古くてささくれている上に岩も脆く、ホールドを探ったらかなり大きな塊が落ちた。這う這うの態とはこのことで、吊橋(これは一人ずつ普通に通行できた)を渡って廃屋を通過し、林道に出たときは本当に安堵した。
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老平まで戻ってみると、ルート入口に「落石・橋倒壊のため通行禁止」と出ている。夏の登山シーズンまでには修理するらしい。集落は静かなお正月を迎えていた。我々もヴィラ雨畑で入浴して生き返った。

<行程>
12/30 ヴィラ雨畑6:10~硯の里キャンプ場6:50-7:10~1220m(戸屋地区からのルートと合流)9:50~p1828.4 12:30~大ギャップ13:25-13:50~p2125(泊)15:10
12/31 p2125 6:00~p2261 8:10~小笊11:50-12:05~笊ヶ岳12:40-13:05~2500m(泊)14:10
1/1 2500m6:30~布引山7:50-8:00~p2021(桧横手山)9:50~広河原12:10-12:30~林道終点14:10~ヴィラ雨畑15:00

谷川岳・西黒尾根

鈴木が狙っている谷川岳東尾根の観察がてら、今シーズンの雪山初め。

■12/15(土)
土合駅泊。待合室は閉鎖され、他の場所も火気使用禁止になってしまったが、3~4組が泊まっていた。トイレがいちばん暖かくて居心地がいいのは相変わらずだ。

■12/16(日)
5:10に駅を出発、ロープウェイ駐車場に立ち寄る。林道ゲート前の休憩舎(登山指導センター)に泊まれれば楽なのだが、12/1から2/17までは閉鎖されている。先を歩いていたパーティは西黒尾根入口を通過して行った。
6:20、尾根入口(標高800m)から登り始め。積雪は数十センチというところだろうが、しっかりトレースが付いており歩きやすい。すぐ上にいた大人数のパーティはラッセル訓練とのこと。7時、1000mを越えた辺りで日の出となった。木の間越しに見える峰がモルゲンロートに染まり、振り返ると白毛門も美しい。気温は-7℃だが、無風快晴で暖かく感じる。
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特に困難もなく高度を上げ、1400mを越えて眺望が開けたところでアイゼン装着。天神平スキー場の向こうに赤城山の連なりが浮かんでいる。もう少し進んだ平坦部では落ち着いて東尾根を観察できた。下半は緩やかだが、急激に立ち上がって黒い岩肌を見せ、オキノ耳へと続いている。積雪期の登攀は3月にほぼ限られる。
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西黒尾根最大の難所であろうラクダのコブ(1516m)手前では、雪から岩が覗きクサリも出ていた。雪を踏んだ跡を参考に足の置き場を見極め、クサリを使ったりピッケルを岩に掛けたりで乗り越える。そうこうしているうちに空は薄く曇ってきた。
鈴木が不調不良で普段のスピードが出ず、後から来たパーティに追い越される。ゆっくり高度を上げる間に次第に風が出て日も陰ってきた。ザンゲ岩辺りから風が強まり地吹雪状態。さらに1900mを越える辺りでは先行のトレースが消えかけているほどだ。トマノ耳に登頂し、写真だけ撮って早々に下りる。とてもオキノ耳まで行くコンディションではない。
肩ノ小屋に入って休憩してから天神尾根を下山。高度を下げると風も収まり、晴れはしないまでも元の穏やかな天候となった。熊穴沢避難小屋は全体が出ており、覗いてはみなかったが実際に使える様子。その後、時には固定ロープも付いている難所があると思っていたがトラバースで通過。振り返ると西黒尾根の全景を望めた。
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これまで天神平に下りる際はスキー場の端を通っていたが、今年は夏道に沿ってトレースが付いたらしく、トラバースのままロープウェイ駅に到着した。
(文中敬称略)

<行程>
12/16 土合駅5:10~西黒尾根入口6:20~ラクダのコブ(1516)9:20~トマノ耳11:35~肩ノ小屋11:45-12:10~熊穴沢避難小屋12:50~ロープウェイ天神平駅13:40

奥秩父・南天山~赤岩峠

10月に歩いた十文字峠~滝谷山から先へ、埼玉-群馬の県境を赤岩峠まで辿った。

■11/23(金・祝) 晴れ
三峰口からのバスを終点の中津川まで乗ったのは我々のみ。40分ほどの林道歩きで南天山登山口着。
木橋で何度も沢を跨いで行くと20分ほどで法印の滝。水量はないが、白い糸が滑り下りるような美しい滝だ。
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さらに20分少しの尾根取付点で前回下ってきた沢コースから分かれ、左岸の斜面に入る。ここからジグザグに一気に高度を上げて山頂西の稜線に突き上げ、岩稜を伝って南天山(1483m)登頂。眺望絶佳、明日歩く県境の山々から両神山にかけて眺められた。
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腰を上げ、先ほど突き上げた箇所を過ぎて西へ、沢コースの突端へ向かう。前回は山頂を踏まずにそこ(1374m地点の西)から下山したので、これでルートを繋いだことになる。立入禁止のテープを潜ると尾根の突端に壊れた祠があり、その左(南)に尾根に上がらずに道が続いている。ここは素直に道に入った。
古い道標の柱が残っているものの、案内板は失われてどこへ通じる道かは分からない。やがて道は南を向き、南に伸びる尾根に乗ったところで、現在地をP1538から出ている尾根のp1480との間の鞍部と確認した。鞍部を横断した樹木にペンキマークがあって道はさらに南へ向かうように思えるが、尾根の反対側に折り返すように付いた踏み跡を発見、これを辿れば西進する主尾根に乗るのではないか。しかし、踏み跡は尾根に上がらないまま不明瞭になり、ふたたび現れた南北の尾根を登って大岩の右側からp1538に上がった。樹幹に付いている境界見出標は何故か東京営林局のものだ。前回の下山時には、ここはすんなり通過して東進した1430m付近で行き詰って尾根から下り道に入っている。おそらく、先ほどの鞍部から尾根を直接登るのがいちばん楽だったのだろう。
p1538西の1550m小ピークを踏み、次のp1562の東側が前回下山時にトラバースのヤブ漕ぎから脱した地点だ。今回はヤブに入り込まないように右(北)寄りに行くよう意識したところ、特に迷うこともなく尾根上を進めた。樹木が邪魔な箇所もあるが、そのまま次の1550m小ピーク(前回はここを回り込む形でヤブに突入した)を過ぎる。
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見覚えのある廃棄ウィンチを通過し、前回尾根通しに下ろうとして行き詰った崖は、前回通りに南側の泥斜面から迂回。県境尾根に出てからさらに一登りして滝谷山(1659m)登頂。すでに16:30なので、ここにテントを張ることにした。

■11/24(土) 晴れ
テントを撤収し、6時に県境尾根北上開始。
樹林と落葉の道のアップダウンで1658.3m三角点(ブドー沢ノ頭)を通過し、p1609を越えると岩場がいくつか現れる。踏み跡に従って乗り越えたり巻いたりするが、次の鞍部(1560m)ではルートに迷った。立木に頼って岩の上を直進することもできそうだが一歩誤れば数メートル転落する。岩場の左右とも巻けそうなので右側斜面に下りてみると尾根に戻れない。岩の右横のバンドを少し登ってみるが、人の踏んだ形跡はなくやはり危険。結局、岩場手前に戻ると左側に容易な道があった。
岩場が一段落し、広がった尾根を登って帳付山(1619m)登頂。東西に長い山頂で西端からの眺望が良い。彼方に白く輝く山脈は北アだろうか。今度は群馬側の諏訪山(カミヤツウチグラ)から県境尾根へ登ろうか。IMG_3570

県境は、昭文社の山と高原地図で三国山からこの帳付山まで道無し、帳付山から天丸橋下降点まで実線の一般ルート、天丸橋下降点から赤岩峠まで破線の難ルートとなっている。帳付山で東に折れた県境は、一般ルートながら固定ロープの付いた急斜面あり、トラロープの岩場ありとそれなりに楽しめる。馬道のコルから地形図よりも急な印象の尾根を天丸山分岐に上がり、地図のコースタイムを確認して最終バスに間に合わせるため天丸山往復は割愛。すれ違う人がちらほらいるが、おそらく社壇乗越や天丸橋から入って帳付山を往復するのだろう。
天丸橋下降点を見送ると、昭文社地図で「岩稜帯」の破線ルートに入る。踏み跡はほぼ付いているのだが、県境が南南東に向きを変える手前(1540m、昭文社地図の「焼山」付近)で岩稜を右側に下りて踏み跡を辿ったところ行き詰った。引き返しながら探すと岩稜の切れ目から上に戻れる。反対方向から来て上から見ればルートは明瞭なのだが、下からでは目印もなく気づきにくい。
1540mから南南東に向きを変えた尾根は落ち葉の積もった急斜面で下りづらい。少ないながらテープも付いていたが、山吹峠(山の神)まで下ってみると尾根の右(南)側に道があったので、岩稜帯からもっと楽なルートがあるのかもしれない。あるいはこの道が昭文社地図にある「明瞭な踏み跡」で埼玉側の林道に通じているのか。峠から右側の樹林斜面には別の踏み跡も見えていた。
次の宗四郎山(1510m)はこの辺の峰に特徴的に急激に立ち上がり、標高差50mほどの登りはトラロープの付いた急斜面で息が切れる。山頂からは今回歩いてきた南天山から県境尾根が見渡せた。
宗四郎山から下りた後は普通の尾根道となる。次のp1490は昭文社地図に「六助ノ頭」とあるが、現地の杉の幹には「朝三山」と書かれていた。雁掛峠を経て赤岩峠に14時。
最終バスに間に合わせるため足を速め、峠から出合バス停まで地図のコースタイム2時間20分のところを1時間半で踏破。急ぎ過ぎてバス待ちが40分もあり寒かった。

<行程>
11/23 中津川バス停10:20~南天山登山口11:00~尾根取付点11:45~南天山12:40-13:00~沢コース突端13:20~p1638 14:40~滝谷山16:30
11/24 滝谷山6:00~ブドー沢ノ頭6:50~帳付山8:40-8:55~天丸橋下降点10:35~山吹峠(山の神)11:35~宗四郎山12:10~赤岩峠14:00~出合バス停15:30

アイスクライミングトレーニング/赤岳鉱泉周辺

2日間の日程で赤岳鉱泉のアイスキャンディーとジョウゴ沢のF2でアイスクライミングトレーニングをしてきました。天候に恵まれて楽しい2日間を満喫しました。
※今回は写真はありません。

参考まで、2018年12月31日時点でのアイスキャンディーの利用方法を記載します。
 ・営業時間8:00~16:00
 ・利用料金1日1000円。1シーズンパス4000円。
 ・エリア内では、ヘルメット、クランポン、サングラスを常時装着(サングラスの代わりにゴーグルやバイザーでもよい)。
 ・トップロープクライミングのみ許可。
 ・シングルロープ 9.5㎜以上 40m以上を使用。
 ・トップロープ構築用にソウンスリング2本(120cmがお勧め)とロッキングカラビナ2本。
 ・アイススクリューの打ち込み許可。
 ・テムレスグローブでのビレイ禁止。
 ・ハーネスとロープの連結用にロッキングカラビナ2本(無ければ8の字結びで連結すること)。
 ※その他にも色々ありますが、申込時に使用規定の説明があります。

上記事項は変更される可能性がありますので、事前に赤岳鉱泉に問い合わせすると良いかもしれません。

【感想】
■木村
 アイスキャンディーはトップロープを安全に簡単に素早く設置できるのでトレーニングにはとても良い環境だと思います。氷の傾斜や形状も色々あって楽しく遊べると思います。

■斎藤
 アイスクライミングは基本ステップで1回お試し程度で体験しただけでしたが、その時はすぐに腕がパンプしてしまい、ほとんど登れませんでした。今回は腕はパンプしなかったのですが、蹴り込みがなかなか決まらず、腕よりも、足や腹筋に無駄な負担がかかり、体力を消耗してしまいました。しかし、かろうじて2本くらい登りきれたので少し自信がつきました。体の使い方等の基本的な技術をしっかり身につけて、効率良く登れるようになると、もっと楽しめそうだと思いした。

西上州・マムシ岳

昨年12月に途中まで登って降雪のため撤退した西上州・マムシ岳へふたたび。今回は上天気で、紅葉を愛でつつ楽しく完了した。
参照文献は打田鍈一『藪岩魂』。

田中の運転でキリンテ登山口に9時過ぎに到着、路肩に駐車。
日向沢を渡って送電線巡視路でキリンテのコルへ上がり、送電鉄塔を通過、紅葉を見ながら急傾斜を登っていく。
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間もなく現れる大岩・岩場は踏み跡やテープに従って巻いたり、あるいは正面突破。危険な箇所にはトラロープが付いており、ルート取りに迷う場面も特にない。前回に少し難しいと思った岩場もすんなりと通過してしまった。トラロープ付きの泥急斜面はできるだけ立木や根を掴んでロープに体重をかけ過ぎないよう注意して上る。岩稜、岩場、普通の斜面と交互に出てきて飽きない。
20_1100rock  1100m付近の岩場

前回は大岩の頭(キリンテの頭)基部(標高1200m)で撤退したが、今回は問題なし。ただ、基部の岩は赤ペンキの○(ペンキの付いているのはルート中この1ヵ所のみ)よりも左にしっかりしたルートがある。大岩の頭は東の三岐からボンデン山を経る尾根とのジャンクションで、昭文社「山と高原地図」(2018年版)ではそちらにも破線ルートが記載されている(2012年版ではキリンテからの破線のみ)。
緩やかになった稜線を進むとまた岩壁に突き当たる。左側に下がる古びたロープの箇所から登り、わずかでマムシ岳(1307.7m)山頂。地味な山名標が立木に取り付けてある。南側が開けており、先月に前半を辿った三国山から帖付山へのルートも眺められた。
30_mamusi  マムシ岳からの眺望

マムシ岳から西へ岩稜を辿り小岩峰を越え、小ピークへの斜面を登り、下りる。
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『藪岩魂』には「似たような岩稜が延々と続く。いい加減飽きるころ」とある部分だが、それほどの時間もかからずに「シオジ保護林」の看板の立つマムシのコルに着いた。
ここからは保護柵の付いた遊歩道に沿って下りるが、『藪岩魂』にある通り、途中で柵は消えて沢沿いの道になる。古い石垣や朽ちかけた丸木橋があるので、かつての作業道だったのだろう。日向沢に出る直前で柵が復活。ゲンナイ登山口には「原生林自然観察路」の大看板があるが、標高差300m以上の稜線まで行って戻ってくるだけの道で「自然観察」する人がいるのだろうか。キリンテ登山口までは車道を歩いて戻った。
(文中敬称略)

<行程>
キリンテ登山口9:10~大岩の頭(キリンテの頭)10:30~マムシ岳11:00-11:25~マムシのコル12:25~ゲンナイ登山口12:50~キリンテ登山口13:30

妙義山・相馬岳北稜

相馬岳北稜は西側の妙義湖と並行して続く稜線で裏妙義の対面にあたる。尾根歩きあり、岩登りあり、ルートファインディングあり、かつ首都圏からアクセスしやすいバリエーションルートである。11月3日は晴天の特異日らしく、週末悪天候続きの最近には珍しく良いお天気だった。我々のパーティはつつがなく行動して予定より早めに下山できた。

11/2深夜、宇田川さんにメンバーをピックアップしてもらい、関越道を北上、上信越道松井田妙義ICから一般道で妙義湖の畔へ。一旦中木ダムまで行ってから取付きを探す。ダムから2本目の沢を越えた突端の尾根から取り付けそうだ。手前のスペースに駐車して出発。10分くらいで「あたご社」の標識がある。
062145あたご社

30分くらいで稜線に出た。P1らしき岩が見えるが定かではない。
064713P1
  P1
P6までは全く確信がなく、岩と岩のギャップがどこも底の見えないほど深い。コルへは懸垂でしか行けない箇所があり、また登り返しもフリーでは危険なこともあり、ここがP6とP7のコルであろうとめぼしを付ける。
084156P6懸垂点
  懸垂点
今回は4人パーティなので30mダイナミックロープ2本の装備にした。易しい箇所はFIXして二番手三番手はプルージック(または各種アッセンダー)で。難度の高いところは中間に結び目(インラインエイトノット)を作り一人ずつビレイをする、いわゆるロープウェイ方式とした。
091745P7
  P7
P7はルートが岩陰になり長さが測れないので、とりあえずロープを2本引っ張っていき様子見だ。結局30mでは足りず、2ピッチの登攀となった。
岩壁は溶岩質で石が固まった感じで、ガッチリしていると思っても触るとポロッと外れる脆い石が混ざっており、一見ではわからない。油断できないので踏むときも掴むときも用心しないといけない。また、岩壁の途中に木と土のエリアがあり、ずるずる滑って始末に悪い。P7はそんなルートで時間がかかってしまった。
P7以降は稜線の歩きで、ブッシュあり、やせ尾根ありで1時間ほど楽しませてくれる。P11で稜線行が行き詰まってしまい、東側をトラバースする。これが悪いトラバースでロープをFIXしてコルに立った。
112457P12
  P12
P12(つづみ岩)は西を大きく巻くこともできるがここは直登にした。途中に厳しい箇所があり、ロープウェイ方式で二番手三番手を上げた。20mくらいの壁で、前半は草付き、その後外傾した大岩の乗越が核心であり、古いスリングと新しい鎖がぶら下がっていた。大岩を越えればすぐにP12のピークだ。P12の山頂は北に延びており、この脆く痩せた尾根の下降も侮れない。ピークから距離にして70mほどか、行き詰まってあたりを見渡すと東側の立木に懸垂用の残置スリングが1本だけ掛かっていた。そこを下降点とするが、心許ないので1本付け足した。懸垂10mくらいで傾斜が緩むのでここを南にトラバースしていくのがルートであったが、我々はもう一段降りてしまい、登り返すこととなった。
このトラバースはカニのハサミを巻くもので手前に仙人窟が突然出てくる。東側から穴をくぐると岩壁に大きなくぼみができており、風穴の方ではなく、こちらが本当の仙人窟であろう。
131429仙人窟
  仙人窟 偽物と本物
仙人窟からは一般道に近く、わかりやすくはあるが沢登りの詰めのような急登になり、1時間半で相馬岳山頂に到達。4人の登山者が頂上にいた。
143129山頂

下山に利用した相馬岳コースは鎖場や岩尾根の登り返しが多く、暗くなると危険なため、明るいうちの通過が無難だろう。
152851のぞき穴
  のぞき穴

<覚書>
①取付きとなる北稜末端の車道カーブからP5までは歩き。
②P5の先はスッパリ切れ落ちているため、20mほど戻って西側に折れ、左に向きを変えながらP5~6のコルへクライムダウン。急なため必要なら懸垂下降。
③P6の岩溝状の登り約8m(3級)でP6の肩に達する。易しいがロープを出した方が無難だろう。
④P6の肩より裏のランペを登る(肩よりP6の直登カンテラインは登れる気がしない)。
⑤P6~7のコルへは要懸垂下降。
⑥P7の取付きは懸垂着地点より左に10m移動した立木。登攀を1ピッチで済ませたい場合は40m以上のロープが必要(出だし立木を利用して3級、途中2級、上部再び3級)。途中でピッチを切る場合でも立木(完全に当てにできるほど丈夫ではない)まで30mはある。ランナウトに慣れておく必要があるだろう。
⑦P7~P11は歩き。
⑧P11のピーク直前で左にトラバース。トラバースはロープ使用が賢明。5mほど登り返してP11とP12のコルに着く。
⑨P12(つづみ岩)はブッシュ交じりの痩せたカンテラインで一見登れなさそうに見えるがルートである(約20m。1ムーヴだが、A0:4級、フリー:5級?)。上部の外傾した岩の立ち込みは通常A0となり、フリーで越えるには技術を要する。ただし、P12を登らずにコルを乗越して懸垂下降、トラバースで西側から仙人窟へ巻き上がるルートもあるようだ。
⑩P12は狭いピーク。その先の痩せ尾根下降は両側が絶壁で見晴らしよく高度感がある。足場が脆いので緊張を強いられる。
⑪P12よりクライムダウンを交え70mほどで尾根が途切れるので、東側の立木を利用して約10m懸垂下降。
⑫見分けの付きにくいバンドらしきラインを南へトラバースしてゆくと再び尾根と合流する。
⑬尾根は高度感を失い、仙人窟のあるブリッジへ着く(ブリッジの手前をクライムダウンしてもよいし、渡った先をクライムダウンしてもよいだろう)。
⑭仙人窟より先は、ロープの使用箇所はない。
《登攀箇所の難易度順に(P12>P7>P6)》

<メンバー所感>
■宇田川
30mロープの場合、P7では早めにピッチを切る方が良いようだ。自分は1ピッチで抜けられるのではと一杯まで伸ばして足場の良くない所でビレイすることとなり、余計な時間が掛かってしまった。
P12は大岩部分が核心ではあるが岩を抜けて直ぐの草付きが悪く、草付き部分に垂れている鎖を使わせてもらった。
ロープについては、P7が2ピッチになってしまうものの、荷物を分散できることや取り回しを考えると、30m×2の選択は良かったように思える。
ロングルートで登りごたえがあり、達成感のある山行になった。
■松本
皆さんお疲れさまでした。宇田川君はリードにも安定感が増してきたと思います。
■小林功
低山でありながら短時間で岩稜帯、細尾根、あらゆるバリエーションが味わえる妙義山・相馬岳北陵は危険と昴揚感を存分に味わえ、また山が好きになる山行となった。一緒に登ったパーティーに感謝。
■田中
良いルートだった。妙義らしくコンパクトな中に登山の要素が詰め込まれており、一定の技術と体力の準備が出来てからチャレンジすると習得した技術を実践で定着できる有効なルートだと思った。

<行程>
北稜取付6:10~稜線P1 6:47~稜線P5 8:01~懸垂P6 8:22~登攀P7 9:00-10:18~登攀P12 11:24~仙人窟13:07~相馬岳14:31~のぞき穴15:28~林道16:00~北稜取付17:00

八ヶ岳・稲子岳

悪天候のため何度も行きそびれていた稲子岳にやっと行くことができた。アプローチの藪漕ぎからクライミング、帰りの高速道路の渋滞までセットで楽しめた山行だった。クライミングのシーズンは紅葉までという感じで岩場の冷たい風が身に染みた。

■10/27(土) 車中前泊
しらびそ小屋への登山道前ゲートに22時くらいに着いた。宇田川さんと19時に待ち合わせたので3時間のドライブ。浦和ICから東北道、圏央道、関越道、中部道(現在無料)で2,880円でした。安い。明日は5時起きとして一日の疲れをビールで癒した。
ゲート
ゲート前に駐車

■10/28(日) 曇りのち晴れ
予定通り行動し、6時出発、7時30分しらびそ小屋。ミドリ池越しの稲子岳が美しい。ルートがすべて見える。ちょっと信じられないくらいの急登を詰める様も如実に見えてげんなりする。
樹林帯が結構な高度まであり、岩稜帯があり、上の方の少しだけがクライミング対象の岩場だ。
しらびそから稲子岳
しらびそから稲子岳

アプローチが核心とも聞いているので、岩稜帯へのトラバース高度2,130m付近で東側に注意しながら一般道を進む。新しくできた段差のところから入れそうなので一般道を外れて樹林帯に分けいった。しらびそ小屋で前後した女の子の二人連れが怪訝な顔をして一般道を通り過ぎる。
取付への段差
取付きへの段差

半信半疑で地図とコンパスで藪こぎしているとマークが出てきた。マークに勇気付けられ、地図の等高線、コンパスと高度計で進路を計りながら、樹林帯から岩稜帯に出た。しらびそ小屋から眺めた信じられない急登が始まるわけだが得てして現場まで行くと大したことない。それでも息を切らしながら四つん這いで高度を上げ、岩場基部に到着。取付きを探す。右往左往したがトポと現場を見比べて西側へ進み、目印の黒テープと赤いハーケンを発見したのは9時。しらびそ小屋から1時間30分。上出来だ。行動食を食べ、ガチャを装備し、ロープをセットし、立木でビレイ、9時20分にクライミング開始。
1ピッチ目
1ピッチ目

1ピッチ目は一枚岩のスラブからのクラック、10mくらいでリングにスリングが残置されているビレイポイントがある。早すぎる。さらに20mでまたビレイポイントが。ネットの記録ではここなのだがもう少し行ってみよう。ロープあと3mのコールがあり、目の前5mにビレイポイントがあるのに届かない。岩角に240cmスリングでビレイポイント作り、引上げを開始した。

2ピッチ目は右にチムニー、左にクラックのルートだが、チムニーを選択。

3ピッチ目もチムニーからオープンブック。このオープンブックが核心だった。後から聞いたら左がルートとのこと。ハーケン2本打ってあるところをビレイポイントとし、バックアップはリスにカムをかませた。

4ピッチ目は垂壁頂上で15mくらい。ここも悪かったが右手アンダーがあり、一歩上がると左手ガバ、右手ガバで体を吊り上げた。

47m、20m、30m、15mとピッチの切り方がバラバラなのが反省点です。風が冷たく、ウェアがずり上がってきて背中とお腹が冷える。岩陰に逃げ込み装備解除11時16分。2時間弱のクライミングだった。

稜線を東に伝い、山頂を踏んだ。なんの特徴もなく、稜線の端の木に山名板が貼ってあるだけだが「見つけ出した!」感があり、クライミング完了時よりも感動し、おもわず、握手。
下降は最短距離で登山道に出て、2時間弱で駐車場。ここまでは順調だったが高速道路で渋滞にはまって6時間かかって帰宅した。

<行程>
ゲート前6:10~しらびそ小屋7:30~一般道から分岐8:00~取付き9:00-9:20~トップ11:16~稲子岳山頂~しらびそ小屋~ゲート前

<メンバー所感>
●宇田川
好天の中楽しく岩登りすることができた。アプローチが分かりにくいと聞いて下調べしていたお陰で取付きまで問題なく行けた。ガレている場所では落石が起こりやすく注意が必要だ。

●田中
ほぼ計画通りの行動ができたのが良かった。予想外だったことは寒さ。最初からカッパの上着を着ていたのだが風が冷たく寒い。ダウンも持っていたのでもっと長いルートだったら下に着こむのもありかと思った。カムは有効で今回はBDの0番と2番を持って行った。2番を2回使った。

奥秩父・白泰山~南天山

南アルプス深南部を予定していたが、9/30に上陸した台風24号の爪痕で林道が通行止めとなり、登山口までの深夜バスが出発前日にキャンセルに。続けて発生した台風25号を勘案し、影響の少ない奥秩父に転進した。十文字峠道を分け入り、十文字峠から三国峠を越えて滝谷山まで北上、そこから東進して南天山までのルート。結果、台風の影響は少なかったし、藪あり、岩ありで楽しいルートであった。中津川バス停から西武秩父駅に行き、温泉に浸かってご機嫌で帰路に就いた。奥秩父最高です。

■10/6(土) 曇り、樹林帯は蒸し暑い、稜線は風強し
埼玉県は東西に長い。埼玉と長野の県境を歩む旅のため、鉄道終点の三峰口駅からバスで川又まで40分、埼玉県最西端まで来た。
川又バス停にはきれいなトイレがあり、水も取れる。我々の他に下車した3名は沢ルートで柳避難小屋を目指すとのこと。我々は十文字峠道と呼ばれる尾根ルートを利用する。
十文字峠道は武州栃本関所から国境稜線を越えて信州梓山に至る。武州側は奥秩父最奥部の長大な尾根を辿る難路。古くから開かれた道で、往時は三峯参詣や善光寺詣に利用され、幕末には5基(うち4基が武州側)の里程観音が建てられた。

川又から栃本に向かう車道を20分ほど歩き、「右ハ信州道 左ハ川又ヲ経て甲○(判読不能だが甲府であろう)」とある道標から峠道へ上がるショートカットに入る(地図ではこの入口がよく判らず何度が行き来した)。峠道が林道を離れる箇所には先ほどのものと同時期の道標が倒れている。大正11年に大滝村青年団が勅諭下賜四十年紀念(年数からすると「勅諭」は明治15年の軍人勅諭)として建てたものだ。山道を10分ほど登ると両面神社に出た。三峯神社の姉妹宮だそうで狛犬はオオカミである。古来、山道の入口には山仕事や峠越えの安全を祈願する神社が置かれたといい、この道の歴史を感じる。神社から少し上がると東屋があり、そこからトラバース道が続いて林道に絡むと白泰山線登山道入口。広々しており10台程度の駐車が可能である。バス停から登山口まで2時間近くかかり結構長い。
峠道はほとんど南面のトラバース道で靴の片側が減りそうなくらいに長かった。炭焼き跡など見ながら緩やかに高度を上げ、登山道入口から1時間で一里観音。その後、12名の団体がコンビニ弁当を使っているところに出会った。高校生の集団に先生2名のように見えたがなんと東大生。ここは東大の演習林なのだった。
白泰山山頂分岐にはザックがひとつデポしてあった。我々も標高差100m登って山頂(1794.1m)へ。登りながら踏み跡が薄いと思ったら、分岐に戻る際にロストして少々時間を喰った。しっかりした道が別にあったのかもしれないが踏み跡が錯綜して分かりづらい。
1_一里観音     一里観音              白泰山山頂分岐

一里観音から2時間強かかって15時に二里観音&白泰山避難小屋。ここの「のぞき岩」は高度感がある。
3_のぞき岩のぞき岩

道なりに歩くと岩ドヤは南面を、赤沢山は北面を巻いた。赤沢山の西側に「鍾乳洞入口」の指導標があり、確かに足元には白い石灰岩が転がっているが、周囲を見渡しても洞窟は見当たらない。既に16時半、計画では十文字峠まで進む予定だったが、今夜は四里観音避難小屋に泊ることとする。三里観音を経て四里観音の小屋へ入ったのは18:40。白泰山分岐にザックを置いていた男性が先に入っていた。
小屋前に「水場2分」の札が出ているが、行ってみると沢への斜面が荒れておりかなり危ない。慎重に下りてみるが滴る程度の流れで、暗い中をその先の本流までは行けなかった。滴りを少し汲んで戻り、今夜の食事は手持ちの水で賄うことにする。尾西のご飯、ハンバーグ、卵焼き、わかめスープの食事をとり焼酎とウィスキーで疲れを癒した。

山と高原地図(昭文社)のコースタイムは栃本関所跡から四里観音避難小屋まで7時間50分。起点が異なるが我々は1時間余分に掛かっている。台風のためか根こそぎになっている倒木なども多く、ルート上にはこれが一般道?と思われるほど荒れている箇所もある。コースタイムも厳し目なので、トレースする方はスケジュールに余裕を見た方がよい。

■10/7(日) 爽快な晴れ、強風(やがて止む)
明るくなってから改めて朝食用の水汲み。昨夜より手前で道から下り、流量の多い滴り(暗い中では気づかなった)を選ぶ。ラーメンと魚肉ソーセージの朝食の後、小屋を出た。今日は長丁場、かつ、バリエーションルートにかかるので身が引き締まる。
間もなく、MTBを担いで下ってきた男性二人組に出会った。全然乗れないと言っていたが、彼らがバイクを担ぐのに使っていたベルトをアドベンチャーレースのイーストウインドに教えてあげたい。「マチマチ、担ぎ易いグッズが出てるよ!」
四里観音、栃本分岐を経て十文字峠へ。水場は小屋からカモシカ展望台の方へ下った沢で、明日までの行動と炊事分を持たなければならないので重い。
三国峠へと埼玉長野県境を辿って北上する道は十文字山(2072.1m)に上がった後、下り基調の稜線となる。台風の余波か長野側からの風が強いが、上天気なので心地よい。稜線はところどころ岩稜帯となり、立ち塞がる岩峰はまず弁慶岩、次に梓白岩が現れ、どちらも長野側を巻く。峠からここまで2時間強。地図のコースタイムは1:45で、やはり厳し目だ。シャクナゲのトンネルもあるが、さすがに一般道なので藪漕ぎにはならない。悪石の三角点(1850.0m)を通過、無線中継の巨大なアンテナ施設を横に見て三国峠にはちょうど昼に到着。オフロードバイクのライダーが一人いた。峠を挟んで長野側は里が近いのに対し埼玉側は秩父の山が深く、ここを越える林道の長野側は舗装、埼玉側はダート(砂利道)となっている。

三国峠のトイレ脇を入り、三国山(1834m)までは30分足らず。
ここからいよいよバリエーションルート。地形図を睨んで北側に伸びる尾根に少し入ると、木の幹に「←高天原 一本カラマツ→」の札が付いていた。高天原も一本カラマツも未知であるが、コンパスを合わせて「一本カラマツ」の示す北へ進む(注)。
4_三国山     三国山からの眺望         一本カラマツ分岐

赤テープは付いているが、次第にシャクナゲがうるさくなり、岩場以外は藪漕ぎとなる。シャクナゲは反発が強く体力を消耗する上に顔面をバシバシ打たれて心も折れる。Ⅱ級程度の岩場をいくつか越えて棒切ノ頭(1730m)へ。樹幹に打ち付けられた山名標を見て、それなりの距離を稼いだつもりが藪漕ぎに距離感が狂っていたことを覚り、ガックリとなる。
尾根が東に曲がっていった先の1620m地点で北に進路変更すべきところをそのまま東の尾根を下りそうになり、30分ほどもルートを探す。標石に加えて枝にテープの付いた箇所から左(北)に入るのが正解だったが、ここも藪がルートを隠していて判りにくい(だからテープを付けてある訳だが)。計画では滝谷山泊だったが既に15時、暗くなるとさらにルートロスの恐れも高まり、計画通りの前進は無理だ。行動終了目安を16時とし、この先で1500m等高線が閉じている付近にテントを張れるかと見当をつけて進む。
目標地点手前まで来ると、小ピークへの登りではなく岩壁の基部だった。15:40、これ以上進んでも適地があるか分からないので、岩の手前、やや狭いが平坦な稜線部分にテント設営。踏み跡の真上だが、この時間に通る人もいないだろう。物音に「人か?」と見ると鹿が走って行く。テントに入って落ち着き、雑炊で食事、焼酎とウイスキーで夜が更けてゆく。疲れを癒して、遅れは明日取り戻そう。

■10/8(月・祝) 霧、一時雨
予定より手前で水場もない場所に泊まったので、パンとコーヒーで節水朝食。
今日も長丁場なので薄暗いうちからスタートしたが、岩を巻いたところ(1500m等高線の閉じた内部)でいきなり迷い、20分ほどロス。何度もコンパスを確認した後、「こちらから来た」と思っていた方角に道を見つけた。大岩を巻いたことで方向感覚が狂ったのか。その先、1520mのやせ尾根では踏み跡を辿って行き詰まり、下に見えているルートへ懸垂下降。ガク沢ノ頭(1618.6m)で藪に隠れた三角点標石を確認する。
昨日と同じく岩とシャクナゲの藪漕ぎを繰り返し、出発から4時間、9:20に滝谷山(1659m)に到着してがっちり握手。ガスで眺望は無いが嬉しい。

しかし、下りのバリエーションルートは難しいという。実際その通りで、滝谷山から南天山まで基本的に尾根ルートの認識でいたところが大いに迷った。
まず、南東の尾根を下りたのは正しいのだが、踏み跡を辿って行き詰る。地形図から急な下りであることは分かっているが、南天山からの逆ルートを来た記録があるので、登り返せないほどの斜面であるはずはない。40分も右往左往した挙句、尾根を外すのは不可と敬遠していた右手(南)の谷状へ下りていく道を発見。それもすぐに踏み跡か水流跡か不明瞭になるのだが、コンパスを併用して何とか辿っていくと、谷状から尾根に戻り、方角も合ってきた。この辺り、滝谷山を巻いてしまう踏み跡も錯綜しているようだ。
ともかく方角は合っているので、時折見失いそうになる踏み跡を追っていく。途中、ついに降り出したので雨具を着け、樹林帯の倒木を潜りまた乗り越え、シャクナゲを突破し、ポキポキと折れる枯れ笹をかき分ける。延々とトラバースし、ようやく藪が切れて尾根に出たのは1562mピークの南だった。思ったほどには進んでいないし、またトラバースして東向きの尾根に乗らなければならない。
1562mの東からは尾根上を歩けるようになった。1538mの先、1470m辺りで北の尾根に引き込まれたのを修正。その後、東に直進してやせ尾根の先でまた行き詰る。方角は合っており下りられないこともないが、道と見えていたものが途切れて人の痕跡がない。ここもまた標石とテープのあった箇所まで戻ると、やせ尾根を避けてトラバースするルートが見つかった。
そこから俄然歩きやすくなり、立入禁止テープの張られた南天山沢コースの突端、1374mの西に出たのは13:40。テープは、南天山からこちら側への安易な立入を戒めるものだ。ここから山頂を踏んでいては中津川からの終バスに間に合わないため南天山は割愛。雨は止んだので雨具を脱ぎ、九十九折れとへつりの下降路を林道まで駆け下りる。しかしこの沢ルート、ナメや滝が美しいが足を滑らせたらそのまま滝へ落ち込みそうな箇所もあり、一般道としては危険な印象。

今回は登山道のない三国山~帳付山の前半を歩いた。次回は南天山を踏んでから後半を狙うことにしよう。

注:帰宅後に確認したところ、「高天原」は西の尾根の1978.8m三角点の山。「一本カラマツ」は1985年8月の日航機墜落事故の際、機が接触した稜線上の木のことらしい。この指導標自体が登山用ではなく、事故の関連現場への案内用の可能性もある。ただ、一本カラマツの位置は「三国山の北北西1.4km、標高1530m地点」との記載もあり、そうするとこの指導標の示す尾根(おおよそ北北東へ向かう)上とは思えず、よく判らない。いずれにせよ、事故関連と知っていたら手の一つも合わせておくのだった。

<行程>
10/6 川又バス停9:50~白泰山登山口11:50~一里観音12:50~白泰山14:20~白泰山避難小屋・二里観音15:00~三里観音16:50~四里観音避難小屋18:40
10/7 四里観音避難小屋6:40~十文字峠7:40-8:10~十文字山8:30~梓白岩10:10~三国峠12:00~三国山12:30-12:45~棒切ノ頭(1730m)14:10~大岩前(1530m)幕営地15:40
10/8 大岩前5:10~ガク沢ノ頭(1618.6m)6:40-6:55~滝谷山9:20-9:30~1532mピーク南11:10-11:20~南天山沢コース突端13:40~鎌倉橋14:40~中津川バス停15:20