八ヶ岳(集中合宿)・ツルネ東稜

仕事が休めず本科生隊から一日遅れで参加した八ヶ岳集中合宿について報告する。急な申し出にも関わらずパーティーを組んで雪山行動の指導をしてくださったリーダー矢田さんに心から感謝の意を表します。

■ルート
南八ヶ岳・地獄谷からツルネ東稜を辿る(美し森~出合小屋~ツルネ)

■コースタイム:
【1/12】美し森駐車場(180分)→出合小屋幕営地
【1/13】出合小屋幕営地(20分)→ツルネ東稜取付(60分)→2250m地点(60分→)出合小屋幕営地(120分)→美し森駐車場

■ルート状況
①途中まで林道が整備され、要所には案内板や赤リボンがあるので道は明瞭である。
②林道から地獄谷方面へ下るポイントは、これでもかというくらい多数の赤リボンの目印あり。
③地獄谷は積雪量少なく川を渡渉する場面が数度あり、落ちて濡れないことが大事。
④4つの堰堤を越えるときに、滑りやすいはしごや斜面があり慎重に歩く。
⑤先行者のトレースが多く残っていたが、時に動物の踏み跡に誘導されてしまった。
⑥出合小屋まではツボ足でアプローチ可能であった。
⑦幕営地の雪質がさらさらで整地がしづらかった。
⑧幕営地からツルネはアイゼン装着でアプローチしたが、岩がむき出しの箇所もあった。
⑨ツルネ東稜取付にも案内看板あり。登山客が増えて一般道に近い整備がされている。
⑩ツルネ東稜も雪は少なく歩きやすいが、やせ尾根なので滑落しないよう十分な注意が必要。

■山行詳細と感想
初日は八王子からあずさ5号に乗り小諸駅で小海線に乗り換え10:33に清里駅に到着。駅前のタクシーで美し森駐車場に移動し、装備を整えて11:00に登山開始。
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矢田さんから地獄谷へのルートファインディングを指示される。林道は鮮明で分岐ポイント毎に赤いリボンもしっかりと結び付けられ迷うことはないはずなのに読図経験の浅い私は拡大地図の距離感を間違えて現在地を把握していたり、足元に集中しすぎて雪面に残る動物の足跡に誘導されたりと失敗が続き矢田さんに渋い顔をされてしまった。もっと広い視野で地形把握や方角を見定めるようアドバイスを受ける。人工物の堰堤の位置や数のチェックも漏れていた。今回の出合小屋までの道は俳優の永山瑛太が歩いてから人気となり目印も増え一般道の如く整備されていたが、通常のバリエーションルートでは道迷いの危険性がもっと高いので出発前の読図とルート予測に十分な時間をかけるべきだと実感した。

幕営予定地の出合小屋周辺1860mまでは急登も岩稜もない平坦な道を3時間歩き14時に到着する。リーダーからはツボ足歩行時にザックが左右に振れ不安定であったこと、ピッケルの使い方が心許ないことを指摘された。これらの問題を改善し、翌日の復路は標準タイムの2時間で登山口まで戻ることができたのが嬉しかった。
幕営地で本科生隊のテントを見つけすぐ横で整地を行うがさらさらと固まらない雪に苦労する。テント設営方法や、雪用竹ペグの埋め方、アイゼン・ワカン・ガチャ類は、テント近くにピッケルや木の枝を利用し雪に埋まらないよう置くなど基本的な知識を習う。
16時頃アイスクライミング隊が、17時半過ぎに鈴木(百)(川俣尾根)隊が幕営地へ戻ってくる。両隊共に雪質や雪量の物足りなさを訴えながらも雪と向き合ってきた満足感に溢れていた。明日は自分も、雪と思う存分戯れることを期待して心が躍る。テントの中でもリーダーからの指導は続く。互いに対角線に座り荷物を背もたれに使うと限られたスペースを広く使える、テント内を濡らすのは厳禁で水を細心の注意で取り扱う、山の携行品についても点検いただき、生活用品は兼用でグッズ数を減らす、箸や歯ブラシはカットして短小化する、100円ショップ製品も活用していかにコンパクトに軽い荷造りをするかのコツを学ぶ。
本科生として基本ステップ、応用ステップ訓練では課題をいかに正確に安全にクリアするかが重要であり食事の充実やテント内での快適性は自分の体力や行動時間に余裕ができてから追求するもの。先ずは計画遂行に集中するようにとの矢田さんのアドバイスを真摯に受けとめて、2020年は装備の軽量化、体力強化を目標に継続実施することを心に誓う。

2日目は早朝3時に起床し朝食にカップラーメンを食べて4:30の出発に備えたが、生憎の降雪で出発時間を遅らせ仮眠しながらの待機となる。途中矢田さんの携帯が電波キャッチして天候が8時から回復することを確認できたので7:20に鈴木隊と共に幕営地を出発。上の権現沢への分岐で別れ、我々はツルネ東陵取付点に7:40に到着し尾根を登り始める。9:00に2250m地点まで到達したが、ガスが晴れず眺望も期待できないことからツルネの頭2550mまで300mを残して撤退。
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10:00出合小屋幕営地に戻り、テントを撤収し10:50に下山開始、美し森駐車場に12:50に到着。先に下山した鈴木隊と甲斐大泉パノラマの湯で合流する。富士山が真正面に広がる露天風呂でさっぱりとして、雲の切れた八ヶ岳の山並みに後ろ髪を引かれながら帰路に就いた。

歩行時間は1日目が3時間、2日目が4時間40分と少なめであったが矢田さんから多くのアドバイスをいただき学びの多い山行となった。自身の弱点を冷静に直視し、山知識と技術、体力や高度順応の限界を把握して無知、無駄、ムラ、不慣れ、不注意から自分とパーティーの仲間を危険にさらさないことが重要であると再確認できました。

■食事メニュー
【夕食★黒豆のクリームチーズあえ★キムチ野菜スープ★チャーシュー入りガーリックライス】
【朝食★カップラーメン】

■覚書
たわしは雪落とし用、高地ではライターは火打石式、鍋用板は耐熱シートと別物(コンロの安定に利用)、おたまと漏斗は小さくたためる製品あり、テントの張り方:方対角線のポールを持ちながらテント幕を引っ張る、テントポールはショックコードをのばさないように真ん中からたたむ、火気の取り扱い、テント内では慎重に動きがさつな行動は厳禁、ザックは防寒にもなる、テント内は濡らさないよう注意する、アイゼン装着時はレールを歩くよう平行に足を出せば踵をひっかけない、急斜面ではピックを斜面に突き刺して体を保持しながら登る、ピッケルバンドはザックを担ぐ前に括り付ける。

アイスクライミングトレーニング/南八ヶ岳 美濃戸口河原奥


 今回、私たちは南八ヶ岳の美濃戸口河原奥にICTに行ってきました。

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【感想】 ■宇田川  前回基本ステップでは途中帰宅のため登る事が出来ずリベンジトレーニング。慣れない氷に悪戦苦闘になりましたが楽しかったです。雪山の楽しみがまた1つ増えました。 ■木村  氷はあまりありませんでしたが、氷柱は楽しく登れました。 ■小林  かなり間があいた人生2回目のアイス、非常に勉強になり、楽しかったです。特にバランスを保つスタンスが勉強になりました。アイスの経験は今後の雪山の技術に役立ちます、また行きたいです。

上ノ権現沢/南八ヶ岳・地獄谷

 今回、私たちは上ノ権現沢に行って来ました。アイスクライミングが目的でしたが、氷が無かった為、楽しくラッセルして来ました。

■1/11
 美し森駐車場に集合します。出発前に百合子さんパーティーと一緒にアバランチトランシーバーの確認をします。

01 ゲート前
ゲート前で地形図を確認します。出合小屋へ向かう川俣川東沢沿いの堰堤付近の林道が、一部無くなっています。台風19号の影響でしょうか。 02 出合小屋
出合小屋の様子です。荷物を置いて上ノ権現沢に下見に行きます。 04 F1
F1の様子です。数メートルほど雪で埋まっています。 ■1/12  早朝、出合小屋を出発します。昨日付けたトレースを辿って上ノ権現沢に入って行きます。 07 旭岳
旭岳が見えます。 09 チョックストーン滝
標高2070m付近のチョックストーン滝を登ります。ここが今回の核心部です。 14 大滝直後の氷瀑
50m大滝の後の氷瀑です。標高は2355m付近です。この後の二俣を左俣に進みます。ここは右俣の方が川幅が広い為、右俣に進まないように気を付けます。稜線間近で適当な支尾根に乗って、稜線に出ます。 16 ツルネ南峰
稜線からツルネ南峰を望みます。 17 ツルネ南峰記念撮影
18 ツルネ南峰記念撮影
ツルネ南峰山頂で記念撮影です。ここからツルネ東稜を下ります。 ■1/13  出合小屋をゆっくり出発し、美し森駐車場に無事到着します。 【時間の経過】 1/11 美し森駐車場(11:20)~出合小屋(14:25) 1/12 出合小屋(5:30)~上ノ権現沢~旭岳とツルネの間の鞍部~ツルネ南峰(13:40)~ツルネ東稜~出合小屋(15:50) 1/13 出合小屋~美し森駐車場 【感想】 ■木村  上ノ権現沢を夢幻沢出合までラッセルしましたが、後続の2人パーティーが我々を追い越して行った為、その後は楽に稜線まで行けました。  暖冬の為なのか、滝に氷がほとんど無いうえに、傾斜が緩い氷瀑は薄い積雪に埋まっていました。氷瀑の氷が露出していた場所は、F1と50m大滝直後の小滝のみでした。50m大滝は雪に埋まっていて、それと気が付かずに半分くらいまで登ってしまった為、ロープを使わずに登り切ってしまいました。結局、ロープもアイススクリューも出番がありませんでした。アイスクライミングとしては消化不良ですが、ラッセルがあり、ルートファインディングの難しさがありで、バリエーションルートの楽しさを味わえました。12月頃にまた訪れたいと思います。 ■齋藤  とにかく体力の無さを痛感させられた山行でした。木村さんに最後までラッセルしてもらい全然交代出来ず、交代どころか付いて行くのもやっとで時々遅れてしまい、木村さんの励ましを受けながらなんとか稜線迄行く事が出来ました。体力(スピード)を付ける為の何かトレーニングをしないと駄目かなぁと思っております。また、稜線に出てから手が急激に冷えてしまい、東陵に入ってから、手袋を交換しました。今回は稜線を歩く距離が短かったからよかったですが、今後は稜線に出る前に対処しなければならないと痛感致しました。いろいろ反省点は尽きない山行でしたが、無事出合小屋に戻って来れた時の達成感は最高でした。木村さん!ありがとうございました!

八ヶ岳・赤岳東稜

緊急ビバークという厳しい状況に陥り、いろいろ考えさせられる山行となった。バリエーションルート、特に雪山では雪の深さや雪質、視界や風雪などが進行速度に大きな影響を与える。それを踏まえて、暗くなる前にテントが張れる場所までたどり着けないとヤバイ。今回、予報では行動時間の長い2日目が悪天候で、まさに要注意ケースに当たる。知識としては分かっていたのだが、ビバークで一夜を過ごすこととなった。危機を乗り越えられたのは訓練の賜物であるが、ビバーク以前にどこに問題があったか、他に対処方法がなかったかなど検証課題としたい。

■1/11(土) 晴れ
9:00 JR小淵沢駅集合。タクシー待ちの登山客、外国人観光客が並ぶなか、予約していたワゴンタクシーに乗り込む。サンメロウズスキー場まで30分、7,500円。スキー場のロッカー前で装備を整え、リフトで1,900m山頂付近まで1,400円。
鹿柵を迂回して、10:30から登り始めた。今日は2,300m付近までの予定なので400mの登りだ。天候は予報通りで晴れ。先行者の踏み跡があり、また雪もほどほどに着いていて容易に進める。しかし、2泊分のフル装備が肩にくい込み、最初は牛歩を心がけゆっくり進む。樹林の切れ目で富士山が美しい。12:15 牛首山。13:30に扇山先のコルから50mほど登った付近でテントを張った。先行者2名によるとトレースはさらに先にいるパーティのもので、自分達は2,500m付近まで行くとのこと。時間も早く、こちらも少しでも高度を上げておきたいが、2,500m付近は2テン程度のスペースしか取れないらしいので、予定通り2,350mで停滞する。
テントに入るとなぜか功さんのザックからビールが出てきて一瞬でハッピーに。今はまだ人生を語らないはずなのに語りまくってただ漏れ状態になり、18:30には就寝。気温が高く、まったく寒くなかったので3:00までたっぷり休めた。

■1/12(日) 晴れのち曇り
3:00起床、5:00出発。何も言わなくてもお湯沸かし、朝食作り、鍋釜食器片付け、テント撤収、パッキングと遅滞なく進む。チームワーク抜群で心地よい。天候は予報に反して穏やかだ。
ヘッデンでトラバース地点を目指す。2,500mにテントが2張り。まだどちらも起きていないのでここからはラッセルが深い。お隣の天狗尾根のカニのツメの上に満月が出て稜線のシルエットが幻想的だ。
6:30にトラバースの目安となる2,550mに至り、空身で偵察ラッセルに。大門沢を渡る丁度いい高度であるかを見極めたい。今年は雪が少ない分、沢が深く切れ落ちていた。第一岩峰へのアプローチとしては岩壁を回り込む高度でトラバースするのが効率的だが、なかなかいい地形がない。7:40に第一岩峰に続く尾根からかなり高めの2,580m付近をトラバースして100mくらい下降し、8:20 第一岩峰に続く尾根に取り付いた。
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  大門沢へのトラバース
雪質はさらさらで結束力がなく、ラッセルしずらいが尾根筋なので雪崩のリスクは少ない。雪と凍った草付きのミックスで、アックスの利きが悪い。途中の灌木帯で一休みし、9:30に第一岩峰に到着。
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  第一岩峰
左から巻くか直登かで相談の結果、左はラッセルが深く時間がかかりそうなので直登を選択した。中央のルンゼから左に進路をとり、1ピッチで雪稜に出たのは11:40。最後の一箇所が厳しくしびれた。快適に雪稜を進み、第二岩峰に12:30に到着した。
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  第一岩峰の上の雪稜/第二岩峰
第二岩峰から2時間程度で山頂に立っている見込みだったが、その後の進行が思わしくなく、16:00になっても登高中。山頂直下の筈だが風が出てきて先行きが見えないので、ビバークを決定した。適当な場所を探して雪をL字カットして何とか3名が座れるスペースを作ったが、ポールを立てる余裕はなく、上の木からテントを吊り下げる。薄暗くなった17時頃テントに逃げ込み、寝袋に入って足にはレスキューシート、頭からすっぽりフライシートを被って体育館座りのポーズ。田中は一晩まんじりともできなかったが、他二人はいびきをかいて爆睡していた。ツワモノ\(◎o◎)/

■1/13(月) 雪
6:00にパンとコーヒーで朝食をとり、8:00に出発。
8:10に赤岳ピーク手前の鎖付き一般道に出た。本当に直下だった。赤岳分岐を文三郎尾根に折れて一路行者小屋へ。文三郎尾根は強風で氷雪が顔に当たり痛すぎる。行者小屋から八ヶ岳山荘へと下山した。
八ヶ岳山荘では無名山塾本科の仲間であり、ガイド業に携わる小林正樹さんに遭遇。硫黄岳にお客様と来ていたらしい。山賊焼き定食を食べ、13:20のバスで茅野に向かった。

<行程>
1/11 真行寺尾根1906m手前(リフト終点)10:30~牛首山12:15~2350mテント場13:30
1/12 テント場3:00~2550m6:30~東稜取付き8:20~第一岩峰9:30~第二岩峰12:30~東稜山頂下ビバーク17:00
1/13 東稜山頂下8:00~一般縦走路8:10~行者小屋9:30~八ヶ岳山荘12:20

焼岳(南峰)

■1/2(木)
松本駅に集合し、急行バスで中の湯へ。バス停から九十九折れの道を上がった中の湯温泉旅館の裏手に焼岳登山道入口へと上がる道がある。12:50、身支度をして出発。小雪、気温1℃。
安房峠へ向かう道路のヘアピンの頭をショートカットして行くと登山道入口で、「焼岳登山道冬期間通行止め」および焼岳が火山であることへの注意喚起の掲示がある。前者は上高地~焼岳小屋のことなので今回の山行には無関係、後者は計画に織り込み済みだ。焼岳は噴火警戒レベル1「活火山であることに留意」であり、また長野・岐阜県の条例により登山計画書の届出が必要(無届または虚偽届出には罰則あり)となっている。我々は事前に「ながの電子申請サービス」を利用し、また岐阜県警へもメールにより届出をした。

登山道に入るとトレースがしっかりと付いており歩きやすい。道路を離れて尾根末端に取り付くと1800mまで等高線が密だが、雪のおかげで地形図から受ける印象よりも楽だ。道を外さない限り靴が潜るほどのこともなく、ワカンもアイゼンも使わずに高度を上げていく。この間にすれ違ったのは2パーティ・4人で、登山者は予想ほど多くないようだ。傾斜が緩んでから少し進み、1840m付近の登山道横に適地を見出してテントを張った。
夜中に樹林の上の方で風が鳴っていたが、テントは静かだった。
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■1/3(金)
3時起床、テントに不要物をデポして出発準備を整えたが、霰(あられ)気味の降雪とやや風もあるため30分ほど待機。5時、アイゼンを装着して行動開始。天候は変わらず、気温-7℃。
地形図上はそれほどでもないのだが昨日よりも急に思える登りで1972m小ピークを越える。標高2000m前後の平坦地は昭文社山と高原地図に「山頂部を仰ぐ広場」とあるが、この天候で眺望は得られず。広場の一角に設営されていたツェルト一張とイグルーはビバーク訓練だろうか。
噴火警戒レベルに応じて、ここからヘルメットを着用し進む。広場を出る辺りからトレースが薄くなってきた。雪が窪んでいるように見えるところを拾っていくが、外すと腿まで潜り、踏まれていないことが判る。登りにかかり、2070m付近で下堀沢を見下ろして現在位置を確認、夏道を離れて焼岳南峰へ向かう尾根に進路を取る。やがてトレースは完全に消えて雪はますます深く、ワカンに履き替えた。それでも笹の上に積もった雪は踏んでも崩れるばかりで前進を阻む。2318mピークの右(東)に当たる地点で休憩を取ったが、ガスで地形はよく見えず、風が強まり、気温はテント場より下がって-10℃。
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さらに進むと、雪が深いかと思うと風で飛ばされた箇所もある。視界不良の中、ふと気付くと進路右側が切れ落ちていたりもする。やがて、地熱で雪が解けるのか顔を出した岩の周囲に足が落ち込むようになった。高度2400mを超えると雪の着いた岩稜となり、斜面の中で多少なりとも平坦なスペースにて再びアイゼンを装着。
最後の急斜面を登りきると平坦になった。硫化水素のにおいがする。ほとんどホワイトアウト状態だが、前方が左右に広く落ちているようだ。ガスの中から左手に高みが見えたように思い、踏み外さないよう慎重にそちらに進むと、ごくわずかに登る感覚があってまた下がっていく。三角点標はもちろん山頂を示す何物も見えないが、ここが焼岳南峰(2455.5m)だろう。
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風とガスで長居するような状況ではなく、計画に入れていた北峰は割愛して早々に下山開始。
下山は自分たちのトレースを忠実に辿るつもりだったのだが、斜面にかかると間もなく見失ってしまった。降雪は少ないのだが、軽い積雪が風に飛ばされて短時間でトレースを消してしまったらしい。ガスの中でコンパスを合わせ、ともすると右(西)に引っ張られそうになるのを修正しながら下りていく。方角さえ誤らなければいずれ夏道に合流するはずだが、周囲の地形がまったく見えず風に吹かれていると少々心細い。と、前方から「おーい」の声。相手の姿は見えないが、向こうからこちらは見えたのか。声を交わしつつ進むと、休憩中の3人パーティが現れた。今朝入山して広場から尾根を登ってきたとのことで、山頂方向の状況を伝えて別れた。
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その先もトレースは消えてしまっていたが、方角を定めて下りる。風が止むと精神的にずいぶん楽だ。間もなくガスの向こうから樹林帯の影が浮かび出てトレースも戻ってきた。
広場にあったツェルトはなくなっていた。自分たちもテントを撤収し、中の湯旅館に帰着。日帰り入浴(800円)で暖まった。

<行程>
1/2:中の湯旅館12:50~焼岳登山道入口13:05~1840m付近テント場14:00
1/3:テント場5:00~広場6:15~焼岳南峰10:15~広場12:15~テント場12:45-13:25~中の湯旅館14:00

常念岳~蝶ヶ岳

残雪期の北アルプスを常念岳から蝶ヶ岳にかけてテント泊で縦走した。

■5/2(木)
松本駅付近に各々前泊した男4人が大糸線で穂高駅に移動して女性2人と合流(6時半)。予約していた大型タクシーで今回の登山口となるヒエ平へ(料金9,500円程度)。
ヒエ平(1320m)では何人もが身支度していた。我々も装備を整え、7:40、いざ出発。雪は多少あるが凍結はなく、アイゼンは装着しない。一ノ沢に沿い残雪を踏みながら林間を緩やかに登る。出発時に薄く掛かっていたガスはやがて取れ、雪も思いの外しっかりしていて歩きやすく、心地よい。9時過ぎに大滝(1610m。山と高原地図には「王滝ベンチ」とある)を通過。雲が散って陽が射してきた。10時半、笠原(1890m付近)から常念岳を見晴るかす。晴天で素晴らしい天気である。そのせいで午後になり雪が緩んできた。
大滝付近大滝付近
笠原付近から
笠原付近から

やがて胸突八丁の急登になる。「胸突八丁」とは富士登山で頂上まで残り八丁(約872メートル)の険しい道のことらしい。
ひとしきり登って2150m付近で一ノ沢から離れると、常念乗越までほぼ300mの登り。最初は両側を崖に挟まれた谷だが、やがて左右が開けて風が強まってきた。先ほどの胸突八丁に劣らぬ急斜面で、ゆっくり黙々と足を前に出す。胸突八丁は「胸が突かれたように苦しい」ことからだそうだが、地面に胸が着きそうな急斜面の感もあり、いずれにしても言葉の意味を実感する。一ノ沢を離れてから1時間半をかけて常念乗越まで登り切った。乗越からは大天井~槍ケ岳~北穂高岳~奥穂高岳の大パノラマが一望でき、雪山の素晴らしさを実感。疲れを忘れ感動がこみ上げてくる。
常念乗越へ常念乗越へ
常念乗越より常念乗越より

乗越はほぼ地面が出ているが、小屋の入口は雪を掘ったトンネルの下。テント場にも一部雪がある。受付を済ませて4人用と2人用の2張のテントを設営。小屋前のベンチであらためて眺望を楽しんだ後、テントに戻って明るいうちから夕食を始める。翌日に備え、21時には消灯。夜中ずっと強風にテントが煽られ、雪山(残雪期)テント泊の寒さを実感した。

■5/3(金)
3時に起床。食事を済ませ、強風の中テントを一つずつ撤収。天候は曇り、変わらぬ強風を衝いて5時半前に出発。雪はほとんどなく凍結もわずかなためアイゼンは装着しない。山頂までわずかな距離であるが強風のため予想外に時間を費やし、常念岳(2857m)に7:40登頂。
常念岳から南を望む常念岳から南を望む(中央が蝶ヶ岳)

山頂からの下りでは念のためアイゼンを装着したが、傾斜が緩んだところで外した。
9時頃になると風も止み、昨日ほどではないものの晴天になった。右手に大天井から穂高の大パノラマを眺めながら、緩やかなアップダウンを繰り返す稜線上を黙々と歩く。13:40 雪のない蝶槍を通過。2664.5三角点の傍にはテントが張ってあった。
本来は本日中に徳沢まで下りる計画だったが、進行が遅れたためサブプランの蝶ヶ岳ヒュッテ泊りとする。エスケープルートの横尾への道を分け(2625m)、蝶ヶ岳手前で道の傍らのハイマツの中から雷鳥の鳴き声を聞く。近いのだが姿は見えなかった。風景指示盤を過ぎて、14:40に蝶ヶ岳ヒュッテに到着。広いテント場には既に20~30張のテントが張られている。我々もハイマツの生え際の雪を整地して設営、夕食を摂って21時に就寝。

■5/4(土)
3時に起床し空を見上げると満天の星空。風も無く寒さもあまり感じず熟睡できた。朝食を済ませ、テントを片付ける。風がないと撤収も楽である。
5:20に出発。多少の残雪があり凍結しているため、出発時からアイゼンを装着。
徳沢に向けて長塀(ながかべ)尾根をひたすら下る。名前の通り、長く緩やかな尾根である。長塀山(2565.1m)も下りの中の小ピークというところだ。蝶ヶ岳ヒュッテは賑わっていたが、このルートを下るパーティは少ない印象を受ける。徳沢まで残り1時間位の地点からところどころ雪が切れるようになってアイゼンを外したが、凍結している場所では滑ってしまい苦労した。また、急斜面をひっきりなしに登山者が登ってくるため、細い道で避けて待つ時間が多い。
9時、徳沢に着くと雪がなく下界に戻ったことを実感。シーズン最後の雪山を素晴らしい天候で終えられたことを幸せに思う。
装備の片付けと休憩で1時間程過ごした後、上高地までの平坦な道を歩く。すれ違う人の大半は梓川沿いを散策する観光客、さらに大勢で賑わう河童橋の上に場違いなザック姿で割り込んで「海外もいいけど、日本の山はいいねェ!」とギャグを飛ばす齋藤。と、ここで矢田が「明神に財布を忘れた」。一人走り戻ったところ、親切な方が明神館に届けてくれていたとのこと。
バスターミナルで矢田を待ち、バスと電車を乗り継いで松本にて解散した。
(文中敬称略)

【行程】
5/2 ヒエ平7:40~大滝9:10~常念小屋13:20(テント泊)
5/3 常念小屋5:20~常念岳7:40-7:50~蝶槍13:40~蝶ヶ岳ヒュッテ14:40(テント泊)
5/4 蝶ヶ岳ヒュッテ5:20~長塀山6:10~徳沢9:00-10:00~明神11:00~上高地12:00

日光白根山~皇海山

長く、また、充実した3日間であった。
11/3文化の日は晴れの特異日なので3連休は縦走日和となる。今回は日光白根山(正確には前白根山)から皇海山、鋸山、庚申山のロングコースを縦走した。暑くもなく、風が強い時は若干寒かったがいい塩梅であった。ほぼ体力勝負のルートだが最後に鋸山で冷や汗をかき、銀山平の温泉で疲れを癒した。

■11/2(土)晴れ
東武日光駅に8:30集合、JR日光駅から乗車した湯元温泉行バス(1,740円)は出発から満席となる。湯元温泉(標高1,500m)で身支度し、10:40に歩き始めた。本日の目標は錫の水場である。
五色沢沿いのスキーリフトが途切れたあたりから白根沢に入り、急登を南に向けて登る。今日は暖かいが、足元の日陰には霜柱が成長している。外山のピーク(2,204)を左に見て稜線に出ると、前白根山(2,373m)までは整備された一般道を西へ。この高さでは紅葉はすでに終わっており、落ち葉で見通しの良い山道が壮快だ。風景を楽しみながら13:20に到着した。五色沼が美しい。
前白根山から五色沼避難小屋方面に進み、登山道が小屋に向けて稜線を離れる箇所で通行止めするように置かれている木を乗り越えて直進。ここからバリエーションルートであるが道はしっかりしていて迷うことはない。白根隠山(2,410m)を経由して白桧岳(2,394m)で白錫尾根に乗ると、ここから栃木-群馬の県境を辿ることになる。白桧岳前後で笹が出てきて、膝下くらいの高さになる。2,296mピークとの間などは特に深いが、探せば笹を払って踏み跡があるので苦労はしなかった。シャクナゲもあるが笹が優勢だ。ところどころ木の幹に赤や、赤と黄の目印板が打ちつけてある。左手には中禅寺湖と男体山がきれいだ。適度にアップダウンもあって飽きさせない。
10_白桧岳手前白桧岳手前

2296付近から樹林となり、16時過ぎ、錫の水場に到着。2,170mコルの手前で、馴染みになった赤プレートに加え、水色のブリキ板に「水」の文字が大書してあった。スペースは我々のテント2張で満杯。水場は踏み跡を辿って数分下りたところで、細い流れに刺したパイプから汲める。パイプは2本あり、下の方が水量が多かった。水取り担当と調理担当に分かれて素早く行動し、17時には酒宴が始まっていた。夕餉はおでんと締めのうどんで大満足。20時就寝。

■11/3(日・祝)
3時起床。お茶漬けとサバとサンマの味噌煮を食し、4:40出発。晴れ、気温1℃。本日の目標は国境平。
錫の水場から錫ヶ岳(2,388.2m)までは200mの登りだ。真っ暗の中、コンパスを頼りに笹藪に分け入る。空が開けたところで見上げると行く手にオリオン、背後に北斗七星とカシオペア。朝露で濡れることを予想して各自雨具やスパッツを着けたが、足元は思いの外乾いている。3つほど小ピークを越え、6時前に錫ヶ岳に登頂。山頂で中禅寺湖の上に昇る太陽を拝んだ。と、ここで小林功が「iPhoneを落とした」。先ほど写真撮影に使った地点まで2名で戻って探したが発見できず。
山頂から先は道が薄いが木の高い位置にプレートが頻繁に打ってあり、いい目印になった。よく見るとビール缶を延ばしたり缶底を利用したものが混じっている。おそらく、赤や赤黄の正方形は栃木県が、それ以外のビール缶利用や、点描風に文字や地図を打ち出した指導標は地元有志が付けたものだろう。
ルートは尾根道と鞍部の笹藪の繰り返しを基本に南下していく。2241を下りた細い尾根で東寄りに向きを変え、2077の手前は這い進むようなヤブ。ヤブを潜ってピークに出ると裏側が回れそうに見える(何故か傘や針金のハンガー、用途不明の器具が置いてある)のだが、再びヤブに突入するのが正解できちんと道も付いていた。南下して2,030m小ピークで方向を変えつつ高度を下げ、東に向かって1,991mピークを越えるとネギト沢のコル。ここには「水」のプレートがあったが、実際の水場は確認していない。木の根元に祠があり、賽銭が上がっていた。休憩の後、150mの急登を経て11時に宿堂坊山(1,968.2m)に到着。ここには現役の三角点標の他に「御料局三角點」の標石が残っている。それにしても、今日のルートのまだ半分くらいだ。
宿堂坊山から緩やかな尾根道を下ってヤジソ平(「水 7分」のプレートあり、水場は未確認)、90m登って1,789m、そこを下りてまた200m登って三俣山(1,980.4m)。長大なルートのアップダウンにいい加減うんざりしてきたところで、次の1,847mピークからコルに下りる箇所が意外な岩稜の急斜面。懸垂下降した方が安全かとも思われたが、慎重にクライムダウンすると樹林に逃げることができ、適度な緊張で気分転換になった。コルから上がった1840m小ピークには「大ナラキの頭」のプレートあり。
20_岩を伝って左の樹林へ岩を伝って左の樹林へ

1,828mピークから先の東側はカマの淵と呼ばれる切り立った崖地形で、その向こうにようやく近づいてきた皇海山という景観が広がる。
30_カマの淵

断崖の上についた登山道を気持ちよく進むと、1,736mピークに「10分 カモシカ平、35分 国境平、3H 皇海山」のプレートを見出した。もう1ピーク越えなければならない国境平まで35分とはやや信じ難いが、この案内に息を吹き返して先を急ぐ。
15分ほどかかって15:50にカモシカ平。砂礫に水流の跡があるが、近くに水場は見えなかった。日向山(1,695m)を越え、国境平には16:25に到着。1736ピークのプレートにあった「35分」はカモシカ平からの意味だろうか。
テント設営した傍らに見事な鹿の頭骨があった。水場は50mほども下った沢で、ここまで水切れを心配した反動から大小のプラティパス7個を満たしてテント場に登り返したのが今日の核心。夕餉はスパム入りクリームシチュー。体が温まってとっても美味しかったです。意識を失い就寝。
40_国境平テント

■11/4(月・休)
3時起床。お茶漬けと焼鮭を食し、昨日とほぼ同時刻に出発。晴れ、やや風、気温2℃。
この辺は笹原で踏み跡が途切れてルートが判りにくい。広い尾根に目印のプレートを探りながら皇海山の懐に分け入ると450mの急登だ。谷間の雲海が日の出とともにまさに雲散霧消していく。喘ぎながら最後のシャクナゲの藪をこいで、6:50に皇海山(2,143.6m)登頂。
山頂標には山名と標高を記すのみだが、傍らの木に付けられたプレートが「栃木百名山」だったり、お馴染みの赤黄の正方形があったりと、「栃木の山」の主張が感じられる。木に遮られて山頂からの眺望はないが、来年の秋は赤城山から袈裟丸山(この皇海山の南)まで縦走しようという話も出た。
下山路には最後の難関の鋸山が待っている。不動沢のコルまで300m近く下降して見上げる鋸山の稜線はまさしく鋸歯状だ。
50_鋸岳

樹林から入りロープの付いた岩山をよじ登って8:20に鋸山(1,998m)に到着した。皇海山越しに今回辿ってきた尾根が見通せる。皇海山頂からここまで40分下降の40分登り返しとは結構しんどいが、山と高原地図で実線の一般道。ここから庚申山までは危険マークもある破線ルートとなる。最近の台風や大雨でルート上のハシゴ類が緩んでいないか心配だったのだが、登りの途中ですれ違った父子と思しき二人連れから問題ないと聞いて安心した。
ハシゴを上り下りし、細い尾根を急降下し、ルートを誤って細い岩稜を渡ってしまったりもし、スラブを50mほど下降し、またまた岩山をよじ登ったりして、9:40に薬師岳(1,910m)。小林英と田中は各個にこのルートで皇海山へ登ったことがあるのだが、これほどシビアだったろうか。
60_鋸岳のアップダウン

その後は特に困難もなく、渓雲岳(駒掛山手前の1,800m小ピーク。古いエアリアマップには山名が記載されている)から駒掛山(1,808m)を踏み、笹の深いコル(小林英は以前の登りの際にここで行き悩んだ覚えがあるが、今回は容易に踏み跡を辿れた)を渡って、御岳山(尾根上1,840m付近、エアリアに記載あり)を経て庚申山(1,892m)に到着。山頂手前の展望台で、鋸山から皇海山、その背後の今回縦走ルートを再び眺め渡した。
70_縦走ルート_180_縦走ルート_2

庚申山からは一般ルートなのだが、岩峰の基部など一部に下りではルートの見えづらい箇所があった。
庚申山荘で休憩をとり、さらに1時間弱の下りで一の鳥居を潜って登山終了。またまた長い林道歩きの末、銀山平の国民宿舎かじか荘の温泉で疲れを癒し、缶ビールで縦走完遂の祝杯を挙げた(ただ、食堂が既に閉まっていたのは残念)。

<行程>
11/2:湯元温泉10:40~前白根山13:20-13:30~白根隠山14:20~白桧岳14:50~錫の水場16:20
11/3:錫の水場4:40~錫ヶ岳5:55-6:30~宿堂坊山11:00~三俣山13:15-13:30~日向山16:05~国境平16:25
11/4:国境平4:40~皇海山6:50-7:05~鋸山8:25~庚申山11:25~庚申山荘12:40-12:50~一の鳥居13:40~銀山平14:35

剱岳・源次郎尾根


4月に入会しました39期の山下です。今回初めて、山行記録を書かせて頂きますが、どうぞ宜しくお願いします。

リーダー・サブリーダー及び私を含めた本科生の6名パーティで源次郎尾根より剱岳へ当日を含め三日間とも快晴で風もなく非常に暑い中登ってきました。私は以前、長次郎谷より登った以来2回目の剱岳となるが、その時は雨も降っており、剣山荘あたりからヘッドライトを付ける時刻になり、ビールも買えなく大変時間が掛かった記憶が蘇ってきます。

01 雷鳥坂
雷鳥坂 02 雷鳥坂の雷鳥
雷鳥坂の雷鳥 03 剱沢
剱沢キャンプ場 前日は立山から室堂入りする方と、扇沢より室堂入りする方と集合時間13時に室堂で待ち合わせをして雷鳥沢・剱御前小舎経由でキャンプ場に着いたのは17時を回った時刻であった。途中、剱御前小舎で松本さんと鈴木さんに追いつかれた。 三連休でもあり、又好天が期待できることから混雑すると思われるので3時と早めの出発とした。平蔵谷出合の取り付きまで1時間ほど要し到着する。 04 源次郎尾根取り付き点
源次郎尾根取り付き点 ここから剱岳を代表する源次郎尾根のバリエーションルートとなり二つの峰を登り、二つ目の峰から鞍部へ下る為に30mの懸垂下降を行い、そこから1時間ほど登ると本峰に到着する。取り付きに着いたときには2パーティが登る準備をしていた。その後を追うように準備をして登り始める。 05 2つ目の岩壁
2つ目の岩壁 06 源次郎尾根1
藪漕ぎ 07 源次郎尾根2
08 源次郎尾根3
Ⅰ峰までにロープを2回出して頂き、2回目の岩壁で先行パーティがもたついている間に私たちの後ろに3パーティが並ぶこととなる。その後もⅠ峰まではめんどくさい登りが続くがここを越えると本峰までは比較的に歩きやすいルートとなる。 09 剱岳(2峰から)
剱岳(2峰から) 懸垂下降の場所に到着した時には私たちの前に1パーティが順番待ちしており、日影がないところで暑さに耐えながら私たちの順番になるまで待つこと50分以上、ようやく私たちの順番となる。私たちの後ろには3パーティが続く。 10 懸垂下降
サブリーダーが最初に懸垂下降を行い、続いて私が降りた。私の後の方も手間取ることなくスムーズに降りることが出来ました。懸垂下降が終わると山頂がすぐに見えるような場所になるので、ここからは淡々と最後の岩場を登って行く。最後の階段のような岩場をこえるとポッと祠が見え、剱岳の山頂に到達したのだとわかった。 11 山頂記念撮影
最後の山頂部分がこのようにあっさりしていたので、少し気が楽になったが、山頂からこれまで登ってきたルートを振り返るとなかなか厳しい道を進んできたのだな、と改めて実感するとともに、達成感もわいた。 【タイム】 8月11日日曜日(2日目) 剱沢キャンプ場03:20---剱沢小屋03:35---剱沢雪渓入渓04:00---04:30平蔵谷出合(取り付き)05:00---Ⅰ峰09:10---Ⅱ峰10:10---(11:20懸垂下降11:50)---13:00剱岳山頂13:50---前剱15:25---一服剱17:00---17:25剣山荘---18:40剱沢キャンプ場(泊) 【感想】 矢田  参加しやすいよう、朝発・新幹線利用のプランを基本としましたが、集合時間が13:00では、剱沢着が遅くなってしまいました。源次郎尾根の場合、夜が明ける前に出発せねばならないので、もう少し余裕のあるプランにすべきだったと思います。  4度目の源次郎尾根でしたが、メンバーの都合で11日しか都合がつかず、台風の動きにやきもきしましたが、天気が良く無事終了できて、安堵しています。 木村  暑さと体調不良で喉が渇いて、持参した水が不足してしまいました。持参する水量をもっと考えないといけないと思いました。また、日常生活から体調管理には気を付けたいと思います。  I峰手前の東に延びる尾根との合流付近で、ルンゼ状の岩壁を右へトラバースして行きました。Webの情報で、右に行ってもI峰へ行けると記載があったことを思い出し、ちょっと行ってみようかと思って行ってみました。一般登山道とあまり変わりのない源次郎尾根ですが、このルートは踏み跡がほとんど無く、藪漕ぎ、ハイマツ登りが楽しめて、ルートファインディングも必要になります。個人的には左に行かずに、右に行って正解だったと思っていますが、みなさんには苦労を掛けたかもしれません。  今回は、パーティーの先頭になることが多かったのですが、後続を待つことが多かったため、今後ペース配分をもう少し気を付けていきたいと思います。 赤星  剱岳は3回目になりますがノーマルルート以外からは初めてで、2年前には源次郎尾根を「あんなところを登る人がいるんだなぁ」と感心して眺めていた記憶もあり、今回の山行は非常に感慨深かったです。良すぎるくらいの好天で3000mに近いとは思えないほど気温が高く、15時間の長丁場になったこともあり、さすがに疲れましたが、冷えたビールが飲める剱岳は本当に最高です。リーダー、サブリーダーをはじめパーティーの皆さま、ありがとうございました。 林 山本  自分のレベルに合っていないのに参加してしまいました。反省。  源次郎尾根は、最初の岩場で苦戦。出だしでこの調子で、この先大丈夫なのか不安になりました。次の岩場では全く歯が立たず、木村さんに引っ張り上げてもらいました。そして藪漕ぎ。初めての体験でした。ハイマツや岩に頭をぶつけたりザックを引っ掛けたり、松脂で手がベタベタ黒くなったり、ずっと素手で指の腹がピリピリ、手の甲がチリチリ焼けて痛かったり、前の人に遅れてルートが分からなくなり無駄に藪漕ぎしたり、2.5L持っていた水がなくなりかけたりで、みじめになる要素満載でしたが、頂上についたら、それまでの苦労が吹き飛びました。あとは剣山荘で冷えたコーラを飲むことだけを目標にがむしゃらに下りていきました。  みなさんのサポートなくしては、登れなかったと思います。本当にありがとうございました。 山下

北アルプス・横尾尾根

横尾尾根は横尾山荘付近から南岳に向けてせりあがり、穂高岳と常念岳の中間に位置する長大な尾根だ。その稜線上、森林限界を超えたP4(2,323m)からは左に奥穂高岳、北穂高岳、右に常念岳、蝶ヶ岳が眺望できる。そこにはこの尾根縦走の思いもかけない素晴らしさがあった。天候に恵まれた一方、下山時に雪の状態が悪くて行程が遅れて予定外の一泊となったが、それもまた最良の選択を引き当てた。

■5/1 雨
毎日アルプス号で上高地まで行く。夜行バスでも3列シートだったので快適だった。

■5/2 晴れ
5時過ぎに上高地に到着。天候は晴れで風強し。6時出発。横尾山荘までは長い林道歩きだ。同じところばかりに力がかかるので足の裏が痛くなる。いつもの山際の道は落石が多いので川沿いに新しい道ができている。8時半に横尾山荘に到着。GW前半の天候が思わしくなかったからか人出が多い。小休止して9時過ぎに横尾大橋を渡り、涸沢への山道に入った。
涸沢方向へ1,750m付近北側の3ガリーを探しながら登る。1時間半後の11時に3ガリー取付きを発見したが、その前の1,727mピーク以降尾根に乗れそうな場所は多々あった。今の時期はやぶ漕ぎになりそうだが積雪期はここから取り付くのだろう。
01-3ガリー(5月2日朝)
  3ガリー
3ガリーは急登で今回の全体を通して体力的時間的な核心だった。雪は安定していて登りやすかった。1,900m付近でガリーはP3を挟んで二又に分かれており、左はデブリや落石が多く危険だったので右を選択。さらなる急登に目がくらむ。2,000m付近でハングしたクラックを越えるためにロープを出した。2,100m付近では水流で雪が薄くなり始め、さらに前方の大岩をまくために右方向に転じて、やぶを漕いで尾根に出ようとした。大岩のちょうど右端に出たがもろい岩質で登れそうになく、懸垂1ピッチで戻った。やぶ漕ぎにあれだけ苦労したのに25mしか登っていなかったのか! 結局、対岸までフィックスロープを張ってトラバースした。大岩を左から巻いて気の遠くなるような急登のすえ、痩せ尾根でテン場を探し、16:20に落ち着いた。

■5/3 晴れ
2:30起床、4:30出発。食事、排便、テント撤収、パッキングを短時間に進めるのも技術だ。昨日は10時間行動だったが今日はそれ以上にハードになりそう。P4の急登と横尾の歯が核心だ。P3からP4は樹林の痩せ尾根通しに行く。コルに出るとガリーからの踏みあとがあった。3ガリーを左に詰めるとこちらに出るので、雪の状態が良ければこれが正解。
いよいよ、P4の急登。木の根を手掛かりにほとんど垂直に思える壁をよじ登って行く。朝早いので雪が締まっているのでピッケルが良く利く。森林限界上の稜線に出るとP5、P6までの緩やかな雪稜が迎えてくれる。P6からは横尾の歯と呼ばれる岩場になる。
02-P6からP7へ横尾の歯(5月3日昼)
  P6からP7へ横尾の歯

1P Ⅲ 30m ランナー4つ
ほぼトラバースでバランシー。詰めのところで岩の間を通る箇所が手がなく悪かった。終了点は木を使ったが良く見るとハーケンもあった。

2P Ⅲ- 15m ランナー3つ
岩を一登りしてピークでピッチを切った。Ⅱ級かもしれない。

3P Ⅲ- 30m ランナー5つ
ピークから4mくらい下ってから登り返す。登りは雪がついていたのでピッケル、アイゼンを利かせて快適に。最後にバランシーなトラバースがあり、終了。

横尾の歯はクライミング経験者には問題ないし、怖さもなかった。全体的にはスリップしたら停められそうにないナイフリッジや雪稜の下降の方がよほど怖かった。横尾の歯からP7までは緩やかな雪稜。テン場を探して槍ヶ岳正面の最適地を発見した。
03-P7の幕営地(5月3日夕)

■5/4 晴れ
本日も2:30起床、4:30出発。雪稜をP8へ。雪が締まっていてアイゼンが良く利き歩きやすいが、その分スリップしたら停められないので命懸けだ。P7からP8の間が一番怖かった。
04-P7からP8への怖い雪稜(5月4日朝)
  P7からP8
P8を越え、切り立った雪面をよじ登って天狗のコルに出た。あと200m登れば南岳の肩に出る。最後の力を振り絞って高度を上げる。好天の下、気持ち良く稜線に出られた。
天狗のコルからの観察では緩やかに見えた大喰岳までのルートだが、稜線に立ってみると100m程度の起伏がありそうだ。南岳の肩に出るまでに力を使ってしまったので渋々スタートする。するとバチが当たったのか、いきなり梯子の下降が出てきた。自分はこのコースを数回歩いているがこんなところに梯子があったかしら。しかも梯子に至る前に短いが急な下りがあり、スリップすると遥か槍沢まで翔べそうな気がしたので、早々にバックステップに切り替えた。梯子は二つあって思い出したくない思いをした。
05-南岳から大喰岳へ
  怖い梯子/南岳の肩
大喰岳にはバックカントリースキーの3人パーティーがいた。無線機やピッケルなど山やさんとほぼ同じ装備だし、話を聞いていると訓練も積んでいるようだ。我々は少しでも早く帰京できそうな飛騨沢から下降することにした。上高地は18時にゲートが閉まってしまうからだ。しかし、槍平小屋までは順調だったものの、それ以降白出沢まではデブリが多く、ひとりずつ抜けたり待機したりで時間がかかり、新穂高温泉到着は19:30となった。
結局、新穂高温泉からのバス、さらに松本からのあずさがなくなり、紆余曲折の末に新島々のゲストハウス「しましま」に宿泊して、祝杯を挙げた。

<行程>
5/2 上高地6:00~横尾8:30-9:00~3ガリー10:30-11:00~P3(C1)16:20
5/3 C1 4:30~P4 8:30~P5 11:00~P6 12:30~P7(C2)15:30
5/4 C2 4:30~P8 5:30~天狗のコル6:00-6:30~南岳の肩9:20~大喰岳11:00~新穂高温泉19:30

仙ノ倉山北尾根

3/2~3に仙ノ倉山北尾根に挑戦したが、強風のためシッケイノ頭手前で撤退した。
今回も天気予報が悪く危ぶまれたが、結果は大正解。初日の時間を長く取れるよう土樽で車中泊して早朝から行動したことと天気が崩れなかったことが勝因となり、初日に仙ノ倉山頂まで到達し、リベンジマッチを制した。

■4/5(金) 雨
金曜日の喧騒から抜け出し、自宅へ急ぐ。これから東松山経由で土樽まで。関越道で群馬に入ると雨が降り始めた。せめて国境の長いトンネルを抜けると雪であって欲しいと願うが、新潟も雨だった。なるようになれと、コンビニで今晩の寝酒や行動食を買い、土樽駅に1時頃到着。酒やビールはチョイスにこだわらずに買い込んだが、保岡さんのサバみそ缶詰が加わって美味しくいただき、就寝した。

■4/6(土) 晴れなれど風強し
5時に起床、朝食を摂り駅でトイレを済ませてから毛渡橋に車を進めた。前回はここから雪の回廊を歩いてJR上越線、関越高速道を潜ったが、今回は除雪されている。除雪の先端まで車で入ってみたがスペースがないので、平標方面への分岐まで戻って駐車。前回に比べると、ここでも時間短縮できた。
6時50分アプローチ開始。取付きまでつらい平面の道を行く。雪が腐っていて、凍っている箇所があるかと思うと、足首まで、さらに太ももまで潜る踏み抜きがランダムに発生し、脚の筋肉と精神にダメージを与える。8時30分に群大仙ノ倉山荘に到着。IMG_4052

前回は小屋場ノ頭まで最短距離で直登したが、今回は北尾根の稜線の末端からアプローチすることにした。小休止して山荘前の橋を渡っていると、イタチのような小動物が向こう岸を走っていった。オコジョかもしれない。
橋を渡ってバッキガ平を林道(雪の下に道があるように思えた)沿いに左に回り込む。スキー跡につられて少々回り込み過ぎたが、北尾根の末端から稜線に取り付き、木々の根元の赤ペンキでルートに乗ったことを確認する。
間もなく、土樽駅でビバークしていた4人パーティと合流し、共同ラッセルを組んだ。相手のパーティは装備がバラバラでワカン装備が4名中2名、他2名はツボ足だ。男女2名ずつなのだが男性1名(ワカン)のみが強く、一人でラッセルしていた。結局その強い男性と我々3名に単独でカメラを提げた年配男性を加えた5名で交代しながら小屋場ノ頭までラッセルした。IMG_4054

我々は小屋場ノ頭を越えた平坦地で一本取ってアイゼンに履き替え。その間に4人パーティと単独男性が先に出た。
この先はナイフリッジとシッケイノ頭までの急登で、体力的には厳しいが変化に富んで楽しめる箇所だ。ナイフリッジは、前回は雪面が弱かったので稜線にピッケルを刺しキックステップで横歩きして突破したが、今回は先行が稜線にトレースを付けた部分と崩壊して雪面を避けてキックステップ&トラバースする部分とがあった。ナイフリッジ後の急登は頭を空にして黙々と歩を進める。IMG_4059aIMG_4061a

前回テントを張った1530m小ピークを過ぎたあたりで単独男性が引き返し、4人パーティも幕営準備に入った。我々はこの好天の間に最低限シッケイノ頭まで、あわよくばその先のピークまで進みたい。
前回到達点の1627mを過ぎ、シッケイノ頭への斜面までは左に落ちないよう樹木沿いに進む。キックステップの急登が一段落していよいよシッケイノ頭へ出る斜面を登ろうとした時、「ドン!」という音。斜面に亀裂が走ったらしいが、広い雪面を観察しても判らない。不気味なので、樹木が上まで疎(まば)らに続く右手のラインをスピードアップして登ることにした。ここもキックステップや樹木を掴んでの登りがあるかと思うと、雪に隠れた亀裂を踏み抜いて足がぶらぶらするような空洞に嵌まり込んだりする。仲間に引き上げてもらい、恐る恐る進むとシッケイノ頭の突端に出た。この先は広々としてわずかに高くなった箇所がシッケイノ頭だろう。計画ではここで幕営だが、まだ14時を過ぎたところであり、また明日は天候が下り坂の予報なので、行けるところまで行くこととした。
シッケイノ頭から見て、右から上がってきた尾根から繋がる形で美しいピラミッド型のピークがある。すわ!仙ノ倉山かと期待するが、地形図よりも近い印象の上に標高差300mには足りないように見える。IMG_4068

尾根に上がる部分は表面がクラストしており踏むと割れるが、雪が薄く潜り込むほどのことはない。尾根に上がって見上げるピークは下から見たよりも傾斜が急で、風で雪が飛ばされて半分氷化した斜面を逆ハの字とキックステップでよろよろと登る。両足の太ももが悲鳴を上げ、もう限界だと思っても、止まってしまう訳にはいかない。自分はこういう時は歩数を数えて気を紛らわせる。次のピークまで200歩くらいか、また、先を行く仲間たちに置いてけぼりを食わないように頑張ることも支えになる。滑落しないようにピッケルで確保することだけに集中して気が付けば、山頂に続く平坦部の先端に立っていた。シッケイノ頭から見えたのはここだった。あとわずか、あの高まりが山頂だ。「仙ノ倉山頂 2026.3m」の山頂標を前に自然と握手が出る。風が強く、目出帽の口の部分が凍ってしまう。IMG_4077a

早々に山頂を辞して2021m手前の鞍部に下り、稜線に遮られて多少風が弱まる風下(南)側にスコップでL字を切ってテント場とした。テント前は緩やかとはいえ凍った雪の斜面なので、手ぶらで、特にテントシューズで歩くのは危ない。テント入口からトイレまで短い道を掘って安全を確保する。20190406_y17

テントに入ると風の音は激しいがお茶とおちゃけでいつもながらの天国となった。何を飲んでも食べても美味しい無敵状態になり、4時起き6時出発と決めて就寝した。

■4/7(日) 晴れときどき曇り
4時起床。まだ風が強い中、テント撤収にはF1ピットクルー並みの滑らかなチームワークで熟練の技を発揮した。
5時50分出発。-4℃、雲は多いが切れ目から太陽が覗く。昨日、4名パーティの前に出てからは仙ノ倉山頂まで踏み跡がなかったが、山頂からこちらには平標方面からの往復らしいトレースが付いている。今日は平標山まで緩い上下降があるものの、その後は下り一方だ。すでに里心がついており、昨日行程を稼いだ分早く下りて10時20分のバスに乗りたい。
稜線上の道は日当たりが良いためか木道や笹が露出している箇所が多い。ところどころで「東芝ランプ」の赤い道標が谷川岳肩ノ小屋までの距離を示しているのは、かつて小屋で同社製品を使っていたのだろうか。しかし、仙ノ倉と平標の中間地点で「10500m」の表示は、見るとメゲてしまいそうな数字だ。平標の登り口に祀られていた「大山祇(オオヤマツミ)」の石碑に今後も変わらぬ無事を祈って平標山頂を通過。山頂標と並んで三角点標石も出ていた。松手山へのルートに入り、1677m地点を過ぎると風も止んだので、ヤッケを脱ぐ。
松手山から踏み跡を辿ると1411mから尾根を外して東へと下り、別荘地の間の舗装路に出た。10時にバス停に到着し、越後湯沢駅へ。さらにバスで土樽へ。ところがバス終点の「土樽」は「土樽駅」ではなく集落開発センター前だったので、毛渡橋までの1kmほどを歩いて車を回収した。

<行程>
4/6 平標新道分岐6:50~群大仙ノ倉山荘8:30-8:40~小屋場ノ頭10:40-11:00~シッケイノ頭14:20~仙ノ倉山16:00~2021m手前鞍部16:10
4/7 2021m手前鞍部5:50~平標山6:40-6:50~松手山8:10-平標山登山口10:00